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週末お遍路さん(5):焼山寺の遍路道・前編/アケビのお父さんのお使い

2日目はいよいよ、「歩き遍路最大の難関」と言われる12番札所焼山寺への山越えにチャレンジ。「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」という、お遍路さん難所のうちのひとつです。
「健脚5時間、普通6時間、弱脚8時間」らしい。

朝6:00に朝食をいただいて、山越えに備えたおにぎりも受け取って出発!旅館吉野のお父さんに「3人で写真撮ってあげようか?」と写真を撮っていただき、笑顔で見送っていただきました。
焼山寺への山道は藤井寺の本堂のすぐお隣なので、まずは昨日お参りした藤井寺さんにレッツらゴー!

めっちゃビビらしてくるじゃん!

1200年前、お大師さまが歩いた時の自然がいまもそのまま残っているという険しい山道。
5kmで約600m登り、500m急激に下って、また約250mの登り。で、また一気に400m弱下って最後に2.5kmかけて約300mを登ってようやく焼山寺に到着するという、なんでこんなアップダウンするんだろ……という道です。

2/6とか気づけなかった……。いっぱいいっぱいすぎて。

平坦やちょっとした登り道と急な登りを繰り返しつつ、我らも最初は全然元気。「雨降らなくてよかったー」「曇りだから体力も必要以上に奪われないし、逆によかったかも」なんて呑気に話しながら11番さんの奥の院などを通過してしばらくすると、地元のお父さんが後ろから声をかけてきてくれた。

「どこから来たの?」「東京ですー」「この先頑張らないとねー」

なんて話をしつつ、お父さんにいろいろ教えてもらいながら歩くことに。

どうやらお父さんはすぐ近くにお住まいで、ほぼ毎日この山道を歩いているらしい。で、途中途中に丸太の腰掛けを作ってくれたり、あじさいなどの花を植えたり、キレイに景色が見えるように木を伐採などのお手入れをしたり、道のわきにあるお地蔵さまのお世話をしたりしているとのこと。
今日は、お知り合いの足が悪い方が作られた前掛けをお地蔵さまにつけてあげようと登っているらしい。

「毎日ここ登ってるの?ちなみにお父さん、おいくつですか?」
「72」

マジか!!!!めっちゃ若い!!!
お腹とか全然出てないし!たぶん本気になったら私達よりも早く登れる!!

尊敬。心の底から尊敬。

アケビのお父さんによると、私達はあの山の麓から来たらしい。

そして今の時期はアケビの季節。「アケビなんて食べたことないだろ?この先にたくさんあるから食べさせてあげるわ~」と、一緒に登りながら、脇に咲く花や、眼下に広がる景色で「1番さんはあそこの山のふもと。そこから吉野川を渡ってこう歩いてきたんやな」とか、いろいろ教えてくれました。

そしてお父さん秘密の(かどうかは知らないけど、アケビ採る用の長い竹の棒が隠してあったのでたぶん「秘密の」であってる)アケビスポットで、3mくらい上にあるアケビの実を採ってくれた。
先輩はアケビは知ってるけど生で食べたことはなし。私とOちゃんはアケビ自体をあんまりよく分かってない。

お父さん、アケビ収穫中。

「ほら、これや」

と、お父さんが差し出してくれた竹の先に、白いもふもふがあって、マジで最初毛虫捕まえて脅かされてるんだとびっくり。これがアケビの実らしい。
アケビの実、想像の斜め上すぎて驚愕なんだけど!

アケビは白い部分を食べて種は吐き出す、と教えてもらって、お蚕さまの幼虫のような(でもホントにそう見えた)アケビの実を3人でシェア。
まったり甘いけどしつこくなくて、疲れはじめた体にしみわたる~!体力回復!

途中のおやつ用にカラ付きのアケビも採ってくれた。

その後も途中の休憩所までお父さんが一緒に登ってくれて、お地蔵さまの前掛けも「この先ずっと登って行って、最後のほうの一番高いところにお地蔵さんがいっぱいいるところがあるから。そこで好きなお地蔵さんにこれつけてあげて」と、お地蔵さま前掛けミッションを託された私達。

お父さんとの最後の休憩所で、これまたお父さんのお友達も合流。
こちらのお父さんは80歳オーバーとか。
なんなの?この辺、超人しかないの?

お父さんに別れを告げ、託された前掛けはOちゃんの輪袈裟に結んで、しばらくはお地蔵さまを見つける度に「ここじゃないよね?」「見たらすぐ分かるくらいいっぱいって言ってたから違うかも?」なんて話しながら、ひたすら登り続ける我ら。

写真があるのは平坦な道多し。余裕あるから。

ちなみに焼山寺、めちゃくちゃ大変でした。
私、どうやら山の階段(あの、際が丸太になってるやつ)が超絶苦手らしい。坂なら頑張れるけど、階段になった瞬間、めちゃくちゃペースが落ちる。
なんで?足が短いから?
整備していただけるのは本当にありがたいんだけど、マジで「え?また階段?もう超イヤ!」と思ってしまった……。改めて大変申し訳ない……。

なんとなく「先輩→私→Oちゃん」の順番で隊列を組むことが多いんだけど、ときどき振り返って「だいじょぶ?ペース早い?休憩しよか?」と気遣い屋さんの先輩に声を掛けてもらったり、「Oちゃん、私遅かったら先行って……」「いや、大丈夫」と後ろにOちゃんがいる安心感を感じたり。

アケビのお父さんが休憩所で「3人で回っとるんか。いい思い出になるなぁ」と言ってくれたように、ホント、ふたりが一緒に行くって言ってくれてよかったな、と痛感しました。

カマドウマさんにも遭遇。

私が「登りたいですー」って言い出しっぺになってホント申し訳なかったな、という気持ちもあって頑張らなきゃ!って思えたし、まず!絶対!!確実に!!1人だったら心が折れてた。完全に心折れてた。歩き遍路さんの3割がここで脱落する、っての、マジで大げさじゃないな、って思った。
途中、向かいからトレランのお兄さんが来て、マジで人間じゃないな、とも思った。

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