ストーリーが生まれるペルソナを30分で作る
!Hola¡ マイコです。
今回は私のペルソナ作りのプロセスについてご紹介します。
ある日の朝のこと。夫からの依頼でペルソナを作ることになりました。
当日の昼に使うとのことで、急ぎ仕事開始前の30分で仕上げました。
嬉しいことにそのペルソナが好評だったようなので、種明かし的に作り方をご紹介します。
今回作ったペルソナ
チームメンバーで産院探しの擬似体験をしたいとのことだったので、「産院探しをする妊娠初期の妊婦」のペルソナを作りました。
作ったペルソナは↓です。(本当は右上の顔イラストも入れたかったですが時間切れでした)
ペルソナ作りのポイント
私がペルソナを作成する時に意識しているのは、次の3点です。
・所与の条件を満たしている
・実在しそうと思えるプロフィール
・テーマ*1の意思決定に影響する価値観やライフスタイルが明確
小説家や漫画家が「キャラクターが勝手に動く」と表現されることがありますが、ペルソナも同じ。いいペルソナは、自ら生き生きとストーリーを語りかけてくれます。
*1 今回のテーマは「産院選び」です。
下準備
ペルソナ作りのために用意するものは次の3つです。
目的を確認する
当たり前ですが一番重要です。
特に複数人で発散型の議論でペルソナを作っていると、なぜか本題とは関係のない細かいポイントで盛り上がってしまいがちです。
またこちらは論外ですが、ペルソナ作りが目的となっていて、手段と目的が入れ替わってる、なんてこともあります。効果的なペルソナ作りの第一歩は適切な目的は設定からです。
フォーマットを用意する
フォーマットがあると記載項目やレイアウトといったメタの部分で悩む必要がありません。私は『はじめてのカスタマージャーニーワークショップ』のテンプレートを使っています。
制約・条件を握る
目的に応じて必然的に制約や条件も決まってきます。が、改めてどこまでがGivenなのかは依頼者・関係者としっかり確認します。
年齢、属性、行動、居住地、家族構成、譲れない価値観など、どのようなパーツでも良いので確定していればそこを起点に膨らませられます。
フォーマットに記載できる項目ならば、最初に書き込んでしまいます。
ペルソナ作成手順
さて、ここからは今回作成したペルソナを例に手順を説明します。
今回は「産院選びを擬似体験する」ためのペルソナです。自分の産院選びの体験も思い出しつつ、意思決定に影響する事柄を意識しながら進めます。
素材集め
リアリティのあるプロフィール作りのため、「実在する人物をベースにしながら、統計情報で調整する」というやり方をしています。このため、素材として次の2つを用意します。
・ペルソナに近しい要素を持つ実在する人物(1-2名)
・テーマに関連する統計やメディアの情報
今回素材として用意した実在の人物は(時間もなく近しいものもあったので)自分自身の産院探し体験と、メガベンチャーで広報系を務めていた知人です。
情報としては、平均初婚年齢、第一子出産平均年齢、産院選びのポイントのランキングなどを参照しました。
基本プロフィール作り
実在する人物の行動やライフスタイルは具体的に想像しやすく、描きやすいという利点があります。しかし実在する人物の情報そのまま掲載すると、ペルソナというよりも、個性を持った特定の個人になってしまいうまく目的を果たせません。
情報(=一般的と思われやすい要素)を随所に入れ込み調整します。具体的には、テーマと関連性が薄い部分は一般的・多数派に寄せます。
何気ないようでこだわっているのが「名前」で、統計(というほどでもないですが)情報を参照しています。
年齢から生年を逆算し、その年に流行った男の子・女の子の名前のトップ3以内のものを採用するようにしています。
名前には流行り廃りがあります。個性的な名前も素敵ですが、それはそれで「ペルソナ」に持ち込むと悪目立ちしてしまいます。逆に個性的な名前にこそ意味があり、強調したい場合は個性的な名付けにします。
プロットを決める
基本プロフィールが決まったら、際立たせたい特徴点(プロット)を設定します。
容姿端麗でSNSも活用している知人を想起しながら、産院選びの重要なポイントの情報も参照して、客観的にもわかりやすい「環境」面、特に「個室」「見た目」に関するこだわりを起点として詳細を組み立てることにしました。
蛇足ですが、「自分が何を重視しているのかが分からないところから、譲れないポイントを絞っていく」という初期フェーズが苦労するところなのですが、短時間で擬似体験するという目的だったので、今回は産院選びのポイントが本人の中で明確になっている状態を描きました。
経歴と詳細の作り込み
ここまで決まれば、あと一息。
経歴やライフスタイルに、見た目にこだわりを持つようになった人物像が容易に想像できる要素を散りばめ(知人の要素&ステレオタイプ&統計)、産院選びに影響した要素や項目を照らし合わせ、この人物に合わせて書き起こしていきます。
なお、情報は多ければ良いというものでもありません。
テーマに無関係な情報はストーリーがブレるのでいれません。また、テーマに関連する情報でも解釈の余地を狭めてしまったり、目的にそぐわないものは記載しません。
例えば、今回は無痛分娩は気になる程度に留めておきました。無痛分娩ができる産院は、早期に予約が埋まってしまいます。「近くの無痛分娩ができる産院は電話したが予約が埋まっていた」というような産院探しのステータスに関する情報も加えることもできました。が、これでは「短時間での産院探し体験」ではなく「産院が見つからなくて泣きたくなる体験」になってしまい、目的から外れてしまうので入れませんでした。
と、こんなプロセスを経てペルソナを完成させました!
おまけ
このようなプロセスを経て、上記のペルソナを提出しました。
ここで少し実験をしてみましょう。ペルソナは、ちょっとした違いで、全体ストーリーが変わってしまったり、場合よっては矛盾を感じさせたり、フィクションぽくなってしまいます。
例えば今回のペルソナだと・・・
メガベンチャーではなく外資系企業社員に変更。→無痛分娩が当たり前の国出身の同僚に囲まれていることを想像すると、無痛分娩の優先順位があがるかも?
福岡への地元愛や両親との距離が近いなどの情報が追加。→「里帰り出産」の可能性が高まる。
雑誌は「たまひよ」ではなく、自然派の出産関連書籍を収集している→「自然」であることに対するこだわりが伺え、無痛分娩に興味があるという記述にやや違和感
おしゃれな個室ではなく「先生との相性」が最重視項目→主観的要素が強く「本人でないと分からない」「人による」ので今回の目的にはそぐわない。
と、一部の変更が与える影響は大きく、その結果、アウトカムも違ったものになることが想像できると思います。
自分にとっても身近な経験で楽しいペルソナ作りでした。
またこのようなリクエストあれば、ぜひ前日までにご連絡くださいませ⭐️
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