10短歌
生きるとは洋服を着て飯を食い疑問浮かばず毎日ゴミ捨て
遠くから雷鳴のようトラックが水たまり撥ね台風前夜
ドン底の気分を抱いて喰うカレーご飯ばかりが妙に余って
時計だけ置かれた部屋に埋まる愛掘り起こすには硬すぎる冬
塗り薬、浮腫んだ脚とリコーダー。高過ぎる音、高過ぎる靴
家計簿に眠る財宝探せども浮き上がるだけ2B鉛筆
格安な混ざる命で憂い解くはちみつミルクあたためますか
発熱を復讐に添え振りかぶる後は下ろせば、それができれば
狭い部屋二次関数の週末は祈りのような厄災のノリ
端役とて幕が上がれば帰れないこれは終わらぬ匂いある夢
メッセージ送り終わると肺動く潜り過ぎてる深海の問い
上限を知らぬ嫉妬の温度計そのうち都内行けるとこ無く
間借りした戯曲のような人生へ継ぎ足す台詞誰の持ち味
夜が煮る二人だらけの工作は凍る骨すら溶かせるほどに
短歌と掌編小説と俳句を書く