日常を取り戻していくことが、よろこび。
子どもが生まれる前、
夫婦2人でよく通った、
駅前のドトールへ、
息子と2人だけで行ってみた。
ミラノサンドとロイヤルミルクティーを注文する。
いつものおじさんはいなかった。
私的な言葉を交わしたことはないけれど、お腹の大きな時にも通ったし、
無事に産まれましたよ〜と
それとなく、
お知らせしたかったのだけれど。
ベビーカーをひいて、
息子を抱っこする私に、
みんなやさしい。
椅子を引いて、食事を届けてくれる。
授乳ケープの中で、
息子を抱きながら片手でミラノサンドを食べる。飲む。
店員さんの対応も変わった。
今までみたいに、ものを書きながら過ごすこともできないけれど、
じわじわと喜びのような、
自信のようなものがこみ上げてきた。
電車に乗る。
まずは抱っこひもで。
また電車に乗る。
今度はベビーカーで。
バスに乗る。
カフェに入る。
息子と一緒に。
これまで当たり前のように過ごしてきた日常に、
息子を連れて行けることが、うれしい。
こうやって私の日常を取り戻していくんだな。
妊娠、出産という
非日常からの脱出。
息子がいるという非日常が、
じんわりと日常に馴染んでいく。
きっと、
今だけの感覚なのだろうなと思い、
ミラノサンドと一緒に噛みしめた。
麻佑子
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