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SUPERCARの全アルバムを聴きながらレビュー

 作業用のBGMとして、スーパーカーの曲ってとても優秀だと思います。最初の方こそ恋愛とか青春っぽい歌詞多目でしたけど途中からなにいってるかわかんないのが大部分を占めるようになったので意識がそっちに逸れないし、ナカコーのやる気のない声もミキちゃんの澄んだ声も曲に溶け込んでて主張があまりないのもポイント高いです。

知らない人に簡単な説明をすると、スーパーカーは四人組のバンドで、ギター・作曲のナカコー(中村弘二)とベースのミキちゃん(フルカワミキ)の二人がボーカルでした。ギター・作詞のじゅんじ(いしわたり淳治)はチャットモンチーをプロデュースしたりスーパーフライの歌詞を書いたりしてるので有名ですね。ドラムのコーダイ(田沢公大)は名前だけ知ってるくらい。2005年に解散しています。

ぼくがスーパーカーを知ったのはアニメの交響詩篇エウレカセブンでした。作中で流れたSTORYWRITERを聴いて、あまりのカッコ良さに痺れました。そこからアルバムを探して買い漁るようになり、MDに録音してMDウォークマンで一日中聴いて過ごした時期もあります。

知らない人に簡単な説明をすると、MDとはその昔人気だった記録媒体で、Mini Discの略です。四角くスタイリッシュな見た目でカラフルなのが多く、色々言われてましたけどぼくは好きでした。iPodの台頭で衰退してしまいましたが⋯。iPodの説明は流石に不要ですよね? なんだかジェネレーションギャップを恐れすぎて不要な補足をしている気がしてます。

今でもぼくにとって作業中に聴きたい音楽の一位なので、知らない人にはぜひ聴いてほしいと思います。各アルバムのレビューをしていくので、ちょっとでも興味を持ってくれたら嬉しいです。

スリーアウトチェンジ

最初のアルバムです。真っ青なジャケットが涼しげです。全体的に楽器の音がボーカルより大きいですが、不思議と騒がしさは感じません。ギターがメインでバンド感の強いアルバムですね。とリコーダーくらいしか吹けない人間が音楽を語って恐縮です。

1 cream soda:デビュー曲でもありスーパーカーの中で最も爽やかな曲です。青春のかたまりみたいなサウンドとナカコーの眠そうな声が絶妙にマッチして、幸せな浮遊感に漂わせてくれます。

4 DRIVE:ミキちゃんがボーカルで初登場。のんびりしてていい曲です。

8 Lucky:ナカコーとミキちゃんのツインボーカルです。全曲人気投票したら一位取りそうな曲。ぼくも大好きです。木綿のハンカチーフを男女で歌ったような曲といえばわかりやすいかと思います。スーパーカーの中では珍しい素直な恋愛ソングですね。PVにデーブ・スペクターが出てくるのですが、とても英語が流暢で違和感がすごいです。

9 333:これもミキちゃんボーカル曲。ポップでテンション上がります。いまだにこれのタイトルの読みがわかりません。トリプルスリー?

11 My Way:ナカコーが一番大きな声を出してるかもしれない曲です。疾走感があってランニング中とかに聴くといい感じです。

15 PLANET:歌詞の抽象度合いがちょうどいいです。わからないけどわかるような歌詞で、夕方に海沿いを歩きながら聴きたい曲です。

18 Hello:ツインボーカル曲再び。個人的にはこのアルバムの中でも一番なくらいお気に入りです。明るくて気持ちのいい曲です。曲調の割に歌詞は暗い気がしますけど捉え方次第な感じで、聴いたときのメンタルで評価が変わる曲かもです。

19 TRIP SKY:ラスト曲です。ものすごく長くて12分くらいあります。歌自体は4、5分くらいで終わるんですけどアウトロがクソ長い。なにかのインタビューで見たんですけどこのアルバムのコンセプトがCDの容量の限界まで曲を詰め込むことだったらしいので、限界になるまで演奏した結果なんじゃないかと勝手に思っています。長いんですけど意外と毎回、最後まで聴けてしまうのがすごい。

上に書いた以外も名曲だらけです。初期なのでわかりやすい歌詞が多くてBGMとして聴くには若干向かないかもしれません。でも超名盤なのでオススメです。

JUMP UP

2ndアルバムです。前作より音が洗練されているのが素人でもわかります。全曲終始プツプツノイズが聞こえますが意図的なものらしいです。

1 Walk Slowly:スーパーカーでも屈指の素敵な歌詞。曲調も穏やかで、聴いてると自然とゆっくりした歩みになります、本当に。

2:Sunday People:疲れたときに聴くと癒されます。

7 Tonight:ツインボーカル⋯といっていいのかよくわかりません。不思議な曲です。タイトルの通り夜に聴きたい曲です。繁華街なんかをぶらぶらしながら聴くといい感じになるかもしれません。

8 Skyphone Speaker:歌詞は全然意味不明ですけど騒がしさがこのアルバムの中ではいいアクセントになってて、必要な曲ではあるという評価です。

10 Talk Talk:歌詞カードを読んでもそんなこと歌ってる⁉︎ってくらい聞き取りづらいところ多めの曲ですけど割と曲としては好きです。

スリーアウトチェンジに比べると暗めのアルバムですね。BGMという観点で言えばこちらに軍配が上がるでしょう。アルバムとしてもこちらのほうがまとまっている気がします。

OOYeah!!

企画盤です。実験的なアルバムって感じでしょうか。スーパーカーのアルバムに実験的でないものがあるかというと微妙ですけど。

1 OOYeah!!:インストです。この曲だけループするのもいいかもしれません。

2 BE:曲もいいんですけどPVが面白かったです。

3 MOTORBIKE:爽やかで楽しい曲です。バイクは持ってないんですけど車に乗りながら聴くとテンション上がります。

4 Let's Go Party!!:別にそこまでパーティー行きたくなさそうなミキちゃんのボーカルがいい感じです。

7 IONADISCO:イオナディスコってなに⋯?って聞いたら負けみたいなとこあります。青森にそんな名前のディスコがあるんでしょうか。タイトルについて考えてしまう曲第一位ですねこれは。

8 Life Goes On:名曲です。ツインボーカルですね。後期になるとこういう曲がなくなるので残念です。

曲数は少ないながらも粒揃いで聴きやすいアルバムです。

OOKeah!!

もう一枚の企画盤です。どっちもサイバーなジャケットがクールだと思います。

1 OOKeah!!:一応歌詞ありですけどずっとオーケー言ってるだけなんで実質インストと言ってよいかと思われます。

5 Flicker:なんかまっとうなバンドの曲っぽいです。普通なのが逆に異質みたいな存在でしょうか。いい曲です。

6 Summer Tune:夏に聴きたい曲のトップです。珍しく全部英語の歌詞ですけどシンプルな英単語しか使われてないので高校生にも優しい曲でした。

9 Dive:気だるげなナカコーの歌いかた好きです。

二枚を改めて聴いてみるとたしかに実験盤かもなあって感じでした。この次に出すアルバムから音楽性ががらっと変わるので、まだやってなかったギターでやれること全部やっとこうということだったのかもしれません。妄想ですけど。

Futurama

一番好きなアルバムです。それまでのアルバムからうって変わって電子音を多用したエレクトリカルなアルバムになってます。曲と曲がシームレスで最後まで繋がっていて、全体で一つの曲のようなイメージです。ぼくはランニングやサイクリングなんかでこのアルバムを通しで聴くことが多いです。

1 Changes:夜明けの太陽のような輝きのあるインスト曲です。始まりにふさわしい希望に満ちたサウンドです。

2 PLAYSTAR VISTA:理解させる気ゼロの単語の羅列ですがこの曲にはこの歌詞がぴったり合うんです。

3 Baby Once More:ずっとベイビーワンスモアといってるだけですけどとてもいい曲です。

4 White Surf style 5.:白い雲の中を泳いでいるような気分になります。電子ドラッグとはこういうもののことをいうのだと思います。音に色があると感じたのはこの曲が初めてでした。

5 Star Fall:曲の前半と後半の落差でジェットコースター的快感を味わえます。

10 Karma:アルバムで一番好きな曲です。珍しく意味の伝わる歌詞で、心なしかナカコーの歌声にも力がこもっているように感じます。

11 FAIRWAY:Karmaからの繋ぎが完璧です。でもシングル盤のイントロもいいので聴いてみてほしいです。

16 I'm Nothing:夜のプールで一人浮かんでいるような静謐さと神秘性を持った幻想的な曲です。アルバムの最後を飾るに相応しい名曲ですね。

このアルバムを聴くときは、一曲も飛ばさずにフルで聴いてほしいです。いまだに曲順ランダムで聴いたことのない唯一のアルバムです。

HIGHVISION

世間的には一番知名度の高い曲が多いアルバムだと思います。先述したエウレカに使われた曲も入ってます。映画に使われた曲も入ってます。

2 WARNING BELL:ドップラー効果的に近づいてくる音が心地よいです。タイトルに反して心を落ち着かせる曲です。

3 STORYWRITER:とてもカッコいい曲です。聴けば好きになること間違いなしです。

5 OTOGI NATION:変な音がグワングワンと響いて異世界感がすごいです。

6 STROBOLIGHTS:ひさしぶりのミキちゃんの単独ボーカル曲です。音が眩しいです。曲を聴いていると視界が黄色くなる気がします。

7 I:女の子っぽい声ですけどミキちゃんじゃなくてナカコーの声を加工しているやつらしいです。なにかのインタビューでナカコーがいってました。探してみましたが出典が見当たらないですけど、本当なんです。嘘じゃないですヒャダインでいうヒャダルコみたいなものです。

8 YUMEGIWA LAST BOY:日本語タイトルに入れるならもう漢字表記したほうがいいんじゃないか⋯なんて無粋なことを思いました。アルバムを象徴する一曲ですね。神的存在を照らす後光のような神々しさがある気がします。

10 SILENT YARITORI:最後のツインボーカル曲です。穏やかな海の中を漂っている感覚に襲われます。アウトロが名残惜しそうに延々と流れるのが切ないです。

ジャケ写に引っ張られてるかもしれませんけど光のイメージが真っ先に浮かびます。初めて聴いたアルバムなので思い出補正は強めかもしれません。

ANSWER

最後のアルバムになります。すごいジャケ写です。今でも少し怖いです。FuturamaからHIGHVISIONまではデジタルサウンドに特化していった印象ですが、ANSWERで原点回帰というか、シンプルな電子音とベース・ギターの組み合わせになりました。

1 FREE HAND:初っ端から新しい音をかますぞという強い意志を感じます。

2 JUSTICE BLACK:夜のバイパスを走りながら聴きたい曲です。

4 WONDER WORD:スーパーカーの全楽曲の中で一番好きな曲です。短い詩に大きな物語を感じさせるサウンドとボイスのマッチング具合は奇跡的といえます。

5 BGM:装飾のなさと歌詞の無意味さなど総合してアルバム中で最もBGMに向く曲と言えるかもしれません。

8 RECREATION:寝そべって夜空を見上げながら聴きたい曲です。

11 SIREN:ベース音が最高にカッコいい曲です。地味に8分くらいあるんですけど聴いてるとあっという間だったりします。アウトロでジ・エンドをリフレインし、強制的に終わりが近いことを認識させられます。

12 LAST SCENE:こちらでもジ・エンドを繰り返し歌っています。そもそも曲名が終了を明示してますね。ナカコーの声に肩の荷が降りて楽になった安堵感を見てしまうのは穿ちすぎでしょうか。

13 TIME:最後はミキちゃんの単独ボーカルで〆でした。放課後の音楽室で一人ピアノを弾いてるイメージが浮かんでしまうくらい、最後のアルバムの最後の曲としては静かすぎました。アウトロはメトロノームの振り子がなるだけで、色んな意味が込められていそうです。

ANSWERは暗いというか黒いって感じです。ひたすら暗闇の中で音が鳴ってるような。光だったHIGHVISIONの裏ですね。ラスト三曲は絶対にこれで終わらせるという揺るがない決心が見えるようです。名盤だけど素直に褒めにくいアルバムだなと感じます。

あとがき

書く前から予感はしてましたけどやたら長くなってしまいました。自分のことながら無駄な努力にちょっと引きます

上に挙げたアルバムでいちおう全部なんですけど、厳密にいうとベストアルバムの『A』『B』というのがあって、『B』のほうがシングルのB面集でオリジナルアルバムに入ってない曲が割とあったりするのですが、さすがに面倒になったのでやめておきます。こちらもいい曲多いので気になった人は聴いてみてください。ぼくはこの中だとSeven Frontが特に好きです。

久々に聞いた曲も多くて、ああやっぱりスーパーカーはいいなと再確認しました。ぼくがファンになった時点で既に解散していましたけど、そこから15年経過してもまったく古臭くならないって凄いことですよね。

あ、疲れてきたのでそろそろ終わります。

長くなってすみません。🙇‍♂️

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