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映画のはなし:クリスマス映画の名作『素晴らしき哉、人生!』

クリスマスですね。
大好きなpodcast「日本語JōZUですね!」がクリスマス映画をテーマにした内容だったので、私も感化されてクリスマス映画について。
ちなみに、「日本語JōZUですね!」のなかで、ミッキーさんが「クリスマスといえば『東京ゴッドファーザーズ』」と言っていて、マジで超絶同意。今敏監督の名作ですよ!私も大好き。何度観ても泣いちゃう。

でも今回は、『素晴らしき哉、人生!』なのです。原題は『It's a Wonderful Life』。
1942年のフランク・キャプラ監督作の方です。
モノクロ映画の方です。
決して!何をどう間違っても!!!ウィル・スミスが出てる方じゃないです。

『素晴らしき哉、人生!』は、AFI(アメリカ映画協会)が2006年に選出した、「感動映画ベスト100」の第1位作品。ロッテントマトでクリスマス映画の1位になったこともある、クリスマス映画のど定番。
もちろん私は日本人家庭の日本育ちなので、クリスマスに家族でこの映画観た経験はなくて大人になってから観たのですが(アメリカではクリスマスシーズンに絶対TV放送されるらしい)、「なにこの超絶いい映画!!」と思って、ソッコーでBlu-ray買いましたよね。

翼を持たない半人前の二級天使クラレンスは、大天使さまに呼ばれて絶望の淵にいるジョージという男を救うように命じられた。そしてクラレンスは、これまでのジョージの半生を見せられる。青年時代に夢破れたこと、愛しい女との間に子どもも授かり幸せな家庭を築いていること、少しだけお人よしであったがために金銭的に苦労したことなど、何のことはない平凡な人生。
そしてあるクリスマス・イブの日。
ひょんな出来事から8,000ドルという大金を紛失してしまう。この金がないと会社は倒産し、家族を含め全員が路頭に迷うことに……。ジョージは自分が死んで、その保険金でこの大金を賄おうと目論んだ。川で身を投げようとした瞬間、隣にいた老人が先に身を投げてしまい、ジョージは思わず老人を助ける。そして「自分は存在しないほうが周りの人間のためだった」とこぼした。それを聞いた老人は、ジョージが存在しなかった世界を見せる。

作品の大半はジョージの半生の追体験なんですけど、ジョージの人生って、ホントに平凡なんですよ。誰もが経験することなの。
若い時に「自分にはこれから輝かしい人生が待ってるんだ!」と希望に満ち満ちていたのに夢を諦めなきゃいけないやるせなさや、愛する人と過ごす幸せな時間など、きっと、誰しもが経験したり感じたことのある、本当に平凡な、一般的な人生なんですよ。
そして「自分がいなかったらこんなことにならなかったんだろうな」と自己嫌悪に陥ることだって、人間生きてりゃ一度は感じたことがあると思うんです。私もある。ジョージはお金に関する悩みだけど、「あー、私がいなかったら両親がこんなにケンカすることなかったんじゃないかな」とか。考えたことありますよ、私だって(むかーしむかしですけどね)。

でも、じゃぁ本当に自分が存在しないだけで、その悩みは解決されるの?

それを教えてくれるのが、この映画。
作品の大半はジョージの人生を辿るシーンなので、正直そこまで波風も立たないし、冗長な印象になってしまうかもしれないです。でも、そんなこと言わずに観てほしいの!
その先に、最高のカタルシスを感じられる30分が待っているから!!

で、この先ネタバレです。

ジョージが助けた老人は、翼を持たない半人前の天使・クラレンス。そしてクラレンスは「ジョージが存在しない世界線」を見せることにする。ジョージが存在しない世界では、会社はとうの昔に倒産しており妻は独身のまま、友人もジョージのことを知らず、自宅は廃屋。そこは、現実よりもさらに荒んだ世界になっていた。
大切な人たちのそんな惨状を目にし心を痛めるジョージに、クラレンスは言葉をかける。

「きみは、本当に素晴らしい人生をおくってきた」

「元の世界に戻してくれ!」と強く願い、元の世界に戻れたジョージは、大急ぎで愛する家族や友人のいる自宅に戻る。そこで目にしたのは、8,000ドルを集めるため、ジョージのために町の人々が寄付をしに来てくれる姿。妻が現状を訴え、寄付を募ってくれていたのだ。
そして寄付金を入れるためのボックスの中に、1枚のメッセージを見つける。

「友あるものは敗者ではない。翼をありがとう」

もうねぇ、号泣。
クリスマス映画としての定番ではあるけど、自信がなくなった時に観返したい作品なんです。

ジョージがいい人過ぎるとか、そんなご都合主義で、とかあると思うんですけど。時代的な部分でひっかかるところがあるかもしれないですけど。いや、分かりますよ!分かってますよ!言いたいことは!!

でも!!!
自信がなくなって弱ってる時に、自分の人生を全肯定してもらえることが、どれほど勇気づけられることか!!!!

ジョージと同じで、自分の存在価値って自分じゃ気づけない。でも、自分がいることで誰かの何かの役には立ててるのかもしれないな。そっか、じゃぁもうちょっとがんばれるかも、私。って思えるんですよ!!心が折れる度に観返したくなるんですよ!

フェデリコ・フェリーニ監督の『道』もとっても好きな映画なのですが、その作品でも、同じようなセリフがあります。「誰だって何かの役には立ててる。この道の石ころだって、何かの役には立ってるんだよ」というセリフ。
これも超いい映画で大好き!フィギュアスケートの高橋大輔選手が銅メダルを獲った時に『道』の曲を使ってましたね。

で、まぁとにかくですね、マジで名作なので、モノクロ映画と思わずにぜひ観てみてください。
くれぐれも!!ウィル・スミスの方じゃないから!!!

I wish you Happiness!


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