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Maizy

夕暮れにハッと目覚めた せっかく淡い夢を見ていたのに 現実から離れて幸せな時間だったのに  あぁまだ名残りに浸りたい 

このまま目覚めなければ良かったのに…

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ここは誰にも邪魔されない 誰にも教えていない場所 特等席みたいなもの 久しぶりに来たなぁ 

風が心地よく 上から街を見下ろせる 無心で眺めている時間だけが唯一の癒しかもしれない

遠くから夏祭りを唄う声が聞こえる 祭りは何も考えず一心に悦びを感じられる者のみが行けるところだ 今の僕は何も考えずに楽しめる気がしない

でも胸の奥が擽られる

思春期

幾度ここで過去を愁い 膝を抱えて泣いたことか

日毎遠くなる正直な気持ちがもどかしい でも成すすべがない どうしていいかわからない

Maizy 

どうか教えて欲しい 明日を憂うことも 過去を悔やむことも 意味の無い事か 誰より早く知ることが出来たならもっと上手く生きていける気がするのに

自分だけズレている 自分だけ未来が見えない  何をしても無駄な気がする 諦めてしまいたい

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Maizyは何も言わず笑いかけてくれた

ふと空を見上げる 夕暮れ時の夏の空はなんて綺麗だろう うろこ雲が一面に広がっている 風も気持ちいい

ただこの空も時間が経てば無くなってしまう 今この一瞬しかない  

まるで大切な思い出が消えていくようで なんとも悲しい

今悩んでいるこの時代も まるでなかったかのように 消えていくんだろうか そうであってほしい そう思った

数年後

またここへ戻ってきた 何度ここで未来を畏れ 身体投げ出していたのだろうか

でも今は違う 何かを悔やむために来たのではない

あの日Maizyと約束した  未来を生きてみようと

だから今をまだ生きている

成長と覚悟

ねぇMaizy 

生きることの中で悲しみは眩しいものだと そう言ってくれた  

いつだって心強くあれとも言ってくれたけど、それは少し残酷な気もする

もしまた、僕がここへ来たら もし来たらその時は また

「明日を憂うことも 過去を悔やむことも 全く意味の無い事だよ」と

そっと笑っていてほしい

夕焼けで赤く染った空に 夜の気配が近付いてきた 

星が一つ、流れていく 

Maizyどうか君にも 見ていて欲しい 

僕の生き方を

Maizyとは

Maizyは思春期の不安定な心を持つ 少年の夢に出てくる女性を指しています。

少年があらゆる人間関係に悩むとき、誰にも助言を求められず自暴自棄になっている所に現れて そっと見守ってくれる存在

もしかしたら少年には、自分がどうあるべきか もう分かっていたのかもしれない

架空の存在を通して自らを奮い立たせようとする

そんな生き方もアリでしょう

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