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“量のサービス”にバイバイしよう

最近気になったこのニュース。
誰かご覧になった方、いますか?

甲子園名物「超大盛りカツ丼」が消える

歴史ある町の定食屋さんが、食べたい盛りの若い人に、と出していた「超大盛りカツ丼(800円!)」が
一部のインスタグラマーたちから「映(バ)える」と人気が出て、その結果、
写真撮影目的に注文し、大量に残していく輩がいるんだといいます。ひどすぎる。
お店のご主人が心を傷め、「こんな無駄にされるのなら、もうやめる」と、
「超大盛りカツ丼」はメニューから外されたのだとか。悲しすぎる。

しかし私、同時にあまのじゃくなことも考えてしまいました。
というのも、これだけフードロス問題が叫ばれている今、
超大盛り」って、徐々に時代に伴わないサービスになってきてもいるんではないかなぁと思うんです。
お店のご主人、ごめんなさい……。

もちろん、このお店のカツ丼が大盛りなのは、
「お金のない若い人たちにも満足してほしい」という優しさゆえの理由であって、
この人情を否定するつもりは毛頭ありません。
が、そんな気持ちを表現するための手段としては、例えば

○杯まではおかわり自由

みたいな方法もあるんじゃないでしょうか。

要するに、「インスタ映え」が流行るうんと前からすでに
名物料理で名を上げるという商売メソッドはごく当たり前の存在で、
いざその名物が姿を消すとなると
なんとなくノスタルジックな気分になっちゃう。
それが心無いインスタグラマーのせいなら、許せない!
……というのが、このニュースの裏にある「気分」なんじゃないかなと思うわけです。

余談ですが、名店がクローズする際、「寂しくなりますね」などと安易に声がけしてはいけないそうです。「ならもっと来てくれればよかったのに!」と、余計にスタッフの方々に悲しい思いをさせてしまうことにもなるんだよねと、以前、ベテランの料理人がつぶやいてました。

しかし、
インスタグラマーの横暴以上にフードロス問題は深刻です。

私、自分が生きている間にそんなこと起こるのかなーと今まで呑気に考えていたんですが、
来るんですって、食糧難時代が。本当に。

最近の若手シェフたち、
いわゆる「ゆとり」だとか「ミレニアル」の方々は、

自分たちだけウハウハ

みたいな状況をダサいと考える素敵な世代です。
レストランを営み、料理と向き合って生きつつ、同時に
虫食が現実になる未来がくるよと啓蒙イベントを開いたり
水産資源の枯渇を世界に訴えたりと、
積極的に活動している人も多いんです。

フードロス問題を考えるとき
もう一つ大切なのは、

「量のサービスは真心だ」と考える世代にも意識改革が必要だ

という点だと思います。
……ってこれ、私の親世代なんですけどね。
たまに帰省するともう、
これ食べて、これ美味しいよ、これ知ってる?
と、すさまじい量のごはんが食卓に登場。
親なので、

ママ、こんなに私、食べられないよ。

とはっきり伝えればいいんですが、
「でもぉ……」とか言いつつ、
まだ何か出したがっている母親のありがたさやけなげさ、優しさがまた、身にしみる。

同様に、過剰な量による誠意の表現は
今も毎日、日本中の家庭で、定食屋さんで、民宿や旅館で、行われていると思います。

気持ちはたっぷり頂きましたっ!
ごっつぁんです!!

と、食べる側も負けないくらい、作り手にドカンと感謝を伝えられるようになれば、
少しずつ、こういったボリュームサービスは衰退していくんじゃないでしょうか。

#フードロス #料理 #COMEMO


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フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。

うれしい!ありがとうございます。今日も美味しい1日を!
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【食の編集&ディレクション】『婦人画報』『ELLEグルメ』(ハースト婦人画報社)編集部を経て独立。明日食べるもの、行くべきレストラン、味わう酒について伝えたいことがあります。https://www.instagram.com/mayukoyamaguchi_tokyo/

コメント2件

すべて同感です。
私も派遣で旅館のような懐石料理のセットと片付けをしますが、残り物が多すぎる。そりゃお客さんからすれば、美味しいものから食べて満腹になったとき、しゃぶしゃぶ皿の脇に置かれたえのきやら、最後のデザートなんて入りませんよね。
それならもう1皿ごとの会計にして、少食の人がちょうどいい量だけ注文できるようにすればいいのに、なんて思います。
誠意とか見映えとかって人が喜ぶものだけど、ほかの形に変えていく時期がきてますね。
コメントありがとうございました😊
実際に料理をサーブしていらっしゃるんですね。残ったままで戻ってくるお皿を見ると涙が出る思いをされているんでしょうね😢
食糧難の時代を謳っている一方で、これはないですよね。
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