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入社式の為に慌てて髪を染めに行ったら、美容師が全員タトゥー兄ちゃんでビビり散らかした。


バイトの友達と制服を返しに行く約束をして、17時にお店の前で待ち合わせた。
明日は遂に入社式だね〜なんて話していたら、
「え、お前髪明るくね?」
「確かに!」
「それはやばくね?」
と、5人中4人に「入社式にしては髪色が明るすぎる」と言われた。
ちなみに言ってない1人はわたしである。

おまけに、3日前くらいから謎の喉の炎症で声が全く出ず、今日になっても寝起きのIKKOさんみたいな声しか出ないわたしは、
「初日から声ガッサガサでその髪色、マジでやばいと思うよ。」
とトドメを刺された。

今から行ける美容院を急いで探した。いつも行っているところはもう無理だ。
21時まで営業している美容院があった。19:30から予約が取れる。口コミの総合評価は☆4.5くらいある。安いし。いいじゃん、行こう。

19:30まではちょっと余裕があった。なんとなくその店の口コミを眺めていると、



とにかく怖い?雰囲気にインパクト?やや怖めの雰囲気?

なんやそれ。え、怖。
でももう背に腹はかえられぬ。行くしかない。
母親の電チャリをかっ飛ばして20分、予約時間の10分前に到着した。

え、怖。
というのが最初の感想だった。
指定ですか?ってくらい全員タトゥー入ってる。しかも半袖だし。
え、なんか犬おる。
入り口に1番近い席で接客をしていた若いタトゥー兄ちゃんに話しかけられた。
「こんばんは。あ、わんちゃん大丈夫ですか?
…すみません、うちの代表のわんちゃんで。」

だいじょばなかったらどうするつもりなんだ。
お引き取りください、とでも言うのか。それかわんちゃんをどこかに押し込むのか。どちらにしてもわたし又はわんちゃんがあまりにも可哀想だろ。ていうか何でわんちゃんがいるんだ。働いているママが職場に子どもを連れてくるケースは聞いたことがあるけど、働いている兄ちゃんが職場にわんちゃんを連れてくるケースは聞いたことがない。家でお留守番してなさい。

まあわんちゃんはむしろ好きな方なので問題ない。ただ、とにかく怖い。前述したように美容師は全員タトゥー兄ちゃんである。夜遅くまで営業しているという特性上なのか、客も「これから仕事です」と言わんばかりのキャバ嬢みたいな人ばかりだ。
逃げたい。

わたしの思惑とは裏腹に、待たされることなく席に案内された。担当してくれるのも、勿論タトゥー兄ちゃんである。 

「担当する〇〇です。よろしくお願いします。
今日はカラーとトリートメントでお間違いないですか?」
はい。
「どんな感じにしますか?」
明日入社式なので、急いで暗めにしたくて。でも黒染めって感じは嫌で、青系の黒っぽい色にしてもらえれば。
「ブルーブラックみたいな感じですね。分かりました。1ヶ月くらいは持つと思いますけど、段々抜けて明るくなってきちゃうと思います。でもブルーなら色落ちも綺麗なので、そんな感じでいきましょう。」

期待していなかった分、丁寧な接客に驚いた。そもそも2時間前に予約してきて、新規客のクーポンを使い、いつ貯まっていたか分からないdポイントを3000円分も使い、2000円で髪を染めようとしている女なのに、こんなに丁寧に対応してもらえるんだ。

「明日入社式なんですね。」
はい。
「どういう系のお仕事ですか?」
不動産系で。
「へえ〜大変ですね。」

うおおおおおおい会話のテンポも丁度いいな?!!そんなに深入りしてこない感じも丁度いいな?!!
ていうか声が結構かっこいい。水分が70%くらい含まれた低めの声である。色気がある。よく見たら顔もかっこいい。どこかで道を踏み外したキムタクみたいな顔をしている。

そして、お気付きだろうか。キムタク、ずっと敬語である。絶対タメ口使ってくる系の美容師だと思ってた。わたしはタメ口を使ってくる美容師が苦手である。何でレストランでウェイターにタメ口使われたらびっくりするのに、美容師とタメ口で話せる人がいるんだろう?同じ接客業なのに。
イケメンと敬語はヒロミと松本伊代くらい相性がいい。ラッキー。この人担当で良かった。最初に渡された問診票、ビビって電話番号は最後の1桁違うものを書いたし、メアドも1文字抜かして書いてしまったのを後悔した。残念ながらキムタクとは今日限りになってしまいそうだ。

結局、予定していなかった前髪カットまでこちらからお願いしてしまうほど、大満足だった。

「今日はありがとうございました。新規のお客様には口コミをお願いしておりまして、サラッとでいいので後でお願いします。担当のところは、この名前で。」
と、名刺を渡された。

代表 YUDAI


いやお前のわんちゃんだったんかい。

遂に明日から社会人。ドキドキともワクワクとも違う、でも100%不安ってわけでもない感情に包まれながら、今日は早めに寝よう。

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