見出し画像

アフターコロナは「多職」で生きる

昨年秋に、サラリーマン生活に終止符を打ってフリーになりました。
ずいぶん長い間(1年!!)、考えたり悩んだりして決めました。
なので、辞めた後は後悔もなく楽しく過ごしていたんですが
独立して半年足らずでコロナ勃発。
周りの友人や家族からは「だ、大丈夫なの……?」と言われます。
言外に漂うのは

安定した仕事を辞めなきゃよかったのに〜

という彼らの思い。
愛と親切心に包まれて、私は本当に幸せ者です。ありがとう。
しかし逆に、
あの時辞めていなかったら、そのままタイミングを失っただろうな
とも思うんです。

アフターコロナ時代が始まった

今この瞬間、まさか「元の日々が戻ってくる」とは思っていませんよね?
断言しますが、私たちはかつての生活には戻れません。
なぜなら、たった数ヶ月で私たちの意識は自分たちも気づいていないくらい
チェンジされてしまったからです。

実を言えば、
今年の初めにご発注いただいた某インタビュー取材のお仕事で、

地方のシェフへの取材、テレビ電話でお願いできますか?

と担当編集の方に聞かれ、
そんな! とんでもない、そんなの無理です〜
……と答えた自分が嘘のようです。
面識のない有名なシェフから
心の奥にしまってある食への思想を聞き出そうという企画なのに、
いきなりテレビ電話でだなんて、あり得ないよ!とその時は感じました。
もちろん、そういう気持ちは今も私の心の中にあります。
ただ、今では「場合にもよるよね」と思うように。
取材される側もおそらく、同様ではないでしょうか。

昨夜は、忙しくてなかなか時間が合わせられない動画のディレクターと
代理店の方との三者ミーティングを、オンラインで開催してもらいました。
ディレクターは海外の方で、これまでお会いしたことがありません。
インタビューの奥深さとはまた異なるのですが、
これからプレゼンするプロジェクトの中身を検討する大事な会議を今回
リモートで実施して、なんの支障もありませんでした。拍子抜けするほど。

独立後、新しく自分用の名刺を作ったのですが、
肩書きについてはこれまた散々考え、結局「ディレクター」と入れました。
が、これも今や、「もー、どうなったっていいです〜」な気分。
かつてイノベーティブ系のレストランを取材した際、
最後にシェフに「レストランジャンルは何と書きましょう?」と聞いた時に

山口さんが感じたジャンルにしてくれちゃってOK

と言われてびっくりしたことがあるんですが、今や私も同じ境地です。
スペイン料理でもフレンチでも和食でもいいです、あなたの思うように。
……とおっしゃったシェフ。
私も今、ディレクターでもいいですし、ライターでもコンサルでも
スタイリスト、コーディネーター、便利屋、サクラ、
もう、なんでもいい。ただし、面白ければ

そう、面白いと感じられるかどうかだけを
判断基準にして正解と思うようになったんです。たった2ヶ月で。

noteを始めてからというもの、

書かずしてやってられるか

というような日常のあれこれは、ここで発信できています。
仕事で執筆案件をご発注いただけると、もちろんすごくうれしいのですが、
正直、noteで書いている内容こそ、文責は私のみ。自由です。
自由に書き散らした物にビジネスの醍醐味はないんですが、代わりに
(言い方は悪いですが)脳内の淀みを排泄するような快感があり、
また、なんの下心もなく書いた過去の文章に対してご連絡をいただいたり
それがきっかけでお仕事が生まれたりすることもあります。
これ、小さいようで大きな成果です。仕掛けを作ったのは自分ですから。

政府が一生懸命訴え続けてもたいした進歩がなかった働き方改革が、
今、新型コロナウイルスによって一気に進められています。
無理やり勤務形態だけを変えようとしても、そりゃ無理だったわけで、
自分で納得し、「いいね、面白そうだからやる」と意欲を持てたからこそ
リモートインタビューも動画製作案件も
料理家でもないのに料理を発信する仕事も、全部GOサインを出せました。

私の上司は今や私一人しかいないんですが、
今後について、“myボス”は私にこう言います。

多職で生きていきなさいよ

「フリーになりました」と知人友人に話してきましたが、
実際はそこまで「フリー」ではなかったんだね。
きっかけがコロナってのがちょっと悔しくはありますが、
今、私、やる気満々。
もう一度スタートする気持ちで6月を迎えます。

#料理 #COMEMO #働き方

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。