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人的資本経営、多様な働き方対応は必須、人事システムの統合はなお課題

2023年3月決算以降から、上場企業に有価証券報告書での人的資本の開示が義務付けられてから、1年経ちました。

人的資本情報と深く関係のある人的資本経営について、どのくらい進んでいるかの調査結果がHR総研から公表されました。

調査に対して回答があった企業は233社。
上場企業に限らず、約40社は非上場で、従業員300名以下の会社も回答しています。

この1年で顕著な伸びがあったのは、まずは、人材戦略の可視化やその社内外への発信、企業価値向上に向けたストーリーの構築など、作業というよりは理念系です。

やはり大企業ほど進んでいますが、300名以下でも6割が何らかの発信を行なっています。

またストーリーの構築と発信は、前回から2.5倍になっており、着々と進んでいる感があります。

同じく進んでいるのが、多様で柔軟な働き方への対応。

多様で柔軟な働き方の実現に向けた人事制度の整備・改善とは。

この記事に詳細はありませんが、副業や短時間勤務、週5日ではない働き方、在宅勤務などが人事制度としてしっかり整備されて運用され、分析して改善するサイクルが回っているということだと思われます。

5001人以上の大企業では7割近く、300人以下の企業でも38%はそこまでできているという結果です。

人的資本経営に関する調査に回答される会社であるというフィルターはありますが、制度にかんしては進んでいそうです。

HR総研さんも、昨年と比べても大幅に取組レベルが向上しているとコメントされています。

この「概ね必要な整備を行っている」とする割合は、前回調査時の52%より29ポイントも増加し、大幅に取組みレベルが向上している。コロナ禍を経験することで、多くの働く人々の価値観が変わったこともあり、「多様で柔軟な働き方の実現」は、働き方の選択肢を増やし自由度を高める上で、企業としてもはや必須のミッションとなっているのではないかと推測される。

一方、その多様で柔軟な働き方の実現に向けた「業務デジタル化」については、まだまだ課題がありそうです。

大部分はデジタル化できているのは39%。
半数も39%。
ごく一部が22%という結果です。

やはり、システム導入費用や運用変更の人件費に大きなコストがかかるものは、ハードルが高い印象を受けます。

もうひとつ、これは大企業をふくめ全体的に課題なのが、「人事システムの統合的管理」です。

人事システム、勤怠や労務の管理に給与計算などから、人事評価や人材情報、採用管理まで、複数の領域全体をひとつでカバーできるシステムはなかなかありません。

勤怠・労務管理、給与計算等の作業的なものは、やりたいことが比較的はっきりしており、システムも数多くあって低価格なものもあります。

一方、人材マネジメント系のシステムは、会社によってやりたいことに開きがあることもあり、比較的高めです。

全部がオールインワンなシステムを導入すれば、いわゆるデータドリブンな使い方もできるかもしれませんが、今利用しているシステムからの乗り換えも非常に大変です。

勤怠・労務・給与計算は、最近全く別会社でもAPI連携でつなげてつかえるシステムが増えてきています。

人材マネジメント系の連携は、各企業がそれぞれに努力して行なうというよりは、システムのほうがAPI連携のような仕組みを取り入れることで、為せるものかもしれません。

人事システムが統合的に管理できたら、働くひとりひとりにとってどんな素敵な可能性がひらかれるのか。
楽しみです。

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