膝
あっ!!!!
僕は膝だ。
今、膝であれば一度は、いや何度でも経験するであろう出来事が起ころうとしている。
地面がどんどん顔に近づいてくる。
あ、膝の表面のことを僕たちは顔と呼んでいる。それが常識だ。郷に入っては郷に従え。
ああまた腕を曲げ伸ばしする度に激痛に襲われるのか。
あ、膝の関節のことを僕たちは腕と呼んでいる。人の踊るときは踊れ。
ついに膝が地面に激突した。
あ、僕は自分のことを自分の名前で呼ぶこともある。
人の家の匂いは慣れろ。
顔から血がたら〜っと流れる。
あ、僕は伸ばし棒を〜にするタイプだ。
ポップコーンを噛む音には気をつけろ。
これは大きな瘡蓋になるぞ。
あ、僕は漢字が得意だ。
こたつは譲り合え。
なぜこうなったかを考える。
第一、僕は何も悪くないはずだ。
歩く度に腕を曲げ伸ばししていたら、いつの間にか地面に激突していた。
躓いたつま先のせいではないか。
つま先の過ちを僕たちが背負っている。
そう考えると怒りがふつふつと湧いてきた。
くっそ〜
こうなったらラップバトルをするしかない。
ジュクジュクジュクジュク🤏🤏
走るつま先の過ち その先に二人の俺たち
染み出た赤が 幸か不幸か
弱さは淘汰 調子はどうだ
歴戦の証 瘡蓋を剥がし
結果はつま先が勝利?なら審査員は見る目なし
ジュクジュクジュクジュク🤏🤏
そんなん言うてるけどつま先もしんどいねん
巻き爪とかめっちゃあんねん
サンダル履く以外日の目浴びひんから
生まれたままの白さ保ってんねんこっちは
小指よくぶつけるのは人間の脳が位置をちゃんと認識出来てへんかららしいわ可哀想にな!
ジュクジュクジュクジュク🤏🤏
カンカンカンカン!!!
終了ー!!!!!!
3対4でつま先の勝利!
おめでとうございます!
以下審査員コメント抜粋
肝臓:やっぱりパッションだよね。膝は確かにテクニックはあるんだけどパッションが足りなかった。即興である、ゆえに出てくる己の内なるものが見えていたね、つま先は。
小腸:私はなんとなく膝に投票してしまいましたが、今考えるとつま先かな。先行でガツンといかれたところに持ってかれちゃった。でもどっちも素晴らしかった!
腎臓:どっちもよかったよ!!!リズムに乗れていてすごくいい!!また聴きたい!
結果を受け膝は膝から崩れ落ちた。
あまりの疲れに膝が笑った。
同時につま先に感動し膝を打った。
いつか膝を交えて話し合いたいと思った。
その時は尊敬の念から膝を正すだろう。
そして筆者は膝の慣用句をたくさん調べた。
「うわーん!!また転けた!!泣」
「もう、お家帰って絆創膏貼ろか。今日炊き込みご飯やから元気出し」
おわり
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