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読書あれこれ

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1冊につき数千字を超える読書ノートを公開しています。これを読めば実質的にその本をすべて読んだことになるというレベルのクオリティを目指しています。
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記事一覧

[4/27増改定]あまりにも暇だからカントでも要約しようっと。

今週末も暇です。 やることといえばカントを要約することくらいしかありません。 カントとは、言わずとしれた近代哲学の完成者と称されている大哲学者です。が、普通の人が「純粋理性批判」とかの原著を読んでも、たぶん、「これはどこの魔法学校の教科書ですか?」くらいにしか思いません。 そこで、今日は僕なりの理解でおそらくこのnoteの読者諸氏なら理解できるように平易に説明していきたいと思います。 ではさっそくいってみましょう。 カントにとって、出発点は、「時間と空間」をすべての現

今週気づいたこと

こんにちは、こおるかもです。 今週の記事はこの1週間の出来事をまとめてお届けします。 ブライトン旅行記がなぜかプチバズり先週末に書いたブライトン旅行記が、今までの記事の中でも1~2を争うビュー数になりました。読んでくださってありがうございます、、、なのではあるのですが、あまりにも適当に書いたのにこんなに読まれることに少々戸惑います。 note を書いていてつくづく思うのは、自分が一生懸命書いた記事ほど読まれない!ということ。そして適当に短くまとめたほうが読まれる。労力とビ

こおるかも流・読書の技法

こんにちは、こおるかもです。イギリスで宇宙開発エンジニアをやっています。 ぼくは読書がわりに好きです。というか、病的に好きです。 読書にハマったのは比較的遅く、20歳(大学2年生)の頃からですが、そこから渡英するまでの約10年間、毎日3時間以上の読書をほとんど欠かしませんでした。 蔵書の量でいうと、数えたことはありませんが、イケアのフルサイズのブックシェルフ3台に、目一杯仕切り板を入れたうえで、さらに奥行きが許す限り手前と奥で2列にしてなんとか収まっていたような感じでし

タフでなければ。。。

みなさんこんにちは、こおるかもです。イギリスでエンジニアやってます。 今日は英語の勉強も兼ねて、僕の好きな小説の一節をご紹介。 この一節、アメリカの作家、レイモンド・チャンドラーのハードボイルドな推理小説シリーズの一冊「プレイバック」の一節。 難事件を解決した探偵フィリップ・マーロウが、解決後に依頼者の女性に、どうしてそんなにHardなのに、そんなにGentleになれるの?と問われたシーン。 せっかくなので原文をみてみましょう。 原文で読んでも、お手本のような仮定法

村上春樹「ドライブ・マイ・カー」を英語で読む

こんにちは、イギリスで家探しをしているこおるかもです。 この週末は国王の戴冠式、コロネーションでお祭り騒ぎ。 もちろん不動産屋さんも完全閉店のため、やることがない。 そこで、村上春樹のドライブ・マイ・カーを英語で読んでみました。 こちらは、短編集「女のいない男たち」の第一編として収録されている短編です。 最近行った街の本屋さんで、たまたまこの英語版を見かけたので、衝動買い。でも実は家に帰ったらすでに同じのを持っていたという笑。 これを持って生後2ヶ月の赤ちゃんと、CO

【民主主義とは何か】宇野重規ーこおるかもの読書ノートVol.05

こんにちは、こおるかもです。 さて前回は、小論を交えて、公共哲学への入り口を論じてみました。 ここからいきなり哲学の話を深掘りしていくのは、ちょっと味が悪いので、もう少しとっかかりやすいテーマとして、「民主主義」ということを取り上げて、そこから徐々に政治哲学的なテーマから攻めていこう、と思いました。 というわけで、今回取り上げる書籍はこちらです。 はい、そのまんまのタイトルですね。民主主義とは何かについて、日本ではその道の論客と呼ばれているらしい宇野重規先生から学んで

【新作発売】村上春樹ー街とその不確かな壁

こんにちは、村上春樹主義者のこおるかもです。 実はこのnoteを始めたころに、何回か村上春樹愛を語っています。 そしてこの度、村上春樹の最新長編が発売されました! タイトルは「街とその不確かな壁」 こちらのニュースを引用しておきます。 楽しみすぎる!!! ちなみに、このタイトルは、1980年に雑誌に掲載された中編小説のものと同じで、どうやらこの作品をベースにしたものであることがわかっています。ですがわたくしこおるかも、大変お恥ずかしながらこの作品は存じ上げておらず、

多様性を認めよう、と言うけれど。公共哲学の話。

この記事では、 ということを、すごく難しく説明します。 この記事は読書ノートではありませんが、僕が日ごろ関心のあるテーマについて、ちょっとした小論を書いた後、関連する書籍をいくつか紹介します。 最近の日本では、「宗教二世」や「同性婚」など、ひとびとの旧来の価値観を問い直すような社会問題が話題になっているようです。 実は僕自身、こうしたテーマについて、部分的に当事者であったりもするので、大変関心があるのですが、一方で世間での議論には冷たい視線を送っている面もあります。

【コモンの再生】内田樹ーこおるかもの読書ノートVol.04

こんにちは、こおるかもです。 今回の読書ノートはこちら! ぼくは内田樹先生の著作が大好きです。時々とても難しい話にもなりますが、この本は全体的に軽めの感じで書かれており、とても読みやすい本となっています。 また、この本を取り上げた理由は、タイトルにあるように、「コモン」ということがテーマになっているからです。これは、読書ノートVol.01で取り上げた斎藤幸平さんの「人新世の資本論」からのつながりで理解していただけるととても良いと思います。 また、序盤に「共同主観的な主

【愛するということ】こおるかもの読書ノートVol.03

こんにちは、こおるかもです。 今回の読書ノートはこちら! なんだかエモいタイトルですね。 でも本書は、決して恋愛のHow To本などではなく、人間の愛の根源を探究した立派な学術書であり、精神分析学、または西洋哲学的に価値のある本です。 今回は短いので、要約なしで、全文公開していきます。 ですが、前回に公開した読書ノートとも密接に関連していきますので、ぜひ先にこちらもお読みいただければ幸いです。 それでは行ってみましょう。 導入愛は技術であって感情ではない。その視

【サピエンス全史】こおるかもの読書ノートVol.02

こんにちは、こおるかもです。 今回の読書ノートはこちら、「サピエンス全史」を取り上げたいと思います。 出版は2016年だそうですが、今でも本屋さんで人気のベストセラー本です。僕は2019年に読んで読書ノートを作っていました。 ぼくの読書ノートでは、本の内容を限りなく正確に保ったまま圧縮するスタイルを取っていますので、かなり長文ですが、これを読めば本書の論旨がかなり正確に把握できます。 今回は要約を先に掲載しました。そちらを読んで内容がより一層気になった方は、ぜひ本文も

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【人新世の「資本論」】斎藤幸平ーこおるかもの読書ノートVol.01

こんにちは、こおるかもです。 このマガジンでは、年間の読書量が(たまに)100冊を超えるぼくの読書ノートを配信していきます。 今回は、その初回の記事となります。せっかくなので、自分の読書ノートを広く知ってもらうために、近年のベストセラー本を選ばせていただきました。 それがこちらの、人新世の「資本論」です。 中央公論の2021年新書大賞に選ばれているそうです。 個人的にもこちら、かなりおすすめで、とても面白い本です。 また、ぼくの読書ノートについて簡単に説明すると、「

村上春樹について語る時にぼくの語ることー「システムと個人」について

こんにちは、こおるかもです。 この記事では、村上春樹のことが好きすぎるぼくが、村上春樹作品の魅力を滔々と語ります。 今日は、村上春樹作品全体を貫くテーマのひとつである、「システムと個人」ということについて。 さっそくいってみましょう。 はじめに そもそもですが、村上春樹を読むときは、あまりテーマなどを気にせず、「感じたままに読む」というのがオススメです。彼の紡ぐ物語には、どこか言葉にできない、琴線に触れて語りかけてくるものがあります。 なので、あまり頭の中で内容を言

こおるかもの読書全史

この記事では、多い時で年間100冊以上読書をするぼくの、これまでの人生の読書遍歴をお話したいと思います。 自分の人生を形作ってくれた多くの本たちをここにご紹介することで、ぼくの自己紹介も兼ねることができればと考えています。 それではさっそくどうぞ。 読書を始めたきっかけぼくは小さい頃はほとんど本を読まない、ただの野球少年でした。高校までスポーツを続けて、部活の卒業と同時に少しづつ本を読むようになりました。 最初にハマったのは東野圭吾さんのミステリー小説です。自分が理系