見出し画像

悲しいことは大抵知らないところで起きる ということをすぐに忘れる

私は大事なこともすぐに忘れる。よく忘れてしまう割に大事という、その差が最も開くのは、「悲しいことは大抵知らないところで起きる」ということだと思う。同じくらい大事なことはこれほど忘れないし、同じくらい忘れることはこれほど大事ではないような気がする。

他人に悲しいことがあっても基本的には教えてもらえない。目の前で笑っている人も昨日とてつもなく悲しいことがあったかもしれない。多くのことは私には見えていない。これをすぐに忘れてしまう。思い出すのは実感したときだ。
すごくシンプルだと思っていた学生の頃の友達が、ちょうど多くの時間を一緒に過ごしていた時期にごく近い身内を亡くしていたと、その人の結婚式で知った時。
勤務中によく寝るようになったバイトの後輩に、その頃家庭内で酷いことが起きていたと、その人の送別会で知った時。

他人の事情を知ったところで私にできることはあまりない場合が多いだろうけれど、見えているものが全てではないことを前提としたコミュニケーションをとりたいと思う。
胸に刻まなきゃと毎回思うのに、すこし経つと忘れて、他人の事情はわからないことを加味せずに対人関係をやってしまう。同居人だって、親だって、仲良しのともだちだって、みんなのほとんどを私は知らない。
もう腕に彫ろうかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?