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夫を手放す!?④お前は人生で何をしたいんだ?

前回までのお話はこちら


絶叫と共に電話が切れて、もう電話は繋がらなかった。

まゆの怒りは頂点に達していた。このままじゃ終われん。
向こうにいる友人にヒデちゃんの部屋へ再突入をお願いする。

(コンコン、ガチャ)

電話越しに
まゆ「おーい!」

ひで「・・・」

まゆ「話の途中なんですが」

ひで「・・・」

まゆ「なんか言ってよ」

ひで「・・・うぅぅううううううう」

か細い声はやがて、涙混じりになり、獣の鳴き声のような荒々しい声になり、
ヒデちゃんはベットの上で悶えながら大声で泣き叫んだ。 



一緒にいる友人が優しい声をかけてくれる。
「うんうん、辛かったね。」

電話越しに聞いても、その泣き声は本当に苦しそうだった。
苦しくて、悔しくて、どうしようもなくて、体から搾り出された声だった。
しばらく、その声をずっと聞いていた。 



友人「獣ヒデアキが、ついに出てこれたんだね。私も君に会えて嬉しいよ。」 



どうしようもない、言葉にできない気持ちが怪獣になって暴れる時が私もある。
ヒデちゃんにも同じ怪獣がいる。友人にもいる。おんなじだ。おんなじ。 



感情の渦と涙でぐちゃぐちゃになった獣くんを見ていると
私の怒りはどんどん溶けていった。 



友人がお水や夕食を持ってきてくれて
「なんかあったら、また呼んでね」と言って部屋を出ていった。




 

 


しばらく黙っていたヒデちゃんが
起き上がり口を開く。

ひで「もう大丈夫」

まゆ「落ち着いた?」

ひで「うん」

まゆ「何も喋らなくてもいいし、喋りたいことがあったら聞くよ」

ひで「うん。・・・あのね、どうやって死のうかって、考えてた

まゆはびっくりした。
そんな言葉は全然予想してなかった。

まゆ「え・・・」

ひで「もう、生きてても、迷惑かけるだけだし。
生きててちゃダメだって。
何にもうまくできない。
あんなに、仕事も頑張ったのに、全然お金もないし
うまくいかなかった。だから、もう・・・」

まゆ「君は、1人で、よく頑張ったよ」

ひで「・・・がんばっても、ぜんぶ、うまくいかなかった」

そう言って、ヒデちゃんはまたわんわん泣いた。
子供みたいに、涙を流してわんわん泣いた。
それはものすごく透明な涙だったんだよね。

この時!
この瞬間に、私の何か、
外側を覆っていた膜のようなものが音を立てて崩れた。

ガッシャーーーーーーーん

破壊された。
吹き飛ばされた。
コッパミジンコ。

まゆは空っぽだった。

【私は、何をやってたんだ???】

我にかえった。

【私は、何がしたかったんだ??】

この時、頭ではわかっていなかったけど
自分がこの状況を作っていると《強烈に自覚した瞬間》だった。 



私が大事だと思っていたもの
やりたいことはやる
言いたいことは言う
自分らしく
自由に生きる
対等で、平等で、自立した人間関係
大好きを集めた生活
新しいチャレンジを詰め込んだ仕事
大切な仲間との経験の数々

結論
一番大切な人は自殺したい。


何かがおかしい。
数式がおかしい。
こんなはずじゃない。 



私が大事にしたかったもの✖️大事にしたかったもの=夫が自殺未遂


 


意味不明。
ありえない。
けど、現実が答えだった。

私の大事なものってなんだ?
私のこだわりってなんだ??

【お前は、人生で、なにを、したいんだ??】



むき出しになった私の前で、ヒデちゃんが泣いていた。
 

 

 


続く 

 

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