マカロニの穴展in福岡を訪れるーギター欲しい病を発症しました

「マカロニの穴」展in 福岡に行った。
東京では予約が取れず、諦めていたが夫の実家へ帰省するタイミングで福岡で開催されていたので、巡り合わせに感謝し一人で訪問。

ネタバレになるのであまり詳しく書けないが、すごくよかった。
ショートムービーも甘酸っぱい青春を感じ、自分の学生時代に思いを馳せた。子供の夢を応援する親の目線も夢に向かう主人公の視点も、どちらも共感できた。

さて、滞在先の夫の実家。
義理の父は、趣味用の家を持っている。

本人は仕事場と言っているが、建築家が設計した完全オーダーメイドの平家を数年前に建てた。ちなみに本人は、一度もそこに泊まっていないらしいので、豪華でおしゃれな物置とも言える。

それ以外に仕事用の別宅があり、義母が住む自宅、義母名義の別荘を所有しており、全部で4軒も家がある。(しかも、全部の家にものがぎっしり置かれている)。将来「実家の片付け」をするとなると、2トントラック10台くらい必要で気が重い。

クラシック音楽が大好きな義父は、60万円くらいするスピーカーや数十万するCDプライヤーを趣味部屋の平家に設置しており、「すごく音がいい」ということで聴かせてもらった。

義父が大好きだという「モダン・ジャズ・カルテット」の「朝日のように、さわやかに」が高級スピーカーから流れてくる。滑らかで、美しい楽器の音が伸びやかに部屋を包み込む。まるでホールに居るかのような心地よさ。

控えめに言って、最高である。

音楽に詳しくはないが、音の良しあしは素人でもわかるほどだった。
ジャズに身を委ねながら、私は昨年末からずっと欲しいと思っているエレキギターのことを考えていた。

ギブソンのレスポールモデル。
高校生の頃にバンドを嗜んでいたときからずっと憧れていたギターだ。
時給710円のコンビニで週4回アルバイトをし、土曜日は朝から夕方まで働き頑張って1ヶ月で8万円貯めた。

手渡しでもらった給与袋を握り締め、御茶ノ水の下倉楽器に行きフェンダーのストラトキャスターを購入した。

真っ赤なギターに一目惚れし、初心者にも弾きやすいということでお店の人にススメられたのを覚えている。
万札が8枚入った封筒の厚み。
初めて自分で稼いで買うギター。
こんな高価な買い物はしたことがなく、ドキドキ緊張しながらお会計をした。

当時好きだったジャパニーズパンクバンドは、レスポールが愛用者が多く、温かみのある重厚でパワフルなギターの音をかき鳴らしていた。

私のフェンダーは、シングルコイルピックアップなので、硬くてシャープな音が得意。どうしたって、真似はできない。

それでも、エフェクターやアンプをいじって近づけようと試行錯誤を繰り返していた。

結局、ハムバッカーの奏でる柔らかくてノイズの効いた音は出せず諦め、ストラトの良さを楽しもうと切り替えたが、自分がライブをしたり、ライブを見に行ったりするたびに、レスポールに対する憧れは消えなかった。

学生時代はお金がなくてレスポールを購入することはできず、社会人になると忙しくてギターを触る機会もなければ、ギターをやっていたこと自体を黒歴史のように捉えるようにすらなって遠い存在となった。

・・・が、しかし。
マカロニえんぴつを好きになってから、ライブに行き、音楽を聴くたびに「あー、これを弾けたらめちゃくちゃ気持ちいいだろうなあ」という思いを募らせるようになった。

そして2022年12月。十数年仕事をしていて1回あるかないかくらいのとんでもないトラブルが3つも立て続けに起こり、まわりの編集者からも憐れまれるレベルの大惨事に見舞われ、心が爆発した。

爆音を出したい!
ギターかき鳴らして大声で叫んで歌いたい!!!!
アンプから大音量を出したい!!

それからは毎日ネットでギターを物色する日々。
これは、かの有名な「ギター欲しい病」である。

1つ持っていても次々に「音のいい楽器」が欲しくなるという恐ろしい病気だ。それなりに本気で楽器と向き合う人は必ず1回は罹患する。
しかも、一度発症し治癒しても免疫ができないため、何度も発病するのだ。

こうなると、起きている間はずっとギターのことばかり考え、1時間に1回は楽器のリサーチを行うことになり、日常生活に影響を及ぼす。軽症であれば、時間はかかるが自然治癒する。

だが、大病を患うと、とんでもないことになる。
一体、どこにそんな力があったのかというほど、知恵が回る様になり行動力も増強され、金がなかろうがどうにかして購入しようという強行に出るようになる。真面目な人間はアルバイトを掛け持ちし、そうでない者は口八丁で「購入する必然性」について能書をタレ、親や親戚から借金をしてでも新しいギターをゲットするのだ。

そして、素人にもかかわらず、5本も6本もギターを所有する羽目に。
末期患者は、購入する価格もどんどん高額になっていき、数十万単位をギター1本につぎ込むため、家族からは白い目で見られ、自主隔離せざるをえない状況に追いやられる。

私の後輩などは、ギターを弾いたことがないにも関わらず「ギター欲しい病」を発症したという危篤な人で、「このオベーションは、めったに出会えないやつだったんです!」と玄人コメントを残し、30万円もするオベーションのアコギを購入してしまった。しかも、1度も弾いていないそうだ。

初心者というか、これから始める人すらもやられる「ギター欲しい」病。
新年早々、私は発症してしまった。

iMacを購入する予定だったが、その資金を20年前に憧れたレスポールのギブソンに費やそうと決めた。

そして、マカロニえんぴつを演奏できるように練習したい。
楽しみすぎる!


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