ウェルテル効果とある漫画家の偏移

自殺が連鎖する現象をウェルテル効果と呼ぶ。
最近の事例だと俳優の三浦春馬が縊死した報道による連鎖が特に印象的だろう。
しかし私はある漫画家を思い出した。

ねこぢる 

今は事故死説が濃厚なカリスマミュージシャンのhideと同じ年に精神を病み自殺した鬼畜系漫画家。
同じく(当時は)鬼畜系漫画家である夫の山野一が遺されてしまった。
ねこぢるは1993年に(漫画家の方の)山田花子が投身自殺を遂げた際、出版社で働いている山田の姉に後追いをしないで欲しいと心配されていた。
しかし、知名度が上がったことによる多忙とプレッシャーに蝕まれていた事は確かである。
晩年の作品「ねこ神さま」「ぢるぢる日記」に出版社は違えど同じ内容(人工イクラ、トイレットペーパーを引きずる女、ビデオ店でおばさんと太った店員が喧嘩)を書く程精神に余裕がなく辛かったのだろう。
そして耐えきれなくなったねこぢるは自ら人生を終わらせた…
死後に夫の山野は「ねこぢるy」名義でよく似た絵柄の漫画を書いていたがキャラクターが同じだけで内容は全く違うものになっていた。

2ちゃんねるのねこぢるスレでこのような投稿が記憶に残っている。
「ねこぢるの死と共に鬼畜系漫画家としての山野一も消えてしまった」

数年後、山野一は再婚し双子の娘の父親になったのを契機に育児漫画「そせじ」の執筆を始めた。
自らを「双子の父親で元・鬼畜漫画家のやすお」と描いている。
父親になった事をきっかけに山野一は浄化された。
鬼畜部分は成仏したような状態と化した。
そういう変化を塞翁が馬と呼ぶのかな…

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