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樋口円香について、知っていること。知らないこと。

「樋口円香はどこまでもアイドルじゃない」
否定的な意味でもなく、肯定的な意味でもなく、樋口円香という人間がそうあるべくして、そうなったのだと結論付けた。今まで発せられた樋口円香の言葉や、感情から、樋口円香という人間がどう考え、どう感じているのかを汲み取り、考察し、解釈してみた。

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※ネタバレあり
【カラカラカラ】【ギンコビローバ】「ファン感謝祭」「天屑」

アイドルになった理由

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「浅倉透を追って」と一言でシンプルに表現した方がいいだろう。後に記述するが、樋口円香にとって、アイドルという物自体に興味がないどころか、嫌悪していると言っても過言ではない。それでもアイドルという道を選んだのは「浅倉透がその道を選んだから」ひいては「幼馴染との居場所を維持したかったから」だろう。なぜならその樋口円香はその場所に自分がいるべき人間だと強く思っているからだ。

浅倉透という呪い

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樋口円香が自分で選んだ道は、どこに向かっているのか、自分でもわかっていない。それは浅倉透が選んだ道であり、樋口円香はその横に立っているだけだ。だからこそ、浅倉透が「海に行こう」と言えば、その行く先が海になる。樋口円香が目指す先は、浅倉透の場所だ。だからこそ、本人ですらどこに行くのかわかっていない。

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ノクチルの4人のメンバーは、浅倉透を中心として、それに付随する3人と言っても過言ではない。その中でも、強く、特出してその隣にいたい、いるべきだと考えているのが樋口円香である。それは、いわば呪いのようなもの。そばに居たいという願望ではなく、強い使命感すら感じさせる。だからこそ「浅倉透にできて、樋口円香にできないことはない」という強い信念を抱いてる。例えば福丸小糸が「置いていかれないように」という願望だとすれば、樋口円香は「置いていかれるはずがない」という呪いだ。

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樋口円香について

印象として、ツンケンしていて皮肉屋。攻撃的というイメージが強いが、これはプロデューサーが特別、樋口円香から明らかな敵意を向けられているだけにすぎない。作中でも、人前である程度は愛想よくでき、ノクチルの4人といるときだって、誰かに攻撃的ではない。この攻撃性は警戒などではなく、プロデューサーという個に対しての嫌悪だ。その理由として、樋口円香は心を開けようとするものに拒絶がいくつも見て取れる。

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これは樋口円香が「心を閉ざしている」という意味ではなく、「開けようとする」ことそのものへの拒絶がある。そして「理解している」と思われることへの嫌悪すらある。覗かれたくなく、覗いた気にすらなって欲しくないと強く思っているのが樋口円香なのだ。何も知られず、上辺だけの自分を見てくれることが、樋口円香にとっての願いだ。

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理解されることへの恐れ

樋口円香の根底にあるもの。それが理解されてしまうという恐怖であり、そうなった時に自分が「その程度」と明らかにされてしまうことを恐れている。それが樋口円香が見せた唯一の吐露。

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自分の中のものを見られ、そのレベルを定められて、「あなたの価値はこれ」という結論付けられる。その怯えが、理解しようとするものへの嫌悪に繋がっている。

『アイドル』というものへの価値観

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そもそも、樋口円香が口にするアイドルというものへの嫌悪。これは皮肉屋な彼女が度々見せる毒気だと思っていたが、そうじゃない。きっと樋口円香にとっての「アイドル」という物への見方がこう位置づけられているのだ。樋口円香の目から見える「アイドル」は自己顕示欲を満たすめに笑顔を見せ、そしてそれを大人たちが消費する世界。これはそもそも樋口円香の根本にある価値観がそうなっている。自らを商品と呼ぶのは、皮肉というよりも、本心に近しい考えだ。

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一方的に自分というコンテンツを消費されて、そして一方的に見捨てられる。将来性もなく、確かな保証もない。いつ自分が消費されつくされるかもわからない。それでも光を浴びに行く。それがアイドル。これこそが樋口円香が持っている価値観であり、だからこそ樋口円香はアイドルそのものを嫌悪する。

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然るに、誰のためでもない歌を歌う

きっと樋口円香はアイドルではない。アイドルでありながら、アイドルを拒絶し、自らを応援し、理解するものからも耳を塞ぎ、誰のためでもない歌を歌う。「アイドル・樋口円香」は樋口円香が作り上げた虚構であり、それを周りが応援し、樋口円香は自分への理解を拒絶する。

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そもそもアイドルという定義がなんなのか、それはわからないが、少なくとも、福丸小糸はアイドルになった。歌を聞いてくれる人、応援してくれる人に目を向けて、それを自覚し、その人たちのために歌を歌う。その瞬間、きっと福丸小糸は、ただの幼馴染グループの活動から、アイドルになれた。だが、それを当てはめると、樋口円香は誰のためにも歌っていない。ならそれはアイドルにはなれなかったという意味でもある。

透明になりたい人

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きっと樋口円香は透明を望んでいる。それはアイドルという概念からあまりにも剥離している願望。何者にもならずに、透明なままでいたい。そうすれば自分は一生、「何者にもなれない」という事実にすら目を瞑ることができる。透明な人間は、その価値を誰にも測られずに暮らせる。それこそが樋口円香の望む透明なのだろう。

たぶん。


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