育児は痛い。

育児とは。

母になって、2週間。
私はこう答える。

育児とは、痛い。
痛い、痛いの連続だ。

陣痛からはじまり、
後陣痛、会陰切開、腰痛、腱鞘炎、
そして、
この先長く続くであろう、
授乳による傷だらけの乳首の悲鳴…

後から、あとから、
新たな痛みが押し寄せてくる。

育児＝痛い。

私はそう心得た。

「陣痛の痛みなんて、生まれてきた子供の顔を見たら吹き飛んじゃうよ！」

満面の笑みで、
そう教えてくれた先輩ママ。

そんなの嘘だ！
そう叫ばずにいられない…

出産前、
幾度となく想像しては涙した、
我が息子との対面の瞬間。

君かぁ
やっと会えたね！
はじめまして

そう言って胸に抱き、
涙があふれてくるに違いないと
疑わなかった。

しかし、現実はどうだろう。

無、だった。

思い返せば禅の境地に近いのか
完全に空（くう）だ。

やっと、やっと終わった…
眼鏡を外しているので、
取り上げられた息子の姿は
かすんでいてよく見えない。

もう、眠っていい。
もう、何の痛みに苛まれることなく
眠っていいんだ！

いっさいを整えられ、
私の腕に運ばれてきた
うまれたての息子に対し、
心のなかでささやいた言葉は、

「おつかれ」

その一言に尽きる。

私の赤ちゃん！
というより、もはや戦友に違い感覚だ。
（そして今も共に戦い続けている）

そんな具合だから、
生まれたての我が子を抱いたって、
私はあの、23時間にわたった
恐怖の陣痛を
一生忘れないだろうと悟った。

初産の軽めの後陣痛の痛みにさえ、
陣痛の辛さを思い出し、
吐き気をもよおすほどだった。
もはやトラウマに違い。

育児は痛い。
でも大丈夫、
今感じている痛みは、
いずれくる次の痛みに
気を取られすり替えられていくから。

お産だけでなく、
育児もイッターイ！

そりゃ
母は強し、にもなる。

麻佑子

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