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東京お散歩日記#6(乃木坂①)

お散歩日記 (乃木坂①銀座ウエスト青山ガーデン)

・・・8月◇日 晴れ ・・・

猛暑のピークは過ぎたようだけれど、今日もやっぱり暑い。
くっきりとした白い雲が浮かぶ青空のもと、まず向かったのは銀座ウエストのカフェ、青山ガーデンだ。

会期終了間際、駆け込みで国立新美術館で行われている『古典×現代2020 時空を超える日本のアート』をみにいくためチケットを予約して、でもせっかく乃木坂まで行くのだからそのまえにウエストでお茶でもしていこうかな、と思いついて、オープンと同時入場を狙ってやってきたのである。

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11時時開店のところ、着いたのは10分前。にもかかわらず既に人が並んでいたので、そのうしろにそそくさと並ぶ。セミがジージー鳴いていて、通りのプラタナスの木は青々とした葉っぱを茂らせていて、八月も終わり近いというのにまだまだ真夏だなあという感じがする。並んでいるだけで汗がじわりとにじみ、早くオープンしないかなあと店内をのぞくと、おいしそうなケーキが並ぶショーケースが目に入った。チーズケーキ、プリン、コーヒーゼリー、シュークリーム、エクレア、などなど。いつもだったら嬉々としてどのケーキにしようかなと迷うところ、暑さのせいかここまで来たくせに急に食欲が落ちてきて、とりあえず早くなかに入れてくれ、とワガママなことを思っていたら開店5分前くらいに扉が開き、販売スペースにある待合用の椅子に案内された。

コロナ対策のためピッと非接触の体温計で検温をされ(入口では手指消毒もした)、涼をとりながら汗をふきふき、しばし待つ。そのあいだにも続々と人はやってきて、あっというまに行列になり、そして11時ちょうどにカフェは開いた。

お好きな席にどうぞ、と言われ、窓側の二人掛け卓に早速座る。
青山ガーデンのこのラウンジは、銀座本店の喫茶室とはまた違う雰囲気で、シックな邸宅のなかの一室のよう(ちなみに銀座本店はこちらよりも小さめで静粛な雰囲気があり、ちょっと教会みたいに思う)。茶系の絨毯が敷かれ、広々とした空間には二人掛け卓や四人掛け卓が余裕をもって配置されているので、開店と同時に席の大半は埋まったけれど、まわりはさほど気にならずにゆっくりとした時間を過ごせそうだ。

注文したのはミルクティーとダークフルーツケーキ。
ケーキを食べるほどの食欲はないけれど、なんとなく口寂しいのもあって、迷ったすえにドライケーキセットを注文することにした。
※ちなみにドライケーキセットは、他にもヴィクトリアやクッキーなど、数種類のなかから選べます。

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ふうっと一息ついて、窓の外を眺める。
外にはウッドテラスがあって、緑囲まれたなか白いクロスをかけたテーブル席がいくつかある。天井にはプロペラのような木製のファンが回っていて、木々の葉っぱも気持ちよさそうに揺れていて、そんな光景を見ていると一瞬、軽井沢とか、そんな避暑地にいるような錯覚におそわれる。と同時に、軽井沢に行きたいなあ、と急に思う。森林の空気を感じながらサイクリングしたいなあとか、温泉にゆっくり入りたいなあとか、お蕎麦とか野菜のピザとか食べたいなあとか、ただただひたすらボーッとしに行きたいなあとか。そんな欲求うずまきながら外をぼんやり眺めていると、ミルクティーとドライケーキが運ばれてきた。

白シャツに黒のベスト、黒のスカート、といった清楚な制服姿の店員さんがきびきびした動作で給仕してくれるミルクティーは、ティーポットではなくカップ一杯だ。けれどウエストのうれしいところはおかわり可能というところ(ジュース以外の飲み物で同じものに限り)。以前訪れたときにはかなり長居してしまって、三回くらいおかわりをした記憶がある。けれど今日はこのあと行く美術館の予約時間が決まっているので、ある程度時間を気にしながら過ごさないといけない。

優しい口当たりのミルクティーを一口飲んで、金色の紙に包まれたダークフルーツケーキを早速食べると、ブランデーやラム酒といった洋酒の香りほのかに漂う大人の味で、とてもおいしかった。お酒はあまり飲めないくせに(飲むのは正月に梅酒くらい)、洋酒に漬け込んだお菓子はなぜか好きなのだ。しっとりとした生地にはレーズンやオレンジピールといったドライフルーツやクルミも入っていて、小さいわりに食べ応えもある。見た目はやけに黒いけれど、これはあとで調べたら黒蜜が入っているからだそう。お店では二個提供されるので、お腹が程よく満たされた。

まわりをみると、サンドイッチを頼んでいる人やケーキセットを頼んでいる人などさまざまで、みんな優雅に時間を過ごしているようにみえる。店内にはオーケストラ演奏のクラシック音楽が流れていて、全体的に落ち着いた雰囲気。ひょっとするとたまたま居合わせた人たちの年齢層がわりあい高かったから、余計に落ち着いていたのかもしれないけれど。

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本を読んだり、ぼーっとしたりしながら時間を過ごす。
贅沢だなあと思った。久方ぶりの贅沢だ。というのもコロナの状況になってから以前ほどカフェや喫茶店に行っていなくて、最近ではそういう状態の方が普通になってしまった感がある。けれど対策がきちんとされているお店で、かつ自分自身もしっかり予防対策をしていれば、たまにはこういうお店でのんびりお茶をするのは心の健康のためにはむしろ必要なことなのかもしれないなあ、なんてことを思いながら、どっぷり贅沢な時間に身をゆだねていたら、結構な時間が過ぎていた。

ミルクティーを一杯しか飲んでいなかったのでおかわりをお願いし、しばし待つ。コーヒーの場合は店員さんがポットを持ってまわっているので、その場でおかわりを入れてくれるのだけれど、ミルクティーの場合はキッチンの方で入れてからもってきてくれるので、その分、時間がかかる。だから待つのは当然なのだが、このあとの美術館の予約時間を考えるとそんなに余裕はなくて、かといって優雅な時間が流れる店で急かすのもはばかられ、若干ヤキモキしながらもしばし待っていると、ようやく奥の方から店員さんがおかわりを運んできてくれた。

が、すでにゆっくりお茶をする時間は残っておらず、せっかくいただいたミルクティーをほぼ一気飲みしてしまった。それでもウエストのミルクティーは二杯以上飲みたかったので、気持ちとしては満足して席を立ち、会計を済ませて店をでた。

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ジージージー、と相変わらず外はセミの鳴き声であふれ、日差しも強い。道の向こう側には青山霊園があって、緑も鬱蒼としている。

日傘をさし、濃い影を落としながら来た道を戻る。
乃木坂駅につき、階段をおりて美術館直結の通路を行くと、途中、検温場所があらわれ手首をピッとされる。それからエスカレーターをのぼり、のぼり、のぼり行くと、青空広がる地上に出て、目の前に国立新美術館の入口(西入口)がみえた。

❀今回のお散歩日記は次頁(乃木坂②国立新美術館『古典×現代2020』)に続きます。

◇◇◇ 今日のお散歩写真① ◇◇◇

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        乃木坂駅、青山霊園方面の出口から出て、
        ウエスト青山ガーデンを目指します

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真夏の日差しで、

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木の影が地面に濃く落ちています

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開店まえのウエスト青山ガーデン
たくさんの緑に囲まれています

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セミがジージー鳴く青空の下、

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入口前にあるスロープのところで並んで待ちました

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11時ちょうどにカフェに通され、まずは冷たいお水を…

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外のテラス席は緑に囲まれていて、一瞬、避暑地のようにも見えました

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木製のファンが回っていて、涼し気です

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注文したのは、ドライケーキセット
ミルクティーとダークフルーツケーキを選びました

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 金色の包みを開けると、やけに黒いフルーツケーキがあらわれます
この黒色の正体はなにかというと、黒蜜とのこと

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洋酒に漬け込まれたドライフルーツやクルミがぎっしり

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飲み物はおかわりできるので、もちろん!おかわりしました

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お茶時間を満喫したあと、再び外へ…

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ウエストのすぐそばには、

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なにやらお洒落な食パン屋さんもありました

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通りの向こうで青山霊園の緑が生い茂っています

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ふたたび乃木坂駅に向かってほんの数分歩きます

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日差しは強く…、

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プラタナスの葉っぱが、げんなりしているようにも見えました

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駅に到着 
地下へおりて、美術館直結の通路をいきます

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地下からエスカレーターをあがって、

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あがっていくと、上から太陽の日差しが降り注いできました

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地上に出て、このまままっすぐ行くと、

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国立新美術館の西入口に到着します

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❀今回のお散歩日記は次頁(乃木坂②国立新美術館『古典×現代2020』)に続きます。

お読みいただきありがとうございます。