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【初心者向け】アプリのUXを評価していく上で定点観測すべき指標

先日携わったプロジェクトなのですが、スマホアプリで見ているKPIが

  • アプリダウンロード数

  • MAU

の二つのみでした(汗)
提供内容次第で変わりますが、スマホアプリを運営しUXを評価し高めていく上で『最低限これは定期的に見ておきましょう』という、KPIに紐づける指標をまとめておきたいと思います。


そもそもダウンロード数という指標

アプリダウンロード数はApp Store、Google Play上でもプロダクトページ上に表示される重要な指標です。ただ

  • スマホ機種変したからダウンロードし直す

  • 気になったからなんとなくダウンロードする

  • ユーザがアプリを削除しても、数字は減らない

と、数字としては基本的に右肩上がりでかつ、実際のユーザ数より多く見えるため、アプリの運営の観点ではあまり意味のある数字とはいえません。
『1,000万ダウンロード達成』など、新規ユーザへの訴求文言には使えますが、UXを評価するような場でこの数字を使うのはやめておきましょう。

UXを評価していく上で見ていくべき指標

それではどういった指標を定常的に見ていくべきか、最低限のところを書き出してみたいと思います。

  1. DAU

  2. MAU

  3. スクリーンビュー

  4. スクリーンビュー ÷ セッション数

  5. スクリーンビュー ÷ ユーザ数

  6. スクリーン毎の離脱率

  7. そのアプリの提供価値を体験する機能を実行したユーザ数

  8. そのアプリの提供価値を体験する機能を実行数 ÷ ユーザ数

  9. リテンション(30日・90日)

毎日見る必要はないので、週次や隔週で確認しましょう。ただし、アップデート直後などは毎日見てください。

1.〜3.は説明が不要かと思います。
4.はアプリ上での回遊度合いを見るものになります。この数値があまりに低い場合、アプリ上の導線やナビゲーションなど情報設計がうまくできていない可能性があります。
5.はできればスクリーンやコンテンツ毎に計測したいです。私の経験ですが、ユーザがアプリを開いて、利用するコンテンツやスクリーンの種類が多いほど、アプリに愛着があるコアユーザであることが多いです。
6.については、特に離脱率が高いページには改修を入れるようにしましょう。

主な指標

1番大切な指標(時間がない時はここだけ読んでください)

そして1番大切なのは、7.と8.になります。
この『アプリの提供価値を体験する機能』とは、例えば動画サービスであれば動画の視聴回数、書籍アプリなら書籍の閲覧数となります。アプリを起動し色々スクリーンを回遊したところで、この『アプリの提供価値を体験する機能』を利用しなければ、ユーザにとってそのアプリは意味がないことになります。ここの数値を上げることが、ユーザのアプリへの満足度向上に繋がり、また今度開こうというモチベーションになります。
DAUやMAUは広告費を掛けアプリを多くインストールしてもらえれば、一時的に数字を増やすことができます。ただアプリを開いてもアプリの提供価値を体験しなければユーザ満足せず、そのまま離脱ということになれば広告費が無駄になります。
いかに『アプリの提供価値を体験する機能』を多く利用してもらい満足してもらって継続利用してもらうか、定点観測しながら仮説検証をしてみてください。
大手企業でも、これを意識していない担当者が多いです。
サービスにもよりますが、普段使いして欲しいアプリであれば、7. ÷ 1. が70%は超えたいところです。やはりこの値が20%など低いと、NPSも明らかに悪いです。

9.のリテンションもサービス次第ですが10%以上は目指したいところです。

定点観測のイメージ

最後に定点観測のイメージを書いておきます。まずは定期的に数字を確認するだけでいいのですが、そこからの気付きを得るためにはセグメントに分けて時系列に見れたりするとなお良いです。

MAU推移の例

例えば上の図は9月から6月のMAUの推移を表したものです。前述のプロジェクトでは、MAUの総数のみ見ていたので、順調に右肩上がりで進捗しているという評価となっておりました。ただ、MAUをユーザの1ヶ月のアプリ利用回数でセグメント化してみると、月に10回以上利用するヘビーユーザが増えておらず、90日継続率も低下してきているため、ライトユーザをうまく定着化できず離脱させてしまっているのではないかと予測できます。
この場合、新規で流入してきたユーザが元々期待していたことと実際のアプリの内容が合っているか、あとはライトユーザとヘビーユーザでのユーザ属性や使い方の違いなどを分析する等で改善策を見つけることができます。
数字を定点観測することになれてきたら、こういったコホート分析を織り交ぜさらに深い気付きを得られるようにしていってください。

終わりに

いかがでしたでしょうか。当たり前だけど意外と見れていない部分もあったのではないでしょうか?
特に初心者の方は『UXデザイン=インタビューなど定性調査』と考えがちですが、良い定性調査はしっかりとした定量分析から生まれる(誰に何を聞く?等)ものですので、ぜひ取り組んでみてください。この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。ではでは〜ノシ

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