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筋肉が動く仕組み

最近は脚気(かっけ)という病気をあまり聞かなくなり、その検査をすることも減ってきました。この検査は膝蓋腱反射と呼ばれるもので、膝のお皿の下にある腱の部分(膝蓋腱)をハンマー(打腱器)で叩いて起こる反応を見ています。経験したことがある人は、勝手に足が伸びた!と思ったことがあるかもしれません。

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筋肉が腱となり骨に着いていく前の部分をハンマーで叩かれると、その筋肉がわずかに伸びます。筋肉には筋紡錘と呼ばれる長さの変化を感知するセンサーがあり、”筋肉が伸びたぞ!”という信号が脊髄に伝わります。筋肉の状態についての感覚情報は脊髄で運動神経に伝えられ、運動神経は支配している筋肉に対して”収縮しなさい!”という司令を出します。ハンマーで叩かれてから足が動くまで、わずか1秒の半分くらいの時間。こんな短時間では、筋肉に入った刺激を脊髄から脳へとあげ、脳が情報処理をして、その結果を脊髄へと下ろし、脊髄にある運動神経が筋肉へと司令送るには間に合いません。このように、情報の入力から統合、そして出力が脊髄と末梢神経の間で行われており脳を介していないため、”勝手に動いた!”と感じます。

一方で、目の前にあるコーヒーカップに手を伸ばす、などのように意識しておこる運動もあります。このような場合では、大脳皮質の運動野の腕の領域、手の領域にあたる部分が運動の司令を出しています。大脳皮質にある感覚のこびと(一次体性感覚野)から溝を挟んだ反対側には、運動に関わるこびと(一次運動野)があり、感覚のこびとと同様に繊細な部分はその領域が大きいという特徴があります。ここの部分に電気刺激をすると、対応する筋肉が収縮をします。

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目の前にあるコーヒーカップに手を伸ばす。単純な動きに思えますが、コーヒーカップはどのくらいの距離にあって、どのくらいの重さで、そしてそれを持ち上げるにはどのくらいの力を発揮したらいいんだろう?といったことに関して運動の企画を立てなければいけません。これは高次運動野と呼ばれる部分が行ってくれています。それについては、また今度。

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