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彼が眺めているもの #寄せ文庫

ああ、ちょっとまた何言ってるかわからないなんて言われそうだけど、ちゃんと説明するので少しだけ。

そう、彼はそうしていつも街に座り込んでいる。それはときに舗道の上だったり土の上だったりするけど、そうしていつも街に座り込んでは、ただ眺めている。行き交う人々のそれぞれの歩き方や、目線の先にあるものを。

いったいどういう思考回路をしているのかいまいち掴めないけど、彼はそこから何かを「取り出して形にする」のが得意なようだ。本人に訊いたわけではないから本当のところはわからないけど、これは僕が感じることとして。

街を行き交う人々や、人々が行き交う街そのもの。人がいるから街ができるんだなんて当然の突っ込みは今は置いといて。日常に転がる不変や普遍を拾い集めてはそこに意味をもたらし、さりげないうねりを置いておく。

彼が言葉に紡ぎ出すその一つひとつが、とても美しいのだ。

街にすっかり溶け込んで、座り込んでいても誰も気に留めないのに誰からも一目置かれていて。素朴な疑問だと彼が言葉にする、それを拾いたくて今日もこうしてこの街に来てしまう僕は立派な彼のいちファンですと、そろそろ認めてもらってもいいのではないかと思っている。






「◇」より上までで、500文字です。



装飾を抑えた(比較的カジュアルな言葉でつなぐ)文章の流れと影に日向に見え隠れするテーマの切れ味のよさ大きさ、ときにつながる異次元への入り口。

何が何だかよくわからないうちに、好きだなぁと思っていました。
何もないようなところから(そこに何かがあるのをぼくが見えていないだけなのかも)何かを拾って、ぼくらに可視化してくれる。ほら、こんなことってあるでしょ、みたいに。べつにそれが、あっても、なくてもいいんですよね。こんなふうに考えた、伝えた、受けとった。ただシンプルにそのやり取りが心地よく、画面を流れる言葉が、軽快にぼくの頭のなかに流れ込んでいく。受けとって、消えてしまったものもあるかもしれないけれど、ふとしたときに思い出す「そうか、このことか」みたいなもの。地道な地道なその積み重ねを、言葉をそこに置いておいてだれかがそれを何気なく拾っていくその積み重ねを、ときに間近でときに遠回しに、ときに当事者として共有させて頂いていた時間、それにはいったい何をもって替えることができるのだろう、と思ってしまう。それはなかなか、むずかしい問題です。


みんな!一緒にふみぐらさんの「寄せ文庫」作ろうぜ!

サラさんの言葉に、ぼくも気持ちを届けたいと思いました。


今はどうか、ゆっくりお休みされてくださいね。
尊敬と感謝を込めて、じつはすこしだけふみぐらさんの「文体模写」にトライしながら書いたこちらを「寄せ文庫」に。
引用したnoteは比較的最近のものですが、ふみぐら社さんの「書くスタンス」がシンプルに表現されている文章だなぁという気がしたから。

ただ本当に素朴な疑問。だからずっと考え続けてしまうだけ。

こういうところが好き。

企画を立ち上げてくださったサラさんにも、大きな感謝を。
素晴らしいご提案、ほんとうに、ありがとうございました。

こちらの企画、まだご存じない方は、サラさんのnoteをチェックしてくださいね。

お付き合い、ありがとうございました。







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