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私の英語多読遍歴133:Hamnet

2021年”これを読まずして年は越せないで賞”の文芸部門賞受賞作。

少年ハムネット、双子の妹ジュディス、姉スザンナ、不思議な力を持つ母アグネス、彼らはグローブ職人である祖父とその家族の隣で暮らしていた。父はロンドンで芝居を書いていてめったに帰ってこない。ある日ジュディスは病に倒れ、ハムネットは大人を探すがいつも賑やかなはずの家には誰もいない。

シェイクスピアの悲劇「ハムレット」がどうして生まれたのかには諸説あるなか、若くして亡くなった彼の息子の名前が”ハムネット”であることを軸に戯曲が生まれるまでにあったであろうことを小説にした物語。多少の史実には沿っているものの不明なことも多く、あくまでもフィクション。

普段軽い本やわかりやすい本を中心に読んでいるので、文芸作品というのはなかなか最初ハードルが高かったです。とても美しい表現で比喩もてんこもりでいろいろ書かれていて、一見なんの話かわからず「???」となりながらしばらく読み進めて「あー、あれか」とわかるというのが多々。(だいたい直接的表現は美しくない事象)そしてもう一回そこを読みなおして、「なるほど。。」と納得する的な。。

これぞ文芸!って感じ。(どんな)

視点というか話の中心がころころ変わるので、普通に次のパラグラフから別の人の視点の話だったり過去の話になってたりと「今誰の何の話?」と最初は結構混乱しました。なので序盤は「これ本当に読めるんだろうか?」と不安になりつつ読んでいたのも事実です。

しかし登場人物が把握できて、視点が変わっていくという特徴がわかったあとはそれほど気にならず読み進められました。なによりストーリーがドラマチック。ひとつの出来事について、それが起こるまでの過程などにもまたストーリーがあったりと読むうちにどんどん引き込まれていきます。

それなりに難しかったり見たことのない単語もあり、辞書はいつもより使った気がします。文芸的な比喩やぼかした表現のところなどは意味をつかむのに時間がかかりましたが、それを含めてすごくよかったです。ストーリーを楽しむだけでなく表現の美しさに惚れ惚れしたり、浮かぶ情景に思いを馳せたり、普段読むタイプの本とは一味違う楽しみ方ができたんじゃないかと思います。

文芸というとハードルが高そうですが、クラシックの流麗さと現代文学のわかりやすさの良いとこどりという感じでベストセラーも納得の本でした。322ページと見た目の重厚さにしてはそれほど長くもないのでおすすめです。

読み終わってちょっとシェイクスピアでも読むか!という気になりましたが、どう考えてもまだまだ無理だと思うので将来の夢としておいておきますw

以上「Hamnet」でした。

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