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じわじわくる育児

とても新宿には行けない…

わりと、フットワークは軽い方だと思っていた。少し無理をしてでも、足を伸ばすタイプだ。

それなのに。

新調したジャケットとパンツで、おしゃれにキメて出かけた夫との待ち合わせに、私は行けない。

こんなぼろぼろの私では、とても。

息子は夜しっかり寝る。
それでも、少しの物音で起きられるように、眠りは浅くなっているらしい。
慢性的な寝不足だ。
息子が寝ている間に一緒に寝ればいいと言われるけれど、その間に家事をこなしたいし、こうやって、唯一の楽しみである文章だって書きたい。

はじまったばかりの離乳食の作り置きもしたいし、夫が気にしていた窓の掃除もしたい。
引っ越しを控え、荷物の断捨離もしなくちゃ。
6ヶ月検診の予約、予防接種、夕飯の支度、自分の病院にいく支度…
と気ばかりあせっているうちに、息子が束の間の昼寝から起きる。

人見知りが始まって、私の姿が見えないと泣くから、泣き声に耐えかねて抱っこする。
抱っこしたまま家事をこなそうにも、約8キロの体重が私のひざと腰を容赦なく砕く。

疲れ果てて、息子とベッドにごろんと沈んだら、意識が飛んだ。
気づけば、あっという間に家を出る時間。

古いままのメイクと、着古したいつもの服と、ぼろぼろの肌と広がった髪の毛。
鏡に映る私を見て、とても無理だと思った。
おしゃれした夫の横に並んで、とても新宿を歩けない。

「ごめん、新宿まで行く元気ない…ごはん外で軽くすませよう。」

正直に、夫にメールした。
せっかくの待ち合わせなのに、敗北感。

結局、最寄りの駅で待ち合わせて、立ち喰いのうどん屋に入った。

「話し相手が来て良かったね…」

夫に言われてはっとした。
いつも気をつけていたはずなのに、今日のことをつらつらと、せきをきったように話してしまった。

話し相手がいないからって、仕事で疲れて帰ってきた夫に、取り立てて事件性のない話(ひとはそれをどうでもいい話と呼ぶ)を、ばーっと話さないようにしよう!と心に決めていたのに…
そうしていることにも気がついていなかったことが、恥ずかしくてショックだった。

寝不足、全然大変じゃないよ。
うちの息子は夜寝るから平気。
育児、私は仕事をしていないから、働いてるお母さんより全然楽。

そう思ってやってきた6ヶ月。

じわじわくるものなんですね、育児の疲れって。

まだ何にもわかってなかったなぁと、思い知らされた。

このままじゃあ、つぶれちゃうな、私。
そう、夫に告げる。
何かの要請ではなく、一応、報告。

もっとうまくやれる方法を探ってみる!時間の使い方や、力の入れ具合の緩急など。

自分の性格と、生活にあったやり方がきっとあるはず。
それを見つけられたらきっと大丈夫。

じわじわくる育児に、じわじわ迫っていこうじゃないか。


麻佑子

#日記 #育児 #エッセイ #子育て



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