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旅トラブル:大寒波の北京空港足止め事件

ヨルダン旅をアップしている途中で恐縮ですが、唐突に思い出したことがあるので、過去の忘れられない旅トラブルのオハナシ。

海外旅行の行き帰り、時間はかかるけど乗り継ぎ便ってけっこう好きです。
幸いなことにロストバゲージは一度もないのですが(アメリカ便で荷物を開けられチップスの袋が大破。スーツケース内でチップス爆弾を浴びたことはある)、自分が乗継ぎできなかったことは数回あり。

どれも航空会社事情なので数時間後には振替便に乗れたため、シカゴで「ゲート●●まで走って!トイレも行っちゃだめ!!」と走らされたときに、「あー、『ホームアローン』ごっこなうだわ……」なんて考えられる程度の余裕はあったりなかったり。

いちばん大変だったのは、いつもの旅友ちゃんとロンドンで年越しをして、年始早々のロンドン→北京→羽田での帰路。
「大寒波の北京空港足止め事件」という、悪名高い事件があるのです。

この年は数十年に一度の大寒波+大吹雪。北京着陸時も天候回復待ちで長い間上空を旋回し、事故るんじゃないかってレベルで揺れてブレーキも効いていなかった着陸。どうやら私たちが最後の着陸便だったっぽい。
乗り換えの羽田行きのゲートでは、グランドスタッフのお姉ちゃんが「大雪で離陸できないから搭乗時間が分からない。とりあえずここで待ってて」と説明中。

仕方なく乗客全員がゲート前でステイ。そしてたっぷり2時間近く待たされた挙句、
「やっぱり今日は飛べないから各自カウンターに戻って振替手続きをしてくれ」
とのアナウンス。

え?わしら、めっちゃ待ったのに……。

待ち疲れて(イスも確保できない状態だった)盛大にげんなりする私たち。
隣にいたお姉さん、仕切りの悪さにものすごい悪態と共に独り言でブチ切れてました(仕事で東京行く予定だったらしい)。

そして不本意ながら一度中国に入国して(通常とは違う特殊なスタンプで、うっかりちょっとテンション上がったけど)カウンターに移動すると、そこには何重にも折り返した振替手続き待ちの長蛇の列。

いや、既にこんだけ並んでるなら、絶対もっと早く「今日飛ばない」って分かったでしょ……。

さらにげんなりしつつ振替手続きの列に並ぶも、一向に動く気配なし。疲れた体で並ぶしんどさたるや苦行ですわ。
旅友ちゃんと交代で荷物番をしつつ、食料を買いに行ったりトイレ行ったり外の空気を吸ってみたり(でも外はマイナス何十度のブリザードでこれまた苦行)。
カウンターでもたっぷり5時間以上待たされたあと、

「明日は滑走路が凍結して飛べないから、フライトの予定が見えない。だから今は振替手続きはできない」

とな。
旅友ちゃんとふたり「自然現象は仕方ないけど、この仕切りの悪さがあるなら二度とこの航空会社には乗らない」と誓いを立てた瞬間でした。

ちなみにこの時点で22:00過ぎ。
お互い家族に「今日は日本に帰れません」と連絡をして(そしてお互い「あら大変ね。旅友ちゃんによろしくね」レベルの対応をされる)、順番で買い出しや携帯充電のタイミングを使って情報収集。

「充電エリアの近くに日本人コミュニティができてて、用意されたホテル行くけど、って」
「でもこの吹雪だとホテル着くの何時よって感じじゃない?」
「だよね。だから誘ってくれたけどお断りした」
「いまここで空港離れたら、日本に帰れるの2日後とかになりそう」
「うん。1秒でも早くここから立ち去りたいよね」
「明日、カウンターオープンと同時にJALさんかANAさんで相談してみるか」
「そうね。とりあえずどこかベースキャンプ確保しよ」

しかし大寒波バブルにより、北京空港はどのお店も満員御礼&コンビニもすっからかん。
もちろんソファなんて空いてるわけがない。機内から毛布を持ち出したちゃっかりさんは床の上で横になっているし、カートを押すのもギリギリのレベルで人が溢れかえっている。
五輪開催で拡張された広い空港のはずなのに、この人の多さたるや!
しばらく彷徨っていると、煌々と輝く看板の下を寝床にする人の多いこと。そしてしばらく歩き回って、ふと旅友ちゃんが気づく。

「看板の下、あったかいんだ!!!!」

そこ!!!!!???

いや、確かに我らが帰れない理由は大寒波+大吹雪。もちろんターミナルも寒い。
この気温で空港の冷たいツルツルした床の上で寝たら死ぬかもしれない。
というか、たぶん寒すぎて寝れない。
だからみんな暖を求めて看板の下にいるのか!

大急ぎでまだキープされていない看板を探して光り輝くベースキャンプを確保し、スーツケースをまくらにコートと新聞にくるまって横になる。ロンドンで売ってた元日の新聞、ニューイヤー花火の写真がきれいでうっかり買ったけど、めっちゃ役に立ってくれた!

数時間後、カウンターが開いた瞬間に日本の航空会社で北京から出られるフライトがないか確認してみるが、やっぱり「滑走路凍結の関係なので何とも言えなくて……。もう少し気温が高くなったら飛べるかもしれないけど」とのこと。

まぁ、そうだよね。

ホットコーヒーをすすりつつ、日を改めてのどうやってこの空港を脱出するか会議第2段。
いっそのこと東京ダイレクトじゃなくてもいい。台湾や韓国経由でもいい。そして金で解決できるなら払おう、と意見も一致したけど、飛べない理由が滑走路凍結のため打つ手なし。

やることもないのでぼーっとしていたら、昼過ぎになって離発着便があるっぽい動きを察知した私たち。フライトボードで細々と国際線が動き出したことを確認し、改めて●●航空のカウンターに行ってみるが「到着しているフライトは別の航空会社だから振替便の手配ができるかは分からない。まだ待ってて」となしのつぶて。
さて次はどうするか?と3度目の作戦会議。

「航空券予約した会社に電話して、別の東京便手配できるか聞いていみる?私たちより詳しい情報持ってるかもしれないし」

ということでフライトを予約した会社に電話し、「もう新規で航空券買ってもいいから帰りたいんです私たち!」と訴えつつ、今のフライト状況がどうなっているか聞いてみた。
「空港のカウンターがいちばん詳しいと思うんですけど、一応見てみますね」
当然のことをおっしゃいつつも大変大変親切に調べてくれて、マジで日本人最高と痛感。

「新規だと高くついちゃうんで、振替できるならそれがベストですけどねぇ……」
「さっきカウンターに行ったら、いま離発着してるのは別の航空会社だからまだ分からないとか言われちゃって~」
「そうなんですかぁ…………え?あれ?いや!●●航空で1時間後の東京便に空席出てますよ!すぐ振替交渉したほうがいいです!」

マジっすか!超ありがとう!本当にありがとう!!

時間と便名を教えてもらい、またしても●●航空のカウンターに猛ダッシュ。

「このチケット、1時間後の東京便に振り替えて!」
「私たちはその便に空席があること知ってる!」

と、主に旅友ちゃんに頼りつつ、カウンターで猛烈に主張する私たち。
カウンターのお姉ちゃんの「なにこの日本人……こわっ」みたいな表情もなんのその、半ばムリヤリ振替手続きをしてもらい、最後に「走って保安検査まで行って!すぐ通してもらって!!」と広い空港内を走らされる。

「なんでまたこんな目に合わなきゃいけないの!」と、腹立たしさを覚えつつ(行きも北京空港で乗り継いだけど、羽田→北京が遅れて走らされた)、とにかく帰りたい一心で最後の全力疾走をする私たち。

あー、もう二度とここで乗り継ぎしたくない。

ヘロヘロになりながらも、ドアクローズ直前に最後の乗客として東京行きの飛行機に乗ることができました。
そして寒いときのフライトって、離陸前に防氷剤をじゃばじゃばかけるのね。はじめて知った。洗車中の車の中にいるような気分でした。

ってゆーかこのフライト、信じられないくらいガラガラだったんですよね。
ちゃんとアナウンスして、もっと乗せてあげればいいのに!!!!
そういうとこよ!!!!

一人だけ、カウンターで振替できないか一生懸命に動いてくれたお姉ちゃんがいたので感謝だけど、やっぱりもうこんな思いはしたくない!!!

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