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映画のはなし:世界を見よう、危険でも立ち向かおう、それが人生の目的だから『LIFE!/ライフ』

『LIFE!/ライフ』は、2013年に公開されたベン・スティラー監督/主演のヒューマンコメディなんですが、もうとにかく作中に出てくる雑誌「LIFE」のスローガンが素晴らしいんです!

このスローガンが出てくる数十秒のためにBlu-rayを買ったと言っても過言ではないくらい。

フォトグラフ雑誌「LIFE」でフィルム整理の仕事をしている、地味で平凡だけど、想像力に長けているウォルター。現実では気になる女性に声をかけることもできないが、想像の中ではヒーローにもなれるし、情熱的に口説くこともできる。
そんななか、「LIFE」チームに突然告げられた、会社再編による雑誌の廃刊。納得のできないまま最終号制作に向けて動くウォルター。そして「LIFE」を代表する写真家ショーン・オコンネルから、「最終号にふさわしい写真が撮れた」と、ネガが送られてきた。ショーンからは「最終号の表紙には25番目のネガを使え」と指示があったが、送られてきたネガは25番目だけが抜け落ちている。
必死になって探すも見当たらず、ウォルターは「25番目のネガの在りかはショーン本人なら分かるはず」と、オフィスを飛び出した。
ここから空想と現実が入り乱れるウォルターの冒険がはじまり、そしてその冒険の終わりとともに、最終号となる「LIFE」が発売される。
「最終号の表紙にふさわしい写真」は、どんな写真なのか?

ちなみに、「LIFE」誌はすでに廃刊になってしまっているけど、本当にあったフォトジャーナリズム雑誌。文字よりも写真を中心に構成されていた雑誌で、著名な写真家も活躍していました。
時代とはいえ、骨太な紙の雑誌がなくなってしまうのは悲しい。

そんなこんなで、映画『LIFE!/ライフ』。
原題は『The Secret Life of Walter Mitty』。
「ウォルター・ミティの秘密の生活」という小説が原作で、1947年に『虹をつかむ男』として映画化されています。なので、これはリメイク作品。
ちなみに本国では、リメイク権を失いたくがないために、最終予算も決まらないうちから映画会社が「撮影開始して!」と希望したらしいです。

監督/主演は『ナイト・ミュージアム』、『ミート・ザ・ペアレンツ』でおなじみのベン・スティラー。キーマンとなる写真家ショーンを演じたのはショーン・ペン(めっちゃいい役もらったな!かっこよかった)。

先ほど書いたように、芯となるストーリーは、廃刊する「LIFE」誌の最後の表紙用のネガを探す、というシンプルなもの。

だけど、そのシンプルなストーリーを飾るプラスαが、「そう!人として本当に必要なことはこういうことだよね!」と思わせるものばかり。

作中に出てくる「LIFE」誌スローガンもそのひとつ。

世界を見よう
危険でも立ち向かおう
壁の裏側をのぞこう
もっと近づこう
お互いを知ろう
それが人生の目的だから

映画『LIFE!/ライフ』

ウォルターがネガを探しにオフィスを飛び出すシーンで、それぞれの言葉が背景と重なりあって、視覚的に訴えてくる。
ずっと内向的で空想の中でしか冒険をしていなかったウォルターが、オフィスを飛び出し、自分の殻を破るタイミングと合わさって、いつ観てもワクワクするし、なんかグッとこみ上げてくるものがあるシーンです。
(ちなみに本当の「LIFE」誌のモットーも、「人生を見よう、世界を見よう」)

映画って、2時間すべてを通していいなと思う作品と、ほんの一瞬にすべてが凝縮されたいい映画の2種類があると思うのです。
この作品は、まさに後者(他のシーンも面白いですよ!念のため!ベン・スティラー、めっちゃスケボー上手なんだなって驚いたし)。

そしてラストで、ウォルターが探し求めた「25番目のネガ」がどんな写真だったかもちゃんとわかります。
ショーンが言う通り、本当に「最終号にふさわしい写真」だと思う。

この写真からも、ちゃんと「シンプルだけど大切なこと」が伝わってきた。
言葉ではなく写真ですべてを伝える、本家「LIFE」誌と同じですね。



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