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ノスタルジックに煽られる

きっかけは、藤田圭雄作詞、小林秀雄作曲の『日記帳』という日本歌謡だった。素敵なのです。

ブーゲンビリアの 茂みの中に
ぼくは小さい日記帳をかくした
風が吹いて 花がゆれると
あなたのイニシャルが飛び散って
ぼくは窒息しそうだった
朝は必ずその上に 虹がたった
夕方になると キラキラ光る大きな星が
静かにその茂みを 見つめていた
その日記帳には初めからおしまいまで
あなたの名前だけしか書いてなかった
あなたの名前を書くだけで
ぼくの日記帳はいっぱいになった
ブーゲンビリアの茂みの中に
ぼくの小さい 日記帳は
今日もあなたの名前を
呼びつづけている

情景がありありとイメージできて、キュンとしちゃいます。
曲調も、何とも言えずいいのですよ。
つい合唱したくなる、こんな昭和歌謡の世界は好きなのだけれど、、、

個人的にはそこにホーン隊などいてくれる方が好みであり、
なんだろう?そうだ!マイスティースだ!と、不図、甦る。

昔、「THE MICETEETH」と言うオーセンティックスカのバンドが好きで、いや今も好きなのだけど(2009に解散したけど、数年前に再結成したみたい)。

あのいつかみたノスタルジックで遠い光景。いつか来た道。

スカを中心に、カリプソなどの南国音楽、日本歌謡といったものを独自の世界で表現していて、いわゆるスカバンドというより繊細で、どのスカバンドよりも詩的で、じんわりくる楽曲がたくさんあったのです。

ジャマイカンオーセンティックスカとは微妙に違う(それはそれで大好物ですが)、日本の湿り気のある気候に合うスカというか。

たよりなく、せつなさ具合を微妙なさじ加減できかせてきて。

ーネモー
それから、産まれたての 影を遊ぶ 
山吹きの梢を
過ぎて行けば 真夜中 風のない坂道に
香り立つ花模様 けものの速さで 歩く
溶かしながら 浮かびながら 逃げて 夢の跡
花咲く森は
真夜中を忘れ 月の光に戻る
瑠璃色の 夜明けも待てず
柊の葉に 気をとられるから
うまく踊れないのさ、おかしいかい?
もう家へ帰ろう
ーレモンの花が咲いていたー
君が照れるから つられて恥ずかしくなった
その夏の影のかたちを 忘れたくないと思った
この静かな日の 雲がほどけて
また あたらしい季節は 二人を乗せる
君の髪も 少し伸びたね
昼を過ぎた 坂を上り
君とこの道を歩きながら
少し遠くへ来れたね
どこかの家の庭先、レモンの花が咲いていた
それで 君が笑うから つられて可笑しくなった
ーオールドマンサイレンスー
町へ出て男は鏡を覗き込む 
背中丸めた男の顔のしわ 一つ二つ
枯葉を踏みながら帰り道を歩く
あぶらじみた手をこすり 
急ぎ足 うちへ帰る
曇り窓に絵を書くよ 指でなぞって絵を書くよ
暮らしつづけるのは難しくないさ
男は窓に絵を書くよ 下手な犬が尻尾を振るよ
静かな夜の隅で

こうして歌詞を書き出してみると、詩的な表現が美しくて、ノスタルジックな絵本の世界を散歩しているよう。

楽曲も最高なのだけど、言葉選びが素敵すぎて、ひとつひとつかみしめて音読したくなるような。

独特の世界にまた今ぐいぐい引き込まれている。



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