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大切な本の話を。

記念すべき初noteは、とても大切で道しるべのような本の話をしようと思う。

原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」。初めて読んだのは、2016年6月、紫陽花が静かに咲き誇る季節だった。

読んだ後の感想を、わたしはこう記している。

「いいほうに変わるなら、変わる方がいい。言葉は何かを変える力を持つ。わたしも、変える側の世界を、見てみたい。」

あ、一応、「本日は、お日柄もよく」のあらすじを。

OLの二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみの厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。

4年前のわたしは、新卒で入ったメーカーで新製品開発のプランナーをしていた。ものづくりが好きでメーカーに就職し、運よく希望していた部署に配属された。自分の想いを吹き込んだ何かを世の中に出して、誰かの生活をより良いものにしたい。漠然と、そんな想いを持っていたように思う。

現在は退職をし、結果的には作りたかったものを世に出した。(正確にいうと、作って終わった。生み出した我が子の成長を、見届けずに辞めたとも言える。)

あの時、悩んでいたいろいろなことは、今ではすぐには思い出せない。でも、当時残していた言葉の通り、変わりたくてもがいていた。

その時救われた、そして、今でもずっと大切にしている一節を紹介したい。

主人公のこと葉と、親友千華の会話。

「ねえ千華。変わることって、いいことだと思う?」唐突にそう聞いてみた。千華は一瞬きょとんとしたが、にこっと笑って答えてくれた。「うん。いいほうに変わるなら、変わるほうがいい」千華の言葉は、何気なくて自然だった。だからこそ、真理があった。変わる方がいい。いいほうに変わるなら。

この一節を読んだあの日から、わたしはずーーーっとこの言葉を自分の心に留めている。うまくいかない時、新しいことを始めようとして不安な時、『「いいほうに変わるなら、変わるほうがいい」そうでしょう?だからまずはやってみなきゃ。』と自分に言い聞かす。

言い聞かせ続けて4年。今も悩んでばかりだけど、毎日がとっても楽しい。

あの時、自分が漠然と思い描き、記していた「変える側の世界」を、今のわたしなら見られるかもしれない。そう思えることが、とっても嬉しい。言葉を残しておいたわたしを、少しずつでもよりよい方へ進もうとしたわたしを、褒めてあげたい。よくやった・・・!

きっとこれからも、こと葉に自分を重ねて、悩んだ時・勇気が欲しい時、物語を読み始めるのだと思う。お守りのような本に出逢えて、わたしは本当にラッキーだな。

「よりよい方へ。」これがわたしの座右の銘。

今年もまた、紫陽花が咲く季節がやってくる。


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