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映画のはなし:親子で包容力の違いを感じた『ラ・ラ・ランド』

私も映画好きですが、うちの両親もそこそこの映画好き。特に母親はエブリデイ・サンデーをいいことに、たまに映画館に足を運んでいます。
なので、たまに実家に帰ると「あの映画が観たい」と言われて、親子で配信作品を観ることも。

そこで少し前に実家で観た、『ラ・ラ・ランド』。
私は何回か映画館で観たし、サントラまで買っちゃったのですが、私よりもオトメな母も大変楽しんでいました。画面もカラフルでウキウキする曲も多いしね。

舞台はロサンゼルス。オーディションに落ち続けても女優の夢を諦められないミアと、将来はジャズ・バーを持ちたい、売れないジャズピアニストのセブ。ふたりは惹かれあい愛を育みながらも、互いの夢に向け、励ましあい、すれ違う……。

2016年のアカデミー賞で最多タイの14ノミネート、監督賞や作曲賞を含む6部門で受賞しました。作品賞発表のトラブルとかもあったけど、この年の映画賞を席巻したと言っても過言ではないくらい、話題になった作品です。

ちなみに今は『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督『バビロン』が公開中。アカデミー賞3部門受賞の『セッション』でも、監督の音楽のパワーに圧倒されたので(ジャズドラム演奏が中心の『セッション』では録音賞を受賞)、早く観たい。

で、『ラ・ラ・ランド』。

最初に書いたように、母と一緒に観たのですが、あるシーンの感じ方が私と全く違く、面白いもんだなぁ、と印象的でした。

私は、ロサンゼルスのカラッとした気候を感じる底抜けに明るい曲や、ミアとセブがラブラブの時も、すれ違ってお互いの気持ちを歌に乗せて表現するシーンを含め、音楽と映像が超いい!どんでん返しのストーリーというわけじゃないけど、ウキウキするし、最高!と、まず、映像や音楽のパワーに感動していました。

その一方、母はストーリーに惹かれていて、ミアとセブのやりとりやお互いの夢に向かう選択に一喜一憂。その姿を見ていて、「やっぱこの人、私より全然オトメだわ」なんてことを思っていたのですが、

「包容力が私とレベチ!!!さすが母!!!」

と驚愕したシーンがありました。

セブともすれ違い、自身が書き上げた脚本によるひとり舞台を酷評されたミアは、女優の夢を諦め、セブと暮らす家を出てひとり実家に帰った。そして残されたセブが、偶然ミア宛の電話に出る。それは、ミアの舞台を見ていたあるエージェントから、「オーディションに来てほしい」という内容だった。セブはミアの実家を探し当て、「女優にはなれないからオーディションには行かない」と渋るミアを、強引に説得するシーン。

私はどちらかというと「セブ、マジでいいヤツじゃん!」と、ミアのことはすっかり頭から抜けていたのですが、母は違ったらしい。
セブにオーディションに行かないことを咎められるミアを見て、

「もう十分頑張ったけどムリだったの。これ以上頑張れないんだからやめてあげて……」

と、鼻をすすっていた。
何度もオーディションに落ちて、渾身のひとり舞台もガラガラ&観客が酷評しながらシアターを後にしていたことで、心が折れてしまったミアの母親のような気持ちになっていたのではないかと推測。

なんか、痛烈に包容力の違いを感じたわ……。

最終的にこのオーディションがミアの成功に繋がるんだけど、このシーンでミアをかばえるって、マジで母親ってすごいな!と感じた瞬間でした。

ちなみに観終わったあとも「面白かった」と言っていたので、一安心(よく私が好きな映画観てる横で「この映画よくわかんないわね。あんた面白いの?」とか平気で言ってくることがある。カチンとくる)。

母はラブストーリーなどが好きなので、根本的に私と好きな映画のジャンルが違うのですが(私はラブストーリーが好きな映画のジャンルには入らない)、たまにはこういう作品も一緒に観てみようかな。新たな発見ができるかもしれないし。

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