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乗り越えて前に進む力 - 今20歳の自分に伝えたいこと -

1月11日(月)は、「成人の日」だった。

成人式の報道を見て、今月還暦を迎える私が20歳の自分に何を伝えることができるだろうということに、思いを馳せた。

20歳の自分に伝えることができるとしたら、どんなことだろう。

自分自身がその後の人生を実際に体験した上で、シンプルに「役に立ったもの」と「役に立たなかったもの」について、伝えたいと思った。

余計な心配はせずに、「役に立つもの」を大切にして、まっすぐ自分の思いを貫いてほしいと思う。

そんなメッセージについて書き連ねてみた。


① 人生は「教えられたもの」とは全く違った

1960年代に生まれた私が小・中学校に通っていた頃は、「学生生活を終え、就職したら、結婚して、子供を産むのが当たり前」という考え方を、両親や学校の先生から、教えられてきた。

結局私は、一度も結婚しなかったし、子供を産むこともなかった。

結婚してパートナーをもつこと、子供を産んで育てて、幸せな人生を送っている女性も、たくさんいる。

しかしながら、私自身に関しては、「これが普通」と教えられたものと、実際に経験した人生は全く違ったのだ。

20代、30代の頃には、「結婚」へのプレッシャーはあった。

「子供がいない」自分に対して、「一人前ではない」という枠組みを当てはめられることに対して、コンプレックスを感じた時期もあった。

「結婚はしない」という強い意志があったわけではないが、まあご縁がなかったわけで、それでも何とかやってこられた。

人生常に順風満帆だったわけではなく、大変なことも、悲しいことも、困難なこともたくさん出会った。

「逆境」というような大変な時期にも、友人、会社の仲間、先輩といった人が助けてくれた。

とてもありがたいことだが、家族という単位を形成しなくても、助けてくれる人がいた。

「自分に正直」に生きたことに対して、後悔はない。

人生は実際にはもっといろいろなパターンがあり、そこに個々の価値観があり、「幸せ」が何かの基準も違う。

要するに「何でもあり」。

「普通神話」のプレッシャーに振り回されて、時間やエネルギーを無駄にしないでほしい。

自分の思いに忠実に、シンプルに好きなことをしていれば、いいんじゃないかな、と伝えたい。


② 安定を求めるよりも、本当に好きなことを

「仕事の選択」についても、同じことが言える。

1985年、「男女機会均等法」が成立する1年前に大学を卒業して就職した私に、「女性が一生働ける道はない」とか、「好きなことを仕事にして生きているわけがない」と言ったアドバイスをくれた人がいた。

でも、実際に社会に出たらそんなことは全くなかったよ、と20歳の自分に伝えてあげたい。

大学時代、私は学校主催の「就職説明会」に一度も参加しなかった。

私の就職した1980年代、大学の就職部から紹介される「就職」よりも「就社」に近い感覚で、就職する業界を選ぶことはできても、入社後の職種が選べないことが、大きなリスクだと感じたのだ。

仏文科を卒業して、フランス語を活かしたいと思い、当時は数の少なかったフランス外資系企業からの前年の求人を探して、ひとつひとつ電話をした。

フランス国営のメーカーが、「まずはアルバイトに来ませんか」と言ってくれて、週3日アルバイトするようになり、そのまま就職した。

その後はずっとフランス語圏の外資系企業で、仕事をしてきた。

即時に結果の求められる外資系企業において、大変なことは沢山あったけれど、自分が決めた道を歩いてきたことが、自分を支えてくれた。

仕事を通して出会った素晴らしい仲間もたくさんいた。

1980年代には、確かに女性だから不利なことは、いろいろあったのかもしれない。

私の鈍感力がそれを無視して、進ませてくれたのかもしれないと、思う。

私が新卒で就職した時代とは、今はまったく違う。

かつて一流と呼ばれた企業が倒産したり、合併したりする一方、GAFAと呼ばれる新興勢力が世界を席巻している。

結果的には、その時一番いいとされる企業に就職できても、一生が保証されることはないのだ。

外資系企業は実力主義ではあるが、それはそれで厳しい世界である。

「女性がそこで生き抜いていくことは難しい」と、アドバイスをくれる人もいた。

それでも、結局は自分の好きなことを、自分の選んだ道を歩いていくしかないのだと、思う。

「寄らば大樹」を求めるよりも、環境が変わっても生き抜いてゆける自分の軸をつくることを、20歳の私には勧めたい。

どんどん好きなことをやったらいい。

経験がなくても、好きならば、やり遂げたい気持ちがあるのなら、前例のないことにもどんどん挑戦してほしい。

時代の風を感じて、新しいものを取り入れつつ、自分軸をしっかりもって、環境の変化に対応する。

そんな自分を創ってね、と伝えたい。


③ 「逃げること」「忘れること」ことで新たな道が拓ける

自分の人生を振り返っての反省点は、がんばりすぎたり、意地を張りすぎたりしたかな、ということだ。

もっと早く逃げてしまえばよかったのに、と今は思う。

人生に転換期が訪れる時は、自分の力ではどうすることもできない大きな流れのひとつに自分が組み込まれている感覚があって、焦ってもうまくいかなかった。

今考えると、もっと早く辞めておけばよかった仕事とか、もっと早く別れた方がよかった相手とか、さっさと次の道を選んだ方がよかった場面は沢山ある。

特に、人間関係がこじれて辛い時は、その原因からなるべく早く、なるべく遠くに行くことが唯一の解決方法なのだと、思う。

その時間が長くなればなるほど、ダメージは大きく、その人の芯の部分である人格さえも傷つけてしまう場合もある。

そうすると、立ち直るのに時間がかかる。

もっと自由に考えてもよかったのだ。

嫌だったら逃げてもいいんだよ。責任感もほどほどにね。

そんな言葉を、20歳の私にかけてあげたい。


④ 「乗り越えて前に進む力」が一番大切

人生いろいろなことがあった。

恋愛での失敗、学業や仕事での挫折、大切な人との死別。。。

それでも、大丈夫。何とかやってこられたのだから。

その「何とかやってこられた」ことが、一番大切だと思う。

人間は忘れることができるし、新たな道を進んでいると、やがて自分の過去に対する評価も変わってくる。

要は、そこからまた前に進んで、新しい幸せに出会ってしまえば、結果オーライなのだ。

大変なことはいろいろあるけれど、難しい時はちょっと脇に置いておいたり、そこから逃げ出したり、楽しいことに没頭して忘れてしまったりと、手段は何でもいい。

四六時中、悩みについて考え続けることをやめることが、大切だ。

立ち止まってもいいけれど、前に進んでほしい。

前に進んでいる限り、まだ終わりではないし、またチャンスはやってくる。

「鈍感力」「逃亡」「忘却」、そのいずれもとっても役に立つ。

そして、自分の幸せを創造できるのは、自分だけなのだ。

幸せなことも、人生の醍醐味であるその正反対の感情も、すべて味わい尽くして、時には休み、時には逃げて、時には忘れて、それでも前に進んでほしい。

その先にはきっと、またそれまで知らない新しい、素晴らしい、出会いと価値が待っているのだから。


自由に、呑気に、まっすぐに、好きなことを。

20歳の私へ。

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