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私の英語多読遍歴120:When You Are Mine

「Good Girl, Bad Girl」「When She Was Good」の著者Michael Robotham が上記シリーズの後に出したサイコスリラー。

かつてバスの爆破テロに巻き込まれたPhil。その時に助けてくれた女性警官に憧れ、自分も警官となった。しかし父親がギャングのボスであるために警察内での風当たりはきつく、彼女の存在を快く思わないものもたくさんいた。ある日通報を受け向かった先でPhilはパートナーに暴力を受けた女性を保護する。しかしそのパートナーとは警察内では英雄視されている有名な高官で、彼女の立場はますます悪くなる。それでも持ち前の正義感で女性を守るために奔走するPhil。警察内にある横の繋がり、組織的な隠蔽などに憤るがそれに打つ手はなく、次々に起こる事件に対処するほどに事態は悪化していく。

去年に出版された話なのですが、CovidやBLMなどの話も出てきたりして最近の話を読んでいるなあという気分にさせてくれます。「Good Girl, Bad Girl」の話はシリーズとして続いているのですが、これは名前は似ていますがシリーズとは全く別のスタンドアローンです。過去のトラウマ、主人公がトラブルに巻き込まれてだんだんと身動きが取れなくなっていく展開、心理的にじわじわ追い詰められる感じはまさにサイコスリラー。ひたすら怖い。

主人公Philは父の職業(ヤクザ的な)のせいで警察の試験になんども落とされるも根性で突破し、その後もやたらと強い風当たりにもめげず職務を遂行。空手は黒帯。フィジカルもメンタルも強靭な女性です。それがだんだんとどうしようもない状況に陥っていくんですよ。少しずつ、なにかがおかしくなっていって、最後もう完全にトラップの中。

あ、こいつは絶対ヤバいやつ。というのが出てきます。そしてPhilの周りの人たちも違和感を感じPhilに警告するのですが、Philはその正義感が強くお人好しでもある性格が災いしてトラブルを自ら招き入れるような行動を続けます。読んでるほうは「逃げてー!!」となること必至。はやくどうにか解決するところまで読まなければ、とページをめくる手も速くなりますw

ミステリーの「誰が犯人か気になるから早く読みたい」というのとは別の意味でのページターナー。ここから早く逃げたい的な。

違和感が確信に変わったころにはもう手遅れに近いのですが、なにより怖いのがその諸悪の根源である人物が完全に自分のなかの世界しか見えていないこと。罵倒され罵られ二度と連絡してくれるなと言われても「落ち着いたら話しましょう。明日の朝電話する」としれっと言ってくること。ふりはらってもふりはらってもどこまでもついてくるのがとにかく怖い。全部あなたのためなのよっていうのが怖い。息をするように嘘をいうのが怖い。

でも一番最後の章で残されたいろいろな謎が解けた時、どういうわけか元凶の人のことは可哀想になったしすべてが浄化されたような心持ちになりました。多分気のせいだし他にも危ない人がいたというだけかもしれないけど。あとどうしても解せないところがあるので他に読んだ人がいたら聞いてみたい。

英語は文章そのものは難しくなく、会話も多いので読みやすいと思いますが、スラング的な単語や警察関連用語が多いので知らない単語はわりとありました。警察が容疑者を逮捕した時に言う決まり文句とか、裁判などで使われる常套句とか知っておくと役に立つかもしれません(役に立つ日が来ない方がいいですが)

以上「When You Are Mine」でした。

個人的に本のあおりの”A heart-pounding psychological thriller about friendship and obsession”がすべてを物語っていると思います。

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