タイ、ひとり旅で出会う
初めてのひとり旅は、タイだった。
一度、仲のいい友達とHISのツアーで訪れたことのあるタイ。
ホテルの食事にお腹を壊しそうになったり、友達とトゥクトゥクという三輪車のタクシーに乗って興奮したり、笑いの絶えない旅行だったが
その旅が終わる頃には、この場所にまたひとりで戻ってくることが想像できて、ドキドキしていた。
初めてのひとり旅。
初めは不安で、現地の旅行会社でホテルや鉄道のチケットを取ってもらったものの、
ひとりで埃の舞う駅まで歩いて行ったり、道行く人に道を聞いたり、屋台で目の前で炒めてくれるご飯を現地の人に混じって食べる行動が、新鮮で楽しくて仕方がなかった。
南の島へ向かうための電車の中で、占い師さんのような老婆に出会う。
私の手相を見てくれて、明るく刺激的な未来を言葉にしてくれた。
雷が落ちたように、今ここにいることを運命に感じた。
だってさっき右の道へ行くことに決めていたら、今この老婆には出会わなかったから。
右に行っても左に行っても、どちらも正しい
計画を立てずに、行き当たりばったり歩くことが楽しくなってきた。
チェンマイのお寺にふらっと立ち寄ったとき、目に飛び込むようなオレンジ色のローブを着た、物静かなモンクのお兄さんに出会う。
彼は確か20歳くらい、私と歳も変わらないのにとても深い眼差しをしている。
日々の節制と、しぼりたてのオレンジジュースと、毎日ゆで卵を食べることが大事だと教えてくれた。
タイはマッサージ大国なので、どの街に行ってもマッサージのお店が目に入る。
どのお店に入ったらいいのか、どんな人がいるのか、どんな値段なのか、入ってみるまでわからないから、どきどきする。
以前来た時友達と訪れたお店を再訪すると、優しそうなおばちゃんと口の上手そうなおじさんが再び迎えてくれて、ただの世間話をした。
旅で出会った人とする、カタコトの簡単な会話。
「ニホンどこから来たの?トキョー?ご飯オイシイね?」
人と出会うこと、知らない人ともコミュニケーションを取れると知ったことが嬉しかったのだ。
マッサージはコミュニケーションでもあると思う。
あなたはあなたらしく、わたしはわたしらしく。