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「LGBT理解増進法案」にまつわる誤解について

「LGBT理解増進法」という法案とともに、女性トイレや銭湯が危険になるかのようなデマがバラまかれている。

実際は、当事者は自分の見た目や身体の状態に合わせて、どこを利用するかどうかの判断ができる同じ人間だし、出生時の性と見た目の性が違うことがバレて騒ぎになって、危険な思いをするのは、当事者側なのに。
外出先でトイレ利用を我慢させられているのは、圧倒的に当事者のほうが多いのに。
(もちろん、問題なく移行先の性別として利用している人もいる。しかし、見た目で疑われなくなった自信が持てないと利用をためらいがちなのが、現状)


犯罪者と見分けがつかなくなる、なんて言い方も流行っているが、ちょっと待ってほしい。
男性が犯罪行為をする為に女装をしてトイレに入って犯罪をしたら、今だって犯罪になる。
これからだってそうだ。
そこにトランスジェンダーであるかどうかは関係ない。(出生時に女性だったが今は男性として生きている人が犯罪行為を行ったら、出生時に女性だったからと見逃してもらえることはないし、そんな法律は存在していない)


性同一性障害で…と言っても、犯罪をしていい理由にはならないし、性自認は変えられるものではないから、ただ見た目的に男性か女性か怪しい人だから罪になるわけでもない。(しかも、下着を降ろしでもしない限り、その人の主観で背が高いか、肩がゴツいに過ぎないのでは?)
ただ見た目が普通ではないと感じたから、怪しいから、との理由だけで、トイレを利用しに来ただけの人を通報したら、それは女性に恐怖を与えた罰として罪になるのだろうか。


男性的なファッションをした女性はいくらでもいるのに、中性的なファッションをした女性もいくらでもいるのに。

なぜ男性だけ、女性らしい格好をしていたら犯罪目的だと怪しまれて通報されねばならないのか。統計的に男性による性犯罪が多いことと、その人の生まれもった性別違和や服装の好みが女性と「紛らわしい」人が短絡的に犯罪可能性が高いように言われるのは相関関係があるように思う。

完全に女性に見える見た目(=いわゆるパス度が高い)人しか、問題なく女子トイレを利用できなくなると、性自認と身体性が一致している人の中にも困る人が出てくると思うのだけど。


そもそも、犯罪者と犯罪者でない人を見分ける方法なんて、あるのだろうか。

女性を狙った犯行をするかもしれない男性を、たくさんの男性の中から見つけ出すのが無理であるように、LGBTQの中の犯罪者を見つけ出して、予め排除することはできないと思う。

LGBTQであると嘘をついて犯罪をする異性愛者がいたとして、嘘かどうかは、調べれば分かることだ。トランスジェンダーは、自認すれば性別を簡単に変えられるようなものじゃないし、免罪符でもない。自称するのと性自認は違う。戸籍まで変えるには、2箇所の病院で診断を受けるとか、ホルモン治療、外科手術…そういう決まりがある。

例えば、男女どちらかの性になることを望まないノンバイナリーやXジェンダーの人は、不本意ながら出生時の性に従った生活をするしかなかったり、トイレは多目的トイレを利用している人が多いのではないだろうか。


多目的トイレは男女関係なく入ることができる設備だが、そのことが問題であると取り上げられることはない。それは何故か。

大多数の人は多目的トイレを自分用トイレとして考慮に入れていないし、用を足す為に入るのに、男女関係なく入れるから怖いと言っていたら、車椅子の障害者は、外でトイレは使えなくなる。現実として、車椅子用トイレなのに車椅子の人がが使い辛いトイレもあると聞くのに。

介助者は男性で、女性が介助されることもある。異性に介助されるより同性に介助されるほうがいいだろうし、そう望む人がいるのは確かだ。しかし、身体的に力があるのは男性のほうが多いから、身体に重度の障害がある場合、男性の介助者に頼まざるを得ないことだってあるだろう。


トランスジェンダーも、LGBTQも、最近出てきた流行り物ではない。ずっとずっと、隠して生きてきた。口に出してはいけないことだと、自分がおかしいのだと、黙って生きてきた。
もう我慢するのはたくさんだ。いないことにされて勘定から外されて、当たり前だ、仕方ないと、もう思いたくない。

6月は世界的にプライド月間(プライドマンス)として祝われている。その起源は、LGBTQであるというだけで異常者や犯罪者とされ、逮捕されていた時代に、アメリカのストーンウォール・インというバーで、当事者が起こした反乱だ。
LGBTQであることは何も恥じることではない。プライドという言葉には、そんな意味が込められていると、今の私は理解している。
 https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/sa/1.html 


(ヘッダー画像は、初めてCanvaというサービスのフリー素材をお借りしました)

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