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Maxon 2023春のリリース

Maxon 2023年春のリリースで、多くの製品がアップデートされました。各機能をご紹介します。


Cinema 4D 2023.2

Cinema 4D 2023.2がリリースされました。今回も魅力的な新機能や機能の改善がされていますので、紹介していきます。
こちらの内容をまとめたものを動画にしていますので、こちらもぜひご覧ください。

シミュレーションの改善

パイロの改善

今回のアップデートで、パイロがかなり改善されています。初期化のスピードは以前より少し時間が掛かりますが、メモリ管理とパフォーマンスが向上し、VRAMの消費が減りエラーになりにくくなりました。

ビューポートでの描画もよくなり、パイロの密度(煙)がライトの影響を受けるようになりました。

2023.1は、陰影は固定のライトによるもの
2023.2は、左右のライトが反映されている

密度のカラーに対して、カラーマップが使えるようになり、頂点カラーを割り当てられるようになりました。ご覧のように、キャラクターが煙となって消えていくようなエフェクトも作成できます。

パイロの速度で、ローカル座標が選択できるようになったため、放射方向を簡単に変えられるようになりました。火炎放射器やジェットエンジンなどの表現も簡単にできます。

クロスのバルーンが改善

クロスシミュレーションも改善され、クロスを膨らますバルーン効果で頂点ウェイトを指定できるようになりました。これにより部分的に膨らませることができます。頂点ウェイトをアニメーションさせれば、徐々に膨らむようにもできます。

厚み付けジェネレータ

ポリゴンに厚みを付ける厚み付けジェネレータが追加されました。
クロスサーフェイスや押し出しモディファイアなど、プロシージャルに厚みを付ける機能はありましたが、特に穴の開いている境界部分がアルゴリズム上歪んでしまいました。そのため、ポリゴンを調整するしかありませんでしたが、厚み付けジェネレータを使えば、境界部分も垂直に処理できるので、プロシージャルに作業が行えます。

さらに、押し出し面とキャップ部分などの選択範囲も生成できるので、建築パースなどで、内壁と外壁でマテリアルを分けることできます。

ベースのオブジェクトが選択範囲を持っている場合は、それの扱いも柔軟に変えることができるので、
ソース側に残すのか、キャップ側に選択範囲を残すのか、キャップ側にコピーするのかといったことが選べるので、外壁は共通で、各部屋のマテリアルは変更するといったことができます。

左下:選択範囲をコピー、真ん中:ソース側、右:キャップにコピー

他にも、押し出す場所をポリゴン選択範囲で指定したり、押し出し量を頂点ウェイトでコントロールすることもできます。
さらに、ジェネレータとしてだけでなく、モデリングコマンドとしても厚み付けが用意されています。

対称ジェネレータ

強力なモデリング機能の対称コマンドが、ジェネレータになりました。
モデリングコマンドと同じように、反対の対称のメッシュを削除したり、XYZを同時に対称化したり、放射対称も行えるようになりました。

新しくなったコマンダー

Shift+Cキーで呼び出せるコマンドの検索ツールが、アセットブラウザの内容も検索対象にできるようになりました。
フィルターも用意されているので、探したい項目すぐに見つけることができます。

シーンノードとエディターの改善

シーンノードは、独自のモディファイアが簡単に作成できるようになりました。
ジオメトリモディファイアグループを使うことで、独自のスプラインオブジェクトやデフォーマが簡単に作成できます。

頂点部分に穴をあけて厚みを付けるモディファイア

ノードUIを改善され、より分かりやすくなりました。

ノードマテリアルのエディターも、Redshiftのシェーダーグラフと同じようにエディターの右に属性マネージャを、左にノードリストを表示できるようになりました。ノードエディターをフローティングさせて編集する場合に簡単にパラメータが編集できるようになりました。

配線されたノードをコピーした際に、配線が保持されるようになりました。
異なるパターンを作るときに便利です。

コピーしても接続されたまま
Shift+Ctrl+ドラッグで元のノードに接続したまま複製

法線の扱いが改善

CADなどからモデルをインポートすると頂点法線を持っている場合があります。これまで、こうした法線情報を保持してレンダリングできましたが、オブジェクトを変形させると法線がポリゴンの変形に追従できずに、レンダリングが正しい結果にならないことがありました。

2023.1の場合

2023.2では、法線がポリゴンの変形に追従するようになったため、大きく変形しても正しくレンダリングできるようになりました。

2023.2の場合

これは、ブラシやマグネットなどトポロジーの連続性とポイントとポリゴン数が変わらないモデリングツールで編集した場合でも法線がおかしくなることはありません。

Redshift 3.5.14

PRG Clear Sky

スカイシェーダーの空モデルに、放射と減衰のフィットモデルを用いたリアルな空気感が出せる、PRGクリアスカイが追加されました。Hosek-Wilkieの改良モデルで、太陽が水平線に近いときに、より正確な空を表現できます。
マジックアワーやゴールデンアワーと呼ばれる、オレンジと紫の非常にきれいなグラデーションの空が表現できます。

太陽の大きさも自由に変えられるので、より印象的なシーンを作成できます。太陽のグローサイズをかえたり、サンティントの設定で太陽そのものの色を変えることもできます。

バックプレート用の背景の設定

背景の設定がドームライトから、ポストエフェクトとカメラの設定に移動しました。これまでは、バックプレートとして背景に画像を貼りたい場合、ドームライトを使う必要がありましたが、ライトを追加しなくても背景の設定ができるようになりました。
背景は、カメラ毎に設定できるので、カメラを切り替えるだけで、背景を切り替えることもできます。
レンダービューでも、背景の設定が変更できます。

フレークシェーダー

車などのラメ塗装などに使えるフレークシェーダーが追加されました。使い方は簡単で、スタンダードマテリアルのバンプマップに接続するだけです。フレークのサイズや密度などを自由に設定することができます。
さらに、レイマーチングによる3Dフレークにも対応してます。トランスミッションを有効にすると、ビー玉のようなきれいなフレークを内部に生成できます。

RedshiftカメラがHoudiniとBlenderで利用可能に

Cinema 4Dに先行して搭載されていたRedshiftカメラが、HoudiniとBlenderでも使えるようになりました。露出やピント、モーションブラー、被写界深度などのカメラの光学設定がカメラで行えます。

Red Giant

Trapcode 2023.3

今回のアップデートでTrapcode Particularは、パフォーマンスの向上が行われました。これまで、ライトをエミッターにすると重かったのですが、30のライトをエミッターにしたシーンで、約3倍レンダリングが速くなるケースがありました。
また、スプライトに新しい素材が追加されています。アニメ的なエフェクトに使えそうな素材です。

新しいスプラインのAtmic Age
使用例

Universe 2023.1

新しいエフェクトのSymbol Mapperが追加されました。Symbol Mapperは、画像の輝度に合わせて、文字や記号を割り当てる効果です。

ソースの映像を50%残した状態

また、プリセットのRed Giant Universe Dashboardに検索機能が追加されプリセットを名前で検索できるようになりました。

さらにプリセットのオンライン提供可能になりました。新しいプリセットを作った際に、Universeをインストールする必要がありません。なお、プレビューにカーソルを合わせたときに、クラウドアイコンが表示されたものがオンライン提供のもので、クリックするとダウンロードされます。ダウンロード完了すると右下に青いクラウドアイコンが表示されます。

Magic Bullet 2023.2

Magic Bullet Looksは、アップデートで各ツールで全体のStrength(強度)の変えるパラメータが追加されました。LUTやColoristaなどで補正を行った後、その効果を変えることができるので、エフェクトの方向性を変えることなく微調整が簡単にできます。

VFX 

SupercompとReal Lens Flaresがアップデートしました。
Supercompは、レイヤータイプのディスプレイスメントが、調整レイヤーに変更になり、ディスプレイスメントだけでなく、ヒートブラーとカラーコレクションが選択できるようになりました。
これにより、下のレイヤーに対してカラーコレクションが適用できるので、レイヤー単位でカラーマッチングを行った後に、全てのレイヤーに対してカラーコレクションが適用できます。

Real Lens Flaresには、待望のアナモルフィックレンズのレンズフレアがシミュレートできるようになりました。

視野率は、Lensの設定にあるAnamorphic Factorで設定できます。たとえば、「SIRUI 50mm F1.8 1.33x」なら、値を1.33にすれば一致します。

また、エフェクトの演出として、Starburstなどの効果別に視野率を変えた場合は、Auto Anamorphicをオフにすることで、個別に設定できます。

Forger

スカルプトやポリゴンモデリングが行えるiPad用のアプリのForgerもアップデートされました。

3種類のライトが使えるように

ライトオブジェクトとして、スポットライト、ポイントライト、無限遠ライトの3種類が使えるようになりました。影も他のオブジェクトに落ちます。

ビューポートエフェクト

被写界深度やブルーム、色収差、ビネット、フィルムグレインが使えるようになりました。

Zリメッシャー

ZBrushに搭載されているZリメッシャーがForgerに追加されました。

リメッシュ前
リメッシュ後

さらに、ガイドでトポロジーの流れを決めたり、特定のところポリゴン密度を決めることができます。

ZBrush

サブスクリプションユーザー向けに、ZBrushの最新リリースでは3Dスカルプトワークフローにこれまでにない2つの新しいツールを搭載しています。

プロキシポーズ

完成に近づき、詳細なディテールを持ったモデルのポーズを変えようと思うととても大変です。ハイメッシュのまま曲げると、曲げた部分のディテールが干渉したりつぶれたりします。プロキシポーズを実行すると、瞬時にポリゴン密度を下げ、アーティストはZBrushモデルを迅速かつ効率的に変形でき、その結果を高密度のメッシュに戻すことができます。
さらに、これまでポリゴン数が多くてダイナミクスシミュレーションができなかったようなメッシュも、プロキシポーズにすることで可能になります。

ドロップ3D

Sculptris Proの技術とZBrushキャンバスの2.5D機能を組み合わせて、創造性を高める新しいワークフローを生み出します。ドロップ3Dを使用すると、必要な箇所の高解像度のディテールを加え、ローカルメッシュの密度を上げることができます。ドロップ3Dは、2Dと3Dの両方のデザインの要素を融合させることで、創造性を刺激します。ドロップ3Dでは、イラストレーションテクニック、サーフェスディテール、3Dモデリングに沿ったデザインコンセプトを探求することができます。

Cineware

Unreal 5.0および5.1に対応したCinewareもアップデートされ、よりシームレスなパイプラインを構築します。

Cinewareの使用により、Cinema 4DファイルのUnreal Engineへの直接インポートが、より直感的でスムーズになり、キャラクターやカメラのアニメーションを取り込んで、Unrealプロジェクトに大きなシネマティックシーケンスの一部として埋め込むことができます。
Cinewareでは、ジオメトリーキャッシュ用に個別のレベルシーケンスの作成や、メインのレベルシーケンスにシームレスに挿入できるようになりました。

Cinema 4Dで作成したシーン
Unreal Engineに読み込んだ状態

Cinema 4DのビューポートカメラをUnreal Engineにインポートすると、すぐに同じように設定され、修正やカメラの再設定は必要ありません。

アニメーション化されたレンダリングの可視性は、Unreal Engine にインポート後にCinema 4Dシーンのどのコンポーネントをオンまたはオフにするかを決定できます。

新しいジオメトリキャッシュオプションにより、Cinema 4Dの静的メッシュだけでなく、トポロジーのモーフィングやアニメーション化されたMoGraph クローナーの設定もインポートできるようになりました。