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小説を実写化してもらった話

自分の小説が実写化されるのって嬉しいですよね。
作者のイメージ通りに表現されたらもちろん嬉しいですし、そうきたか!という新解釈との出会いも楽しいです。

というわけで、まずは小説を書きました。
私の推しがふんだんに登場します。
登場人物をご存知の方は是非想像しながら一部始終をご覧ください。

【月の桃】

アルファが川でのんびり泳いでいると、物陰から視線が向けられているのを感じました。
しばらくして頭脳明晰な永田が駆けつけましたが、遅かったようです。

「クソっ!一体なんでこんなことに…?」落胆する永田の後ろに、恐山が姿を現しました。「2人でアルファを取り返しに行こう」

2人は川沿いを探し歩いていると、森から不思議な歌が聞こえてきました。
「ギャラクシーギャラクシー、月の桃が今日も綺麗。もらった者は皆喜ぶ!
 ピッチョンコピッチョンコ、すてきな桃は川で出会える」

2人は気づきました。
アルファの尻が月の桃と勘違いされて連れて行かれたのだということに。

歌っている姿を確認すると、馬の頭に人間の足、魚の頭に人の足をしたエルフたちが踊っていました。
そのエルフたちとの会話で、余っているものと
月の桃を交換してくれることがわかりました。恐山はしおしおのカサカサになったリンゴを取り出し言いました。
「死神界のリンゴだけど、これでどうかな?」
エルフたちは「いいとも、いいとも」と受け入れました。
手に入れた月の桃は
月明かりのように白く艶やかで、ほんのり優しく甘い香りがしました。

永田は「俺は別にいい」と言ったのですが、永田の左まぶたの二重と、エルフの牛の角を交換させられてしまいました。

その時、永田がふと閃きました。「ギャラクシー…川…もしかして天の川か!」

エルフ「ご名答!月の桃は天の川をピッチョンコピッチョンコと流れていくんだ。出会えたらラッキー!」

天の川といえばこの人。
2人は彦星の元を訪ねました。
「やっぱりだ!」出窓に座るアルファを見つけました。

「彦星さん!出窓にいるの、月の桃じゃないよ!」
永田が指摘すると、彦星は驚いた表情を浮かべました。「えっ、なにっ!?たまにガスが出てくるから、何か変だなとは思っていたんだ。でも、黙ってるからやっぱり桃なのかと…」

「屁をこく前に話せよ」恐山は呆れながら、森で交換した月の桃を差し出しました。「これこそが本物の月の桃だ。出窓のそれと交換してくれ」

「いいのかい?ありがとう!どんな姿になろうと、君は僕を導いてくれるんだね」切なげに目を細めながら、元牛飼いの彦星は永田を見つめました。
「牛違いでは」即座に否定しようとする恐山を遮り、永田はアルファの手を引いて彦星の家を後にしました。

帰り道、アルファが言いました。
「あの桃、織姫にプレゼントするんだって。どんな味がするんだろう?」
恐山が応えます。「カサカサのリンゴと交換してもらえるくらいだから、
大したことないんじゃないかな」
永田が言います。「そんなの貰ってみんな喜ぶか?でも月の砂ってガラス片みたいに尖ってるからなぁ…すごくトガった味かも」
アルファは興味津々の表情で、「そうなの⁉︎じゃあ、もし生尻の跡を月面に残そうと思ったら、それなりの覚悟が必要ってわけだね」と空を見上げました。

「尻出すのはもう懲りてろよ」
永田が笑いながら言いました。

そして
このはちゃめちゃな小説を実写化してくれるのは
コスプレイヤーのhiroさんです。
hiroさんには小説に登場する人物について、事前情報が全く無い状態でコスプレをお願いしました。

hiro「私にお任せください」
なんて頼もしいんだ。
どの人物を3次元で表現してくれるのか楽しみです。
もともと3次元の人たちばっかだけども。
私の推しがどう伝わったのか。
そもそも物語は伝わっているのか。
ワクワクしながら完成を待ちます。
特殊な推し活になってまいりました。


数日後


hiro「アルファにしたよ」

強そっ!…アルファ!?

衣装というより、こういう装飾の生命体であるとのことです。
アルファさんがコスプレキャラに選ばれたことも驚きですがこのビジュアルですよ。
とにかく強そう。下半身が銀色でツヤツヤだぁ。
これは間違いない、銀河の桃。
唇は金色に輝いている気がする。
この人がのんびり泳いでる川なんてある?
漆黒の川で罪人に罰与えてそう。
私の知らなかった推しの扉が開きました。

hiro「川底のゴミが絡みついた状態で怯えるアルファ」

彦星の方が怯えるって!
このビジュアルの桃が放つ屁って…!?
ソニックブーム?


hiro「仲間が助けに来た時のアルファ」

もうね、ラスボスの表情なのよ。
やっつけたはずのヒーローがパワーアップして立ち上がってきたときのビックリ顔。
「まだ生きてやがったか、忌々しい」って言ってそう。
川底のゴミ付いてても強そうすぎる!
尻をみんなに狙われているから、方々から引っ張られるイメージだそうです。
こんなおっかないのに尻を狙われてるの可愛いですね。


いかがでしたでしょうか。
私のつたない小説からこんな力強いキャラクターが誕生しました。
そして推しがめちゃめちゃ強いラスボスみたいになり
概念が覆りました。
小説を書いている時も作品を待っている時もずっとドキドキワクワクできて楽しかったです。作品を目にしてからはなぜかずっとニヤニヤしておりました。
hiroさんからも「今回みたいなやつ面白いね」と余裕の悪役みたいな感想をいただけたのでまたやっちゃうかも?
この写真をまた別の形で表現して…という風にリレーしても面白いかも?と思い始めております。

お付き合いいただきありがとうございました。
ではまた!

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