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相続手続き~預貯金解約編~

みなさん、こんにちは。司法書士の植田麻友(うえだまゆ)です。先日、相続手続きにおける戸籍の収集についてnoteを書かせていただきました。

戸籍は、相続手続きが遅くなるほど難解になります。それでも預貯金に関しては、すぐに必要な場合に多いのでお手続きをされる方が多いと思います。今回は預貯金解約についてお話させていただきます。

銀行に「死亡」を知らせるタイミング

まずは、亡くなった方(被相続人)の口座を確認します。口座の確認方法は、さまざまですが通帳やキャッシュカードを確認するのが良いでしょう。通帳があれば、振込や引落の確認もでき、他銀行の口座やクレジットカードについても確認は可能です。クレジットカードについては、死亡したからといって当然ストップするものではありませんので、こちらについても、各社のクレジットカードの窓口に連絡が必要となります。

一方で、銀行口座については、口座名義人が亡くなったことが分かれば金融機関は即座に口座の取引を停止します。つまり、引き出すことも預けることもできなくなるのです。

例えば、夫婦で共同の口座を持っており、ほとんどの生活費を引き出していた口座が被相続人の名義であった場合、金融機関に死亡した旨を知らせることで口座は停止します。この場合、たとえ妻(または夫)であっても、口座の金額を自由にすることはできません。一度停止した以上は、金融機関が定める相続手続きを経ない限りは家族のお金であっても全額を引き出すことができないのです。

ただし、相続関係が複雑であったり、相続人の一部と連絡がとれないケースが多く、残された家族の生活に支障をきたすおそれがあるため、近年新たな制度が始まっています。

2018年の民法改正で「遺産分割前の預貯金の一部払い戻し」が可能となりました。この制度は、2019年7月1日より利用可能です。ただし、口座の全額を払い戻すことはできず、下記の金額となります。

 払い戻し可能額
  =相続開始時の預金の額×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続割合

つまり、相続人が妻と子供1人の3人家族がいたとして、妻が払戻しが可能な金額は、

相続開始時の預金の額×1/3×1/2

となります。この払戻には、戸籍謄本が必要となります。相続人であること、および法定相続割合を確認する必要があるため、戸籍は一式揃える必要があるのです。

金融機関手続きは統一されていない

とはいえ、引き出すことができるのは預貯金の一部ですので、全額の払い戻しを行うには「遺産分割協議」が必要となります。遺産分割協議とは、相続人全員でどの財産を誰か相続するか(引き受けるか)を決める協議となります。金融機関はこの遺産分割協議を元に預貯金払戻しを行うことになるのですが、ここに注意点があります。

遺産分割協議書は、相続人の全員の同意が分かる書面であり、全員が実印を捺印している必要があります。それはどの金融機関でも同じなのですが、金融機関によっては、遺産分割協議書だけではなく、金融機関所定の書式に相続人全員の実印の捺印を求める場合もあるのです。非常にまれですが、私は何度かそういった指示を受けたことがあります。つまり、相続人が多い場合にやっとのことで印鑑を揃えて銀行にもっていった場合に、再度求められる可能性もあるということです。そういったことを防ぐためにも、金融機関にはまずはじめにどんな書類が必要かということを確認しなければなりません。もちろん、この連絡をした時点で口座は停止されることになるので、注意が必要です。

ゆうちょ銀行の注意点

前記で金融機関により手続きが異なることがあるというお話をさせていただきましたが、特に注意が必要なのがゆうちょ銀行です。ゆうちょ銀行はほとんどの方が持っているのですが、注意すべき複数口座を持っている可能性が高いということです。そのため、ゆうちょ銀行の手続きを行う場合には、「現存調査」と呼ばれる手続きを行うことが必須です。

この手続きは相続人(または、相続人が依頼した代理人)から行うことが可能です。この手続きを行わなければ、口座を見落としてしまう可能性があるため注意が必要です。また、代理人によって相続の手続きを行う場合ですが、多くの銀行は汎用の委任状で問題ありませんが、ゆうちょ銀行に関してはゆうちょ銀行所定書式が必要です。また、委任事項についても非常に厳しく決まっていますので、お手続きを行う場合には、事前に窓口に問い合わせをされることをおすすめいたします。


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