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(6)1脚の椅子が人生を変えた人のお話

夏至の今朝…
ふと思い出した人のお話を書きます。


あれは、もう15年以上前かな
当時、ワタシは 営業職で、あるお宅に伺ったときのことです。

そのお宅は、市内を一望できる小高い山の上にある住宅街の中でも、
ひときは目立つ素晴らしいたたずまいの洋館。
(ゆうに数件分の敷地💦)
玄関を入り、美しすぎる螺旋階段のある個人宅を初めてみて感動したな~

『どんな会社の社長さん宅なんだろ?』とドキドキ。
というのも、紹介してくれた方のお話では
『参観日にもほとんどこれなくて、お仕事大変そう💦
 業績も厳しいという噂だよ』
と、聞いていたから…

実際は180度真逆だった!!!
この噂の真相は、あとでわかったけどね…(笑)

40歳ぐらいの気さくな奥さんとお話していたら
たまたま休みだったご主人がこられて一言

『あの車は、ご主人が買われたの?   ご主人どんなお仕事されてる方?』

ワタシが乗っていた車をたまたま見られたそうで、

私『ワタシが買いました。離婚してるので。(笑)』
ご主人『この営業で? 他にも何か仕事してるの?』
私『この仕事一本です』
ご主人『そうなんだ~あなたが販売している製品、説明なくていいから、
             あなたが一番オススメできるセットを契約しますよ。
    納品に来た時に使い方だけ妻に教えてね。
    だって、ひとりで、あの車を買えるなら、いい製品に違いない。
    あの車order仕様だよね!!   あの色も見たことないもん。  』

ご主人、かっこよすぎる!!!



この後は、言葉通り、
契約書にサインして。雑談…三昧。
と、いっても、ワタシは家フェチでして、
このお宅が気になってしょうがなくて

『お願いがあります!私家フェチで、気になって気になってソワソワしてます。💦もしよろしければ、お部屋見せて頂けないでしょうか?』


説明もなしに、50万の契約をしてくださっただけでなく
ワタシの家フェチが発動したキラキラした目に
大爆笑のご主人が、
家中を見せてくださったんだよね


…そう


そこで、この家が、
一脚の椅子との出逢いからすべてが始まったことを
ご主人が話してくださったのでした…

子供の学校では『経営が苦しい印刷屋』って、噂でしょ?? (笑)
事実だよ…数年前まではね。
今時印刷屋なんて、大手が格安で印刷するし、個人がプリンター持ってるからほんとに大変なんだよね。
そこで社長の親父が急に亡くなってあと継いだんだけどさ、嫌でね~。
営業行っても契約なんて決まらないし、嫌で、嫌でさ。
でも母親が父さんの作った会社つぶしたくない!!
っていうから、いやいや全国営業してたんだよね~
いつつぶれてもおかしくなかったよ~
唯一の楽しみは、営業の途中で、家具屋に入って、眺める事だったの。
現実逃避だよね、完全に。

そしたらさぁ~、ある日、出会っちゃったの、ひとめぼれだよ。

『ひとり用の椅子』…一脚35万…

その時は、ありきたりの古い一軒家に住んでてね、
35万、妻には絶対怒られる。
売上も上がらない、つぶれそうな自営業。
ローンなら買えないことは無い。

… … …欲しい… … …

その夜、営業先のビジネスホテルで考えたよ~
買うか、あきらめるか…
そしてね、思ったの。

欲しい!!!
こんなに欲しいと思うことは無い。
…でも、家に持って帰って、嬉しいのは僕だけだよね。
今の家には、あの椅子似合わないよね💦
妻にも嫌われる椅子になるよね💦
んーーーーーーーーー

くそーーーー💦
あの椅子が似合う家が欲しい!!!!!!!!

そこからなんだ、
あの椅子をどんな部屋に置きたいか、
あの椅子が似合う、絨毯は何色か??
壁には、どんな絵があったらいいか??
部屋のドアは、どんな模様で、どんな手ざわりか??
あの椅子に座ってどんな風景が見たいか???
あの椅子に座って、何をどんなコップで飲みたいか??????


いやいや営業していた印刷屋の仕事もさ、
どうやったら、あの椅子が似合う家を建てられるか???
に変わったんだよね。☆

そう、一脚の椅子から始まった、すべて好きなものにあふれた家を絶対建てる物語が…


コースター一枚も、好きなものがなかったら
生地から選んで作ってもらう。
世界に数枚の絵の一枚が、壁にある。(…マンション一部屋買える値段やん)
その椅子に座ったら見える小窓の外には、フルオーダーの車が2台。
ほんとのフルオーダーの車って、ハンドルの皮のミシンの糸まで選べるんだってね。(びっくりだわ)
【書ききれないので端折ります】

学校には、国産の何年も乗ってるファミリーカーで行くんだって。
『いろいろ言われるの嫌だから』って。(わかります。その気持ち)
だから『つぶれそうな印刷屋って、いまでも言われてるでしょ。(笑)
家に呼ばないしね。好きな人以外入れたくないのこの家に』って。

そして、100均で買ったグラスも置いてあるんだよ。
『それ可愛いよね。』って。
値段じゃないんだ…って、好きなものを置いてるから、
100均も、1000万の絵も仲良しなんだ。
好きってさ、こういうことなんだね

このご主人のお話だけでも、
1冊かけちゃうわ。


ふと、今朝思い出した人のお話。

ワタシにとっての、『1脚の椅子』は、なんだろう?

持ってるから自分が上がるものも、もちろん大事だと思う。
これがあるだけで嬉しいっていうものも、とっても大事だと思うんだ。
なんだろ
そう…
『一脚の椅子』から始まった、あの社長のご自宅には、愛が溢れていた。


…愛からはじまる…

そう生きてけ…って事だね。
今日思い出させてくれてありがとうございます



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