見出し画像

海が嫌い。

飲み込まれそうになるから。
浜辺が嫌い。砂まみれになるから。
潮風が嫌い。寒いから。
波の音が嫌い。怖いから。


海が嫌い。消えてしまいそうになるから。

水平線を眺めているとその先に行きたくなる。

何も見えない。何も見えないけれど。

何も見えないその先に向かいたくなる。

私は飛びたいわけじゃない。
地面に足をつけているだけの今から、
どこか遠くへ向かいたいだけだ。

私は水平線の先を知らない。
知りたい。
でもそういう訳じゃないのかもしれない。

いつだって不透明な自分自身の、
いつだって不透明な未来の、
その先にきっと何かがあると、
水平線に投影しているだけなのかもしれない。

だから私は海が嫌い。

無力な自分と向き合わなければならないから。

だから、だからこそ。

苦しくて逃げたいときは、

海を見に行こう。

そこにある今から逃げないように。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?