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Expats このドラマは、私の22年の香港を沢山カバー ノスタルジーと重い思

アマゾンプライムで1シリーズが終了した"Expats"というドラマ。ニコール・キッドマンが主演で舞台が香港

私が22年間住んだ香港を舞台にした話ということで、アメリカ人の旦那(彼も香港に17年在住)と視聴。 

いやーーー。観た後の私の思いを文章にするのには時間がかかりました。

理由は、ストーリーが重いだけでなく、なんだろう? 複雑な気持ち。香港は大好きなのに、大好きだったのに、22年間沢山の事を本当にして、悔いないってくらい全てやって、でもあの香港、活気がありすぎる香港、人混み、熱風、湿気。あの頃を思い出すとなんかもう戻れないっていうかそんな感じなのです。

さて、ドラマはというと、主役のマーガレット(ニコール)の一番下の息子ガスを若い韓国人の女性メルシーに預けたら、Mongkokという人、人、人だらけのナイトマーケットで彼女がガスを見失ってしまい、そのまま何年も見つからず、帰ってこない状況に。

ドラマの中の人間模様は、「自分も同じように生きていた」、「私もドラマに出てくるような人たちと関わった」など、全てが本当にリアル。正に私が生きた香港をリアルに演出をしている作品でした。特に私は20代の半ばに単身で香港に行き、独身時代、欧米人のコミュニティーに入り、でも最初にお世話になったのは留学時代に知り合った香港人の友達たち、そしてアメリカ人と結婚をして、子供が産まれてエクスパット生活になってきて、香港人の部下を沢山持ちとかなり多くの人たちに囲まれて生活をしてきたからだと思うんです。  

先ずは、エクスパットと言われる、駐在で香港に住んでいる外国人の生活。正直日本の駐在員の生活は良いけれども普通よりちょい上。でも、例えばここに出てくるアメリカ人(欧米人)エクスパットは度を越えるほど優雅な暮らしをしている。 

香港の100万ドルの夜景

香港島のピークのてっぺん、香港の100万ドルの夜景が見えるマンションに住み、フィリピン人のヘルパーさんが住みこみで一日中働いてくれる。奥さんは仕事をせずに子供の面倒は見るには見るけど、家のこと、食事、子供の世話はほぼヘルパー任せ。 


5スターホテルでのアフタヌーンティーは有名

隣のインド系アメリカ人の女性は子供ができずアメリカ人の旦那さんと二人くらし。子供はいなくてもヘルパーが住み込みで働いていて、家では度々友達を招待してプライベートシェフをよんでパーティー、昼間は友達と5スターホテルへ行ってランチやお茶をする生活。 

この生活って本当なんです。私も何人もこんな人たちと友達や子供たちの学校の友達繋がりで出かけることもしばしばありました。みんな良い人ばかりだけど、たまにアメリカでは普通に暮らしていたのに香港に行ったらこんな生活が出来てしまってどんどんはまっていってしまう人たち。ここを抜け出すのは帰国すると大変。 

家は共働きだったため、二人目が産まれた後はヘルパーさん二人にお願いして、全て家のことをやってもらっていました。 

ヘルパーさんにフォーカスしたエピソードも、とてもリアル。懐かしくノスタルジック満載の場面が映し出される。

普段住み込みで働いているヘルパーさんたち。ヘルパーさんたちの90%はフィリピンからの出稼ぎで、女性がほとんどで、20代前半から60代くらいまで。みな香港で稼いだお金を家に送金して、子供や親を養っている。フィリピンにいるより格段に稼げるということで香港出稼ぎ者は多い。
彼女たちは、香港人、外国人のエクスパットの家に住み込みで働き、朝から晩まで家の掃除、雑用、食事、子供の世話を一手に手伝ってくれる。

私たちは、結婚式の日からフルタイムでお願いをすることになったBita(子供たちはヘルパーさんたちをAunti Bitaと呼ぶ)。彼女は長く香港の私の友人の家で働いていたものの、The香港人の家庭には馴染めず、その友達からの紹介で私たちの家で働くことに。あれからリタイアしてフィリピンに帰るまでの7年近くはとてもよく私たちと子供の面倒を見てくれた。その後、彼女の姪っ子、実の娘、義理の娘と連れてきてくれて本当に家族ぐるみで生活を共にしたAuntiでした。 

さて、話を戻すと、ヘルパーさんたちはとても過酷な状況で生活しているこも多い。洗濯機の上にベッドが置いてあったり、納戸のような窓も無い部屋が寝室だったり、中には精神的にも雇い主とうまくいっていないケースもぼちぼちと耳にしたり、ニュースで聞いたりしていました。 


私の旦那さんが働いていたCentralにあるビル

そんな彼女たちの唯一の楽しみが、週に一度の休みである日曜日に朝は教会へ行き、そのあとは、香港島のCentral(中環)に集まるということ。ここでは皆、茣蓙を敷き、段ボール箱で囲んでそれぞれの場所を確保して、歌ったり、踊ったり、中には彼女たち目当ての商売をしている別の人種も。 

そして、Expatに戻ると、もう一人の主役のメルシー。彼女は20代前半のアメリカン韓国人の女性。九龍の狭いぼろアパートに住み、たまに英語ネイティブの友達と会って、友達がお金持ちのエクスパットを知っていて、度々ある豪華ボートでクルージングへ行くパーティーにジョイン。ここでマーガレット家族に出会って物語が展開していく。 


香港湾をめぐるクルージングは有名

私も彼女と同じような年に単身香港へ就職し、当時、欧米人エクスパットと週末はクルージングに行ったり、10歳上のイギリス人の男性と付き合ったりもしました。特に私が香港に移ったころは香港もバブル。経済成長の真っただ中でみんな桁違いの生活をしていた頃。そこに私みたいな若造がエクスパットのグループに潜り込んで夢を見るみたいなことをやっている時期もありました。笑。 

別のシーンでは、香港人の財閥系や金融系、起業家の人たちは、プライベートの会員制のクラブのメンバーで、この人たちは欧米人のエクスパット以上の生活。財閥系香港人。

でも多くの香港人が九龍やニューテリトリーに住み、二間くらいの狭いアパートに住み、家族3,4人で肩を寄せ合って生活している。お風呂が付いているところは少なく、トイレの上にシャワーがついていて、シャワーを浴びたら便器はべしょべしょなんてところもあるんです。  

2014年のアンブレラ革命

最後に、アンブレラ革命。 2014年に香港で発生した政治的な抗議運動で、この運動は、香港の市民が中国による香港の行政長官候補の選定に対して普通選挙の実現を求め、民主主義と基本的な人権の擁護を訴えて行われました。

アンブレラ革命という名前は、抗議者が傘を使って警察の催涙ガスや噴水から身を守るために使ったことに由来。2014年9月28日に大規模なデモが始まり、抗議者たちは主に香港の中心部にある政府庁舎や主要な通りを占拠しました。運動は約2か月間続き、平和的なデモや市民の意志を表す象徴的な出来事として広く認識されました。

私もそのころ、オフィスが香港島の中心にあり、下を見るとデモ行進っていうところで仕事をしておりました。

怖いというより、香港人は通常は穏やか、特に男性はイギリス式のマナーを持っていて、とても紳士的。そんな香港が変容していっている中、この時期、多くのエクスパットが国に帰りました。私たちもその一家族でした。子供たちが大きくなるにつれ、広いスペースがある場所で、地に足が着いた生活がしたい。ヘルパーさんのいる生活はとても楽だけれど、今後子供たちが大きくなるにつれ、自分たちで育てないとと思ってきたわけです。

あれから7年。私たちの選択は間違ってはいないと思います。 

Expats、ご興味あれば是非観てください。




それ以外には、香港の汚い部分も綺麗な部分も更に綺麗に映像にしていたことと、音楽がとても合っていて素晴らしかった。 

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