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めげない力強さに心から応援したくなる『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』読んだ感想

「パン作りでお店が大繁盛、店舗も増えていくゲーム感覚の物語かな?」

そんな気持ちで、本書を手に取りました。

『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』

魔法使いの少女が作ったパンが、食べた人たちを、どんどん幸せにさせていく。

表紙のイメージで、ハッピーな展開を想像して読んだ僕はおどろきました。

「えっ? この物語、めちゃくちゃハードやん」

朝、焼き立てのパンの、幸せな香りのかけらもない事件から、物語ははじまります。

この記事は、『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』の感想で、ネタバレを含みます。

スミマセン。

これから読む予定の方は、ここから先は読まないようにお願いします。


ハードなストーリーの『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』

パン屋の厨房で、殺人事件が発生!

14歳の主人公モーナは、事件の犯人と疑われて、裁判にかけられそうになります。

最初は、ほんのちょっとした魔法パンだけしか作れない主人公。

少しずつ、いろいろな魔法パンが作れるようになって、街中に幸せなパンを運ぶ。

そんな展開は、いっさいありません(笑)

いきなり殺人事件の犯人と疑われて、裁判にかけられそうになるって、どういうこと?

どうにか裁判をまぬがれても、うたがわれ続けて「少女なのに指名手配」までされる。

さらには「真犯人から命を狙われる」という、ふんだりけったりなハードな展開です。

しかも、真犯人が不気味で、しめっぽい気持ち悪さがあるのです。

スッキリしない気持ちわるい悪役

悪者側にも、悪者にならざるをえない理由があったなら、悪いことをするのも分かります。

反対に、どうしようもない完全な超悪で、正義の味方に一方的に倒される悪役なら、スカッとします。

しかしこの物語の悪役は、そのどちらでもありません。

もちろん平気で殺人をする、悪いキャラではありますが。

ビミョ〜なさじ加減で、じめーっと嫌な感じがする悪者なのです。

改心したのかも分からない、いつまた復習されるかも分からない。

読んだ方は、この後味の悪さが、小説を読み終わったあとも続いたと思います。

陰湿な悪者が、主人公をより引き立たせているのか?

主人公の陰湿に負けない、「めげなさ」がハンパじゃないです。

とにかく応援したくなる主人公

主人公の、すごく前向きでパワフルさに、とにかく関心します。

今置かれている状況に、アメリカンジョークで皮肉を込めながらも、立ち向かっていく。

おどろいたのは、便器の中、排出物まみれにならざるをえないシチュエーション。

「少女の主人公を、こんな目にあわせるなてヒドイ!」と、クレームがつきそうな気もします。

でも、主人公はめげない。

突き進んでいくのが、すごすぎる。

むしろ、大人の登場人物の方が、先に心が折れているのです。

後半は、

「なんで、少女が最前線で戦わないといけないの?」

「どうにか、軍隊だけで戦争を収めて欲しい」

そんな気持ちで、ただただ胸がいっぱいになります。

そして、僕は心がせまいので、悪者2人にもしっかり罰して、もう反乱しない状態にして欲しいと願ってしまいます。

みなさんは読んだ後、どう感じましたか?

とりあえず、僕は平和な日本の、今の時代に生まれてきて、良かった~。

もっと感謝しなければ、と反省です。

以上、『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』を読んだ感想でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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