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音楽のはなし:分数ヴァイオリンを見て思ったこと

先日実家に帰って、ふと目についた私のファースト・ヴァイオリン。
1/8サイズの楽器って、いま見ると完璧におもちゃですね。小さいくせにいっちょ前にアジャスターとかついててかわいい。
子どもの頃はみんな「すごいね~」「じょうずね~」って手放しでほめてくれたけど、そらこんな小さい楽器で一生懸命弾いてたら上手でも下手でもみんなそう言うわ。そらそうよ。

結局私は音大受験しなかったですが、楽器に出会えて続けさせてもらえたことについては、「おとうさん、おかあさん、ありがとう」しかない。
大人になって世の中を知ると、「マジで音楽(というか芸術)ってお金かかるな!」と実感しますもの。

3歳から毎月3回のレッスンに通って、分数ヴァイオリンも家に1/8と(たぶん)1/2サイズの2挺あるし。確か、3/4は同じ先生に教わっていた方のお下がりを借りた記憶があるので、フルサイズになるまでに4挺を渡り歩いたと記憶しています。

部屋にあった文庫本と比べてみた。マジでおもちゃ!

小学生の頃、先生から「もし本当に音楽の道に進むなら芸大に行ってほしい」と言ってもらい、進路というものがよく分かっていない頃は、なんとなーく「私、芸大受験するのかなぁ?」と漠然と考えながら毎日の練習に励んでいました。
というか、3歳からレッスンに通っていたので、物心ついた時から「練習をしない」という生活を知らなかったのも事実だと思う。楽器を弾くのは好きでも、練習は好きじゃなかったけど。
なので、「励んでいた」というより、「日々のルーティンをこなしてた」ってのが正しいかも。ある程度弾けるようになって基礎の音階練習やエチュードが必須になった瞬間、より一層辛くなりましたが……(基礎練習がホントに嫌いだったの!超絶大切なのは分かってるんですけど!!)。

中学生の時にフルサイズのヴァイオリンを買ってもらいましたが、まだこの頃は「芸大受験するかな?どうかな??もうちょっと考えたいな」とウダウダしていた時期(実際、芸大受験するならギア入れるとしても遅い)。なので芸大受験の可能性がまだ残ってる可能性も鑑みて新品楽器を買ってもらい、「本当に受験するなら、もう1回(オールド楽器に)買い替えてもいいかもね」なんて話をしていたと思う。

いま考えると、親には「いい楽器買ってもらったのに芸大受験しなくてホントごめんなさい」だし、先生に対しても「受かるかどうかは別として、教え子が芸大受験するレベルになった」という実績を残せなくて、こちらもホントにごめんなさいしかない。
おもちゃみたいな楽器を改めて見て、いろんな人に申し訳なかったなぁ、という気持ちが湧き上がりました。

実は有名な先生のレッスンも何回か受けたことがあるんですが、こういう先生って、基本的に「ちゃんと弾けるのは当然で、表現力やプラスαの部分を教えてもらうためのレッスン」だと思う。数回しかレッスン受けてない私が言うなだけど。
ずっとついていた先生曰く「本当に芸大を受験するなら、私じゃ教えられないことがたくさんあるから」と紹介してくれたんだけど、なんとなく「いつもの先生のレッスン受けてるほうが上手くなれる気がする」と思ってしまっておりました。いま考えるとなんて贅沢な感想!!子どもって怖い!!

私は小さな音楽スクールでとってもいい先生に巡り合えて、先生がスクールを辞めると同時についていったんだけど、「超絶初期の生徒さん」だったからか、改めて考えてみると、破格のレッスン料でずっと面倒見てくれていました。
1・2を争うちゃらんぽらん生徒だった自負がありますが(毎回発表会で先生が生徒さんの上手なところをコメントするのが通例だったんだけど、私は「●●ちゃんはもうちょっと練習してくれれば言うことないんですが……」と先生が笑いを取るレベルだった)、小学生の頃から芸大しか考えてないから芸大卒の先生に習いたい!という生徒さんもいたのに、こんなちゃらんぽらん生徒を見放さずにいてくれたからこそ、今「弾きたい曲も楽譜さえあればそこそこどうにかなる」レベルになれたと思います。

こうやってずっとついていきたいと思える先生に出会うのも、よく響いてくれるいい楽器を持つことも、上達するためには絶対に必要だと思うし、ホントにありがたい。

なんか久々にレッスン受けたくなってきちゃったな。やっぱり近所で先生探そうかな(私の先生はいま地方在住なのでレッスン受けに行けない。悲しい)。


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