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エッセイ『選択〜実家暮らしと一人暮らし〜』

 実家暮らしのままで良いのか、一人暮らしをしなければ一人前でないのか。そんな悩みを見た。
 私は地元の大阪で実家暮らし10年以上、その後、上京し親元を離れ5年以上、つまり両方経験してきた。経験を経てどちらが良いのか書く。

実家暮らしと一人暮らしのメリットとデメリット

 まず私が実家暮らしと一人暮らしを経験して見つけたメリットとデメリットをまとめて書く。

(左:実家暮らし/右:一人暮らし)
・主に
家族と一緒にいられる/家族と一緒にいられない
家族から離れられない/家族から離れられる
→まず第一に一緒にいるかいないか。

・金銭面では
ある程度の費用がいらない/始めるにあたりある程度の費用がかかる
稼いだ分は比較的自由に使える/稼ぐのは主に生活費のため
所持金に余裕がある/所持金に余裕がない
不足を補ってもらい易い/不足があっても自分で解決
全ての金銭管理をしなくて良い/全ての金銭管理を管理するのは自分

→一人暮らしは始めるにあたり、ある程度大きな額の初期費用がかかる上、生活が始まれば親元にいる時のような限定的な金銭管理だけでなく、家賃・光熱費・食費など沢山の項目を自身で管理しなければならない。
 実家にいた頃は稼いだお金は殆ど小遣いのようなものだったが、一人暮らしでは生活費に消費される。

・生活面では
食料・日用品を調達せずともある/食料・日用品を調達しなければない

全体を掃除しなくても良い/全体を掃除するのは自分
洗濯物を洗うのは家族/洗濯物を洗うのも自分・干すのも自分

家族に起こしてもらえる/自分で起きなければならない
→実家暮らしでは料理をしなくても家族が用意してくれていたが、一人暮らしはまず食料を調達するところから。
 ティッシュペーパーはトイレットペーパー、歯磨き粉なんて日用品も自分で買わなければ補充なんてされない。部屋の掃除も気がついたら綺麗になっていたのが毎日だったが、自分で掃除しなければいけなく、洗濯物も放っておけば汚れたままだ。

・プライベート面は
プライベート空間の完全確保が難しい/プライベート空間の完全確保がし易い
買い物を自由にできない/買い物を自由にできる
友人を家に招き辛い/友人を家に招き易い
→個人の部屋はあれど、家族がノックもせずに入ってくることもしばしば。掃除をしてくれる為に私の不在中に部屋に入るのでプライベートは形だけ。
 大きな買い物をすると無かったものが増える為、秘密にしたくてもすぐにバレてしまう。私の場合はゲーム機などがそれに当たる。
 つまりプライベート空間を完全確保が容易い一人暮らしの解放感は半端ない。

・緊急事態において

家族の不幸に立ち会い易い/家族の不幸に立ち会い辛い
急な呼び出しにも対応し易い/急な呼び出しに対応できない
→父の闘病、そして亡くなった時の経験から。闘病中も関東にいた為、頻繁に会うことは叶わなかった。容体が変化してもすぐに向かうことも出来ず、亡くなる瞬間一緒にいることが出来なかった。離れた場所に住んでいたため覚悟はしていたものの、かなり辛かった。

・個人的に感じたベタなこと
共存生活のため家族の有り難さを感じ辛い/離れることにより家族の有り難さを感じ易い
→かなり生活面で頼りきっていたので、一人暮らしになってから家族に支えられていたことを身を以て実感した。

・そしてなにより
一人暮らしを経験できない/一人暮らしを経験できる
→人生で”一人暮らし”を体験出来る。

どちらの方が良い?

 さて、どちらの方が良いと感じただろうか。きっとそれぞれだろう。

 実家暮らしにも一人暮らしにもメリットとデメリットは混在している

 どちらが良いか大まかに決まっていても、迷う人もいるだろう。そこで、私が一人暮らしを選んだ時の経験を再び踏まえ、選択方法を書く。

選択方法

 個人的なものではあったが、先程のメリットとデメリットを見てどう思っただろうか。

 ”家族が大好きだから離れたくない”
 ”親とは合わないので離れたい。”
 ”将来のためにお金を確保したい”
 ”プライベート空間が欲しい”
 ”自分で生活をやりくりしてみたい…でも実家の近くが良い”

 それぞれの家庭環境や性格、未来設計などからも考えることは違うだろうし、どちらもよく見えてどちらも悪く見えるかもしれない。
 しかしどちらか選択しなければいけないとしたら、どちらか。

 まず先程私がしたように思いつくメリットとデメリットを粗方書き出す。そして、メリットが多い方を取る。
 しかし、メリット多いの方を必ず取らなければいけないわけでもない。書き出すことにより、自分と向き合い、より明確に自身がどうしたいか理解出来る。

 私の場合は、事情があり親が過干渉気味だった為、実家暮らしの時は何も言わずとも家族に頼りきるような生活をしていた。
 自身の性質もあり朝起きることもままならなかった為、当時は”一人で寝起きできるようになること”が達成したい大きな目標だった。人によれば些細なことだが、私にとっては未来、家族がいなくなった時のことを考えたら、まず第一に克服しなければいけない壁であった。
 それを出来るようになるには、家族がいるとまず達成できない目標であったし、一人で生きていけるように訓練をしたいとの強い気持ちから一人暮らしを決意。
 それに伴い、実家から場所が近ければ家族に頼ってしまう光景が目に浮かんだ、しかし初っ端から不便なところはハードルが高いので、遠いが便利な関東を選んだ。必要な費用は、可能だったため親を頼った

 結果、第一目標は達成され一人で寝起きできるようになり、後に友人だった現在の夫と交際を始め、同棲を経て婚姻、現在は夫婦二人暮らしだ。細かく書くと上京して今年で8年経った。結婚についてもまた書きたい。

それぞれの選択

 結論、それぞれの性格・性質・家庭事情や生活環境などにより、実家暮らしか一人暮らしか、どちらが良いのかは変わる

 ”未来を見据えた実家暮らしが良い!”や”人生一度は一人暮らしをするべきだ!”などと書いてある記事はあるだろうが、必ずしもこちらが良いというのは無い。

 大事なのは自分に合った生活スタイルを選択すること

 自分のできること・できないこと。できるようになりたいこと・できなくても良いこと。自分自身をよく理解し、今後の自分に合った生活スタイルを選択をすれば良い。
 選ぶ時、自分と他人は違うので自分を軸として考え、他人の物差しで決めず、あくまで他人の意見は参考に

 何度か目にしたことがあるのだが、ある年齢になり実家暮らしだと「一人暮らしは良い!」「一人暮らしをしないなんて成長がない!」みたいなことを言われることがあるそうだ、しかし一人暮らしは初めることがまず簡単ではない。とてもお金がかかることだし、契約云々などの面倒もかなり多い。家庭事情を含めれば自分の意思のみで選べることでもない。
 私も一人暮らしを望み、なんとか両親を説得し、運良く親の経済力を借りて一人暮らしができただけに過ぎない。

 自身にとって不要であれば、一人暮らしはしなくても良いことだ。

 それに本を正せば、何にお金を使うのかは各々決めること。口出しする方がおかしいのだ。
 再三言うが、自分の現在や未来に合った生活スタイルを選択することが最重要。『一人暮らしをしないと、人間として成長できないなんてことは一切ない。』

 大事なことなのでもう一度。
 一人暮らし、親元を離れて一から準備し暮らすことは特に大変大きなお金がかかるし人生の時間も費やすことだ。漠然とした憧れや他人の横槍のみで、費用も明確な意志も十分に無いまま実行するのはリスキー。

 その時に使ったお金は消えたら戻らない。経った時間も返ってこない。
 しかし経験も、しなければ得られない。

 自分の人生は自分のために、人のために生きるにしてもまずは自分のために生きてから。自分のために生きれなければ、人のために生きることは出来ない。
 誰になんと言われようと、できる限り自分の生きたい人生を。皆に幸あれ!!

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