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仕事ってなんだろ。

ある日、ある少年と仕事について話をする機会があった。

私は、どんな仕事をしている人に対しても、「それが仕事でしょ?」とか、「好きでやってる仕事でしょ?だったら我慢しなよ。」と言う人が好きじゃない。

そんなことを私が少年に対して言うと、「違うよ、あの人たちは好きで選んでその仕事をやってるんだから良いんだよ。」というニュアンスの言葉を返してきた。

確かに職業選択の自由はある。だから、好きでやっている、も一理ある。でも、世の中に必要とされる仕事は、誰かが引き受けなければならない。ほとんどの人がやりたくない仕事であっても、だ。

「私以外の誰かがそれなりの賃金をもらってやってくれれば良い。私はその仕事を選択しなかったけど、その人はその仕事を選択したんだから、自由にやってもらったらいい。」

なんとも正論のようでいて、ものすごく冷たい感じがしないだろうか。

誰かが引き受けなければならないような、皆が嫌だというような、そんな仕事をしてくれる人に対するそれが礼儀なのか、と思う。

そして、もうひとつの視点がある。世の中のどれくらいの人が、自分の仕事を好きと言えるのか、ということ。

仕事というのは、本来誰かに必要とされなければ成り立たない。自分が好きでやっている事でも、誰かが必要としてないことなら仕事としては成り立たないのだ。

少なくとも、これを読んでくれているあなたの多くが就いている仕事は、世の中に必要とされている仕事。しかし、好き、大好き、とはまた違う感覚ではないだろうか。

子どもに対して、未来を輝かしく伝えることは大切で、自分達が自分らしく生きていくために、どんな仕事に就くかというのは、「好きなことを仕事に」というように、魅力的に導いていく必要はあるとは思う。

ただ、「自分だけが自分らしく生きていけばそれでいい」というのも違うような気がする。

様々な仕事や生き方があり、色々な思いで生きているという現実を尊重し、リスペクトできることも重要である。

しかしながら、子どもたちに、どんな仕事や生き方をしている人も尊重しろ!と言ったとしても、それは本当に心や体から自然に湧き出るようなものにはならない。どれだけ勉強しようと身につかない、道徳の教科書の教材のようになってしまう。

身近な大人が、身をもって、自分の仕事感や生き方について誇らしく語れるように出来るようにしたい。そのためには、仕事や生き方に対する不満や不安は、解消していく努力をし、大人であっても日々学び、成長し続けることが大切ではないだろうか。

そうすることで、多様な生き方や多様な仕事に対する尊重の念や、リスペクトが、大人から子へ自然に受け継がれるのではないか、と考えている。

さて、あなたの生き方や仕事の誇れるところ、素晴らしいところはなんだろう。


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