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エレクトーンはやっぱり好き


「エレクトーン」という言葉をめっきり聞かなくなりました。

私は昔、エレクトーンの講師をしていました。
なぜ過去形になっているかというと、生徒さんがいなくなったから。

ちなみに「エレクトーン」というのはヤマハの商品名で、上鍵盤、下鍵盤にペダル鍵盤のついた電子オルガンのことをいいます。

もしかしたら、すっかり衰退してしまったのかなと思って調べてみました。

すると衰退どころか、今の若いお母さん方はエレクトーンというものを知らない人が多いと知りました。
とても驚きました。

昔は幼稚園や小学校の音楽室に置いていたり、街頭や楽器店内では、よくデモ演奏が行われていました。

子供の頃から一生懸命、毎日家で練習し、レッスンに通いました。
先生にほめられたときは嬉しくて次は何を練習しようかなとワクワクしました。
試験を受けて、難しい級に合格したときは飛び上がって喜びました。

講師になってからも、発表会やコンクールで生徒さんがじょうずに弾けたときは感動して心が踊りました。

弾き終わって安心した表情の生徒さんと、舞台袖で喜びあったのがいい思い出です。
講師になって良かったなあとしみじみ嬉しく感じたものです。

一人の生徒さんが弾く一曲のためにリズムシーケンスをつくり、音色を組み合わせたり。
楽しかったな。

今は音楽そのものを習うことも下火になっているのでしょうか。
子供の習い事ランキングを調べてみました。
1位:水泳
2位:音楽教室
3位:学習塾

親が子供に習わせたいものは
英語、水泳、書道、学習塾、そろばんと続くようです。

音楽教室は健在ですが、その中で親が選ぶものは殆どピアノだと思います。

実際私もそうでした。
もちろんエレクトーンが無くなったわけではないけれど。

思えば当時、4. 5年に1度はエレクトーンの機種が変わりました。

講師は当然のように新しい機種を買いかえます。
生徒さんも試験や発表会で今の機種では苦労するからと、新しいのを買いかえた方が多くいました。

そういう背景があり、世の中の風潮も伴ってだんだん習う人が少なくなっていったのかもしれません。

今は講師の仕事はしていないけれど、時おり無性に弾きたくなります。

たまに楽譜を引っ張り出して、大好きだった曲を音符を追いながら弾くことがあります。

「G線上のアリア」「ムーンリバー」「ロンドンデリーの歌」「アニーローリー」
好きな曲です。
スマホで聴くのとはまた違い、自分で弾くと気分が高揚し、スッキリします。
「G線上のアリア」をバイオリンの音色で弾くと、自分がバイオリニストになったような気さえします。

楽器は古くなっても全然変わらない、綺麗でステキな音色が曲を奏でてくれます。

世間がエレクトーンを忘れてしまっても私は忘れません。
私の心の中で、エレクトーンと大好きな曲たちはずっと友達です。


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