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私の英語多読遍歴58:Over the Top

以前にカラモ・ブラウンの自伝をご紹介しましたが、今回は同じクイア・アイのパーソナリティ、美容担当ジョナサン・ヴァン・ネスの自伝です。

Kindle本ってときどきめちゃくちゃ安くなってるんですよね…この本もずっとウィッシュリストには入れていたのですが、ある日70%OFFになっているのを発見して即書いました。

ジョナサンは5人のなかでは一番ふるまいが女子っぽく、普段からスカートやハイヒールを好んで身につけます。クイア・アイでは美容担当として、依頼者の見た目を整えるのが主な役割です。髪型を変えたり、メイクを施したり、そして日々のお手入れで自分を大切にする気持ちを伝えています。

そんなジョナサンですが、イリノイの田舎町で育ち、ハイスクールでは最初の男子チアリーダーになった、というところは本編のエピソードでも紹介されていました。いつもハッピーな雰囲気で元気いっぱいなのでさぞかし幸せな育ち方をしたんだろうなと勝手に思っていたのですが、実際はかなりしんどい人生だったようです。

両親の多忙さ、不仲(のちに離婚します)などもあって過食などメンタルに問題を抱えて成長し、幼い頃に性的な被害にも遭います。カウンセラーなどにかかるも事態はかえって悪い方向に進み、高校ではイジメのターゲットになってしまいどんどん自分を痛めつけるようなことばかりするようになります。

故郷の田舎町を出てもすぐに成功したわけではなく、下積みの美容師時代、薬物依存、売春とどん底まで落ちた姿も本書では隠すことなく赤裸々に語られています。赤裸々すぎて読んでいる方が大丈夫かと思うくらいの内容でした。

この本の発売時にHIVポジティブであることを公表しているジョナサンですが、薬を飲むことでウィルスは沈静化し他人にうつす危険性はほぼなくなるそうです。どうしても偏見がつきまとう病気ですが、正しい情報を知ってほしいという思いが伝わります。

そしてそんな苦しい時代を経て、ようやく掴んだ成功のチャンス。最初はポッドキャストでの成功、そこからクィア・アイのオーディションを経て一躍スターとなるわけですが、その中で自分のありのままを受け入れ、私は私でよいんだと思えるようのなるまでの葛藤というのがなんども繰り広げられます。太っていても、ゲイでも、フィギュアの選手になれなくても、どんな過去も私は私。日本語版タイトルの「どんな私も愛してる」はまさにジョナサンがたどり着いた境地かなと。

英語は…私はクィア・アイを英語で観たのですが、パーソナリティの5人の中で私が一番聞き取れないのがジョナサンでした。早口、一回で話す内容が長い、そしてかなりの割合でスラング句動詞慣用句を使ってくるという学習者泣かせ。
本もそのままです。口語満載、その上慣用句とかことわざが好きっぽい。
なので口語とガールズトークに馴染みがないとしんどいと思います。私は非常にしんどかった。正直完全に理解したかというとできていません。雰囲気。(またか)

あと実在の人物の仮名としてロシアの体操やフィギュアの選手の名前を使っているのですが(本人が好きだから)読みにくいw読む時に頭の中で音読するのですが名前のところで絶対つまるw

ということで英語的にはなかなかの難易度ではありましたが、内容はとてもよかったです。クィア・アイが好き、なかでもジョナサンが好きというかたはぜひ。でもすごい過去なのでイメージは壊れるかも。(本人もそれを覚悟の上で書いたそうです)

以上、「Over the Top」でした。

もう残りは数冊となりました。次は「The Giver」シリーズの3作目、やっと続きを読んだ「Messenger」です。

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