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「淘汰されない私」を目指す

リモートワークが続いています。
連日、ダイニングテーブルでPCに向かうときは
なんとなく惰性でテレビをつけっぱなしにしているのですが、
ふと気づきました。
ニュース番組の様相が変わりましたね。
新型コロナウイルスのニュースばかりをやっている、という話ではなく

ゲストやコメンテーターの数が減った

と感じます。
バラエティ番組なども、そう。ずらりと居並ぶタレントや芸人が
このところ、すっかり減ったように感じます。
モニターでリモート参加している方々は
この状況下でも局から「必要」とされた人なんでしょうか。
視聴者の立場から言えば、
今の方がシンプルでいいと思います(ごめんなさい)。

今までなんであんなにたくさん、出演者がいたんだろうと考えて
ハッと気づきました。

今、すべての業界で同じことが起こっているんだ

飲食店は今後大変だろうな……とか、
テレビや雑誌は今後、本数や出版数が減らされるだろうか……とか、
そんな危惧を感じていたのですが、
今やすべての人々が、同じ立場に立たされているのではないでしょうか。
もちろん、フリーで働いている私も例外ではありません。
ディレクションさせていただける案件自体が激減するかもしれない。
記事を書けとご依頼くださる媒体が消滅するかもしれない。
そうなったら…………。これは困ったことになります。

テレビを見ていて思うのですが、
モニターで出ているにも関わらずたいした意見も言えない方などは
「もう少し勉強してから出演すれば良いのに」
「もう少しディベート上手になる努力をすれば良いのに」
などと、ついお節介なことを考えてしまいます。
が、この状況になった日本では至るところで
「今まで、なんでこんなことしてたんだろう」と
我に返る経営者や企業が続出しているはずです。
弱者の意見は受け入れられるべきですし、
会社の勝手で振り回されるのは、避けたいところ。
しかし、
コロナ禍でも自身の立場を守ることだけを言い募っていては、
企業や業界もろとも、崩れ去る危険性もあります。つまり諸刃の刃。

いい加減、変わらなくてはならないことに気づくべき

なんだと思います。会社員もフリーも、みんなが。
料理教室を主宰する友人の中には
いち早くYouTubeで料理番組を自宅から発信したり
生徒向けには、zoomを使って料理教室を継続する人もいます。
すごいなぁと思うのは、みなさんどんどん編集力がアップしていくこと。
最初は「撮っただけ」的な動画だったのが、
次に見ると字幕で作り方説明が入っていたり、音楽が流れたり
イントロやエンディングのコメントがこなれてきたりと、
素晴らしい進化を見せてくれるのは、一人や二人ではありません。
彼らがみんなデジタルに強かったっけ、というとそんなこともなく。
きっと必死なんだと思います。なぜなら

お金をいただくクオリティーに責任を感じているから

私は、最初にアルバイトで務めた小さな出版社の当時の上司から
「いつでも経営者立場で考えろ」
と叩き込まれて以来、
お金に対してはシビアな感覚を持つように努めてきたつもりなのですが、
今、自分に出来る新たな試みを果敢に発信する人たちって
みなさん、優秀なセールスマン的発想を持つクリエイターだと感じます。
政府のやり方に歯がゆい思いをすることもあるでしょう。
しかし、文句を言っている間にコロナは猛スピードで生活を飲み込みます。

淘汰されないためには、マッハで手法を変えるしかない

ようやく、そんな非常事態なのだと理解できるようになりました……。

先日、こんな最中だというのに、とても興味深いお仕事をいただきました。
あるブランドのWebのタイアップ記事を制作したのですが、
事前のクライアントとの打ち合わせは、すべてzoomミーティング。
撮影前のコンテもその日に描いてメールし、翌日には返事がきました。
大人数が集まる撮影は組めないので、
スタイリスト、料理家、フォトグラファーは、全員リモートです。
彼らの自宅に商品を送り、それぞれの感性で自撮りしていただきました。
その撮影中もLINE電話で確認し、
いただいた画像データを当日中に記事に仕上げて
クライアント確認に回し、終了。

クオリティーやディテールの確認、商品の見え方など、
半年前の自分なら、この手法自体、GOサインは出せなかったでしょう。
ましてや、これを「やろう」と決断してくれたクライアントはなおさら。
ですが、結果的にはこれまでにはなかった価値が
この記事には宿っているような気がします。
今後もこの手法でいきたいというわけではありません。
けれど、

“こだわり”って普遍的なものではないんだ

と気づけたことが収穫でした。

フリーになって作った名刺の肩書きには「ディレクター」と入れましたが、
もうこの文字、特に使えなくてもよいです、私。
自分は今後、どんな状況でも新たに仕事を提案しますと
それを信条にして、アフターコロナの時代に向かえたらと思います。

#料理 #アフターコロナ #COMEMO



フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。