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ドイツに移住するまでの道のり④同僚との出会い

働くことになったスパの扉を開くと、白い服を着た綺麗な人達がいた。

一緒に働く同僚達をボスに紹介され、私は緊張しながら「初めまして」と挨拶をする。

freut mich! よろしくね!

とっさに言われたそのドイツ語は、そのとき全く聞き取れなかった。


英語のできるコニーがスパの案内をしてくれる。

仕事内容や、提供しているサービス内容、休憩室の場所や、洗濯室の使い方など。

やる気だけは誰よりもあったので、必死でありがとうと何度も言っていると、横からボスが丁寧にさっぱりと言った。

教えるのは当たり前の仕事だから、そんなにお礼ばかり言わなくてもいいよ
日本では丁寧にそうするのかもしれないけど、ドイツではそれは時間の無駄になるから

敬意を示して仲良くすることが何より大事だと思っていた私は、カルチャーショックを受けた。

一通りの仕事は覚えられそうだったけれど、やっぱりドイツ語が難しい。

コニー以外の同僚たちは、身振り手振りを交えてめんどくさがることもなく、私がわかるまで何度もドイツ語で話しかけてくれる。

どうしても伝わらないことやわからない単語があれば、英語のできるコニーに聞いてやっぱりドイツ語で説明してくれる。

ドイツ語ができないことが不利だと思っていた私は、彼女たちが私を「ドイツ語ができない」という理由でジャッジしないことに驚いた。

聞いていると彼女たちはポーランドやイラン、ブラジル、ロシアなど、様々なバックグラウンドを持っているみたいだ。空いた時間に、持ち寄ったお菓子をつまんだりおしゃべりしたりしている。

みんなが同じでなくていい


面倒見のいいシルビアが、お客さんと話す例文を教えてくれた。紙に書いて繰り返し読んで練習する。

Hallo, mein Name ist Mayumi, Sie dürfen gerne mitkommen.
(こんにちは、担当させてもらうまゆみと言います。こちらにどうぞ)

ドキドキする心臓を抱えながら、始めて担当させてもらうお客さんにあいさつをする。




あなたはあなたらしく、わたしはわたしらしく。