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クリスマスまぐま

クリスマスとかバレンタインとか、イベントの日に名前があるのならば感情を基に日に名前をつけてもいいと思う。

海辺の街のモーテルで、夜の風に揺すぶられる建物のブレを聴きながら感じるのは泣きたいような温かい感情の波。腹の底からぶちあがってくる彼らは愛で私を包んでそのまま流していく。沖へと沖へと流していく。ticktickboomという新しいネットフリックスのミュージカルを見てから、温かい感情の流動で心が溢れている。彼らは止まってくれない。

夏にフリースクールで働いてから「生の心」についてよく考える。人は生身の心を持てるのだと、綺麗な心を持てるのだとなんだか気づいたからだ。アートはそれを人に伝えるコミュニケーション媒体だと思っている。五感を使って、心の、自分でも理解できない衝動を表現する。それが、自分の意図しないところで他の人に繋がって、それが受容になったり、共感を産んだり、世代を変えるセンセーションになったりする。ただ、アートがどんな変化を社会に生んだかは結局アートの副産物でしかない。結局アートとは、私たちが自分ですら理解できない感情の波を何かにぶつけて、表現しようとすることなのだろう。ミュージカルはそんなアートの媒体の中でも特に肉肉しい。生身の人間を通して描かれるアートの生生しさもさながら、一人一人の俳優さんたちのアートも入り混ざってダイナミックなカオスを描いている。そんな大胆なアート、ticktickboomに影響されたのか、私の胸は眠れない。


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