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なんとかしてイヌの写真を撮りたいの

※青山薫さん(@sweet_jef_music)の呼びかけによるジェフユナイテッド市原・千葉のアドベントカレンダー2022(https://adventar.org/calendars/8246)の記事なんですよね。

こんちは。まわる@です。

なんか今年のジェフは10位だったとか、ユンさんが今年限りで退任とかいう噂を近所のヤオコー(ない)で小耳にねじ込まれたような聞かないような。
ここ4.5年くらいロクにスタジアムに行ってないのですが、来年はもうちょっと上がいいなあ。ウチの子供、ジェフがJ1にいたこと知らないんだぞ。

まあ、それはそれとして。今回はカメラ知らない人には全然おもしろくないネタなので、そういうひとはここでさようならのほうが幸せになります。

僕とカメラとイヌと

僕は一応ジェフが好きなのですが、およそサポーターなんて口が裂けても言えません。基本スタジアムには試合を見に行くのではなく、マスコットを撮りに行っています。マスコットっつーか、ジェフィとユニティとみなちゃん。イヌを撮るの。あとたまにコンクリと牛串。試合がはじまるまでに力尽きていることが多いので、サッカーのことはよくわかりません。

ヴァンくんとフォーレちゃんもイヌ

カメラは結構昔から好きで、小学1年生の時に死んだじいちゃんの影響で子供のころから興味があったんです。家にあったペンタックスSPという大昔のフィルムのカメラを触りたくて触りたくて。大人になってから中古で手に入れましたが、ヘタッピでもよく撮れる、いいカメラだったなあ。
最初に親に買ってもらったのはおもちゃのプラスチックの黒い110カメラでした。本屋さんでフィルム買って撮ってたなあ。懐かしい。

別にそのままカメラが趣味になっていったわけではないのですけど、なんとなくサッカーの写真を撮りたいなって思ってスタジアムにカメラもって行くようになったのは、1997年の秋くらいから。
当時はミノルタα-7700iという中古の一眼レフで主にゴール裏に挨拶に来る選手とかパナソニックのチャリに乗ったイヌとかを撮影していました。でも、そこはピッチの端っこまでたっぷり40m以上はある市原臨海のゴール裏。もちろんいいレンズを持ってるわけでもないので、選手を撮影しても誰が映ってるか判別不明なほど豆粒。なのでもっぱらそこいらへんをフリーダムにうろついているイヌを36枚撮りのフィルムで25枚くらい撮ってました。当時の写真、どこにやったかな。探したのですが見つかりません。
このカメラは1998年、サンフレッチェにPKで勝って喜んだ拍子にイスの上からコンクリのタタキに落っことしてレンズがマウントからもげてしまいました。残念。

イヌを撮りたい

お金もないのでそのままカメラは諦めてしまったのですが、あらためてスタジアムで写真を撮り始めたのは、2005年。老害オールドジェフサポならなんとなく脳内のシワの汚れに残っているかもしれない「いぬをおいかけて。」とかいうわけのわからないトンパチブログを書いていた頃です。
もういちどカメラをやろうと思ったのは、ブログに載せるネタとして画像があると楽だというヨコシマな理由だったんですよねー。

ブログのネタとして映えるのはイヌ。カメラがぶっ壊れた後はケータイのカメラ(当時は写メとか言ってたなw)で気が向いたときにイヌを撮ってました。まあ、撮りたいときに写るものだけかわいく写ってればいいみたいな感じで、あの頃はそんなにこだわりとかなかったなあ。

これくらいの距離じゃないと撮れません

写真を人に見せるとなるとさすがに見栄えを考えないといけない。でも、新しくカメラを買うお金はない・・・というわけで、カミサン(当時は結婚前でジェフサポ洗脳中)だまくらかして買ってもらったのがリコーのCaprio R3というコンデジ。映りとかどうとかじゃなく、とにかく遠いピッチにいるイヌを撮影したくてねえ。当時いちばんすごかった光学7.1倍ズームという謳い文句にダマされて、なんでもいいからイヌが大きく撮れるならという一心で買ったのです。

これで勝てる!

よく見てはいけない

このカメラは良く写った。当時ブログで使うには充分すぎる絵が出てきたのです。もちろんイヌが止まっている時だけですけどね。これで満足していれば良かったのですが、人間ひとつステップアップすると欲が出てくるものです。コンデジの画質で望遠+デジタルズーム、さらにトリミングなんかしちゃうと、ケータイで見てる分にはごまかせる気がつかなくてもパソコンだとザラザラになってしまいます。かわいいイヌがこんな仕打ちでは、気になって気になって夜しか眠れなくなってしまいます。

さて、どうしたらよいものか・・・

イヌを大きく撮りたい

遠いピッチでテキトーに踊っているイヌをそこそこ大きく綺麗に撮りたいなと思って、はじめてちゃんと研究して、ボーナスムリヤリ突っ込んで買ったのがオリンパスのSP-550UZというカメラ。これは見た目は一眼レフ、中身はコンデジというインチキネオ一眼カメラというヤツです。
なにしろ光学18倍ズームがウリということで、すげー期待して買ったんですよ。ライカ判換算504mmという触れ込みは伊達じゃなく、デジタルズームなんてものは使わなくても光学ズームだけでスタンドからそこそこ大きくイヌが撮れるようになったのです。単純に楽しみが3割増になりました。

これなら勝てる!

望遠端はすごく甘い写りでしたね

実際、いいカメラだったんですよ。広角ならパリッとしたいい絵が出てくるし、軽くて使い勝手もいい。でも、ファインダーは飾りでしかないしモニターでは望遠端はなかなか捕まえられない。踊ってるところを撮ればブレブレなうえにノイズだらけで、満足にピンが来てるのかどうかすらもわからない。設定で誤魔化すのにも限度がある。
なんとか使い物にしようと、SP-550UZとはずいぶん格闘したんですけどね。結局のところ、このカメラを使っているときは不満しか残りませんでした。

さて、どうしたらよいものか・・・

イヌを綺麗に撮りたい

そうなると(どうなると)やはり一眼レフが選択肢に上がってくるのです。ちゃんとイヌを撮るためには一眼レフを買うしかない。
自分で調べるだけではなく、どんなカメラが流行りなのかよく教えてもらったうえで財形貯蓄を取り崩して買ったのが、オリンパスのE-510。これはフォーサーズという規格のカメラで、センサーが小さいので写りはそれなり。その代わり、望遠に強いという特性があります。センサーが小さいと言ってもコンデジと比べたら雲泥の差。
撮ってみると確かにこれまでとは全然違うカリッとした絵が出てくる。このボディにZUIKO DIGITAL ED 70-300mmという望遠のレンズを組み合わせればピッチの真ん中でイヌが踊っているのにもなんとか届く。暗くても、ある程度満足するイヌが撮れてしまうのです。

これなら勝つる!

それなりには映るように

勝利の瞬間でした。フクアリのスタンドから、まずまず満足のいくイヌの絵が(ごくたまに)撮れるようになったのです。ここからはもう転落の人生。カメラの沼にハマった瞬間だったんですよねー。
でも、E-510はいわゆる入門機。歩留まりが上がって撮れるようになってくると、いままでよりは格段に速くなったはずのオートフォーカスの遅さが気になります。シャッターチャンスにシャッターが追いつかない。

さて、どうしたものか・・・

踊ってるイヌを撮りたい

イヌのテキトーな動きに対してオートフォーカスがピントをつかむのに時間がかかるなら、逆に速く動くいいレンズを買い足せばいい。
ということで、給料3ヶ月分突っ込んでZUIKO DIGITAL ED 50-200mm SWDという爆速のレンズを買って、さらにテレコンもつけてしまいました。そうなるとこんどはレンズのスピードにボディの方が追いつかないので、オリンパスE-3というフラッグシップのプロ用のボディを追加で買うことに。
そしたらまあ、これがびっくりするくらい速い。そのうえ満足する絵が撮れること撮れること。カメラを向ければいくらでも楽しいイヌの絵が綺麗に撮れてしまうのです。気がついたら1試合で連射することなく350枚くらいありとあらゆるイヌだけの写真を撮るありさまでねえ。
プロ用の機材に触ってしまったことで、本当の意味ではじめて良い機材があればイヌをまともに撮れると知ってしまったのです。

大勝利ですよ。

この頃は楽しくてしょうがなかった

かわいいイヌをみんなに見てもらいたい

こうなってくるとですね、さらには逆光やライトに輝くイヌの黄色の毛並みを綺麗に出したいがために、ボディを当時最新のオリンパスE-5に乗り換える必要が出てきたのです(別に必要ないだろ)。
ここまで来るともう後戻りはできないのです。平日は死ぬほど働き、残業してお金を貯め、右手にボールペン、左手にクレジットカードを握りしめて、土日は日本中渡り歩いて北に赴きシマフクロウやら山の神様だとかを撮り、南に行けばカメだのウサギだのウマだのを撮り、それをスタジアムガイドとしてみんなに見てもらうという、そんな生活が確立してしまったのです。
ああ、僕はイヌを綺麗に撮りたかっただけなのに。かわいいイヌのことをみんなに知ってもらいたかっただけなのに。

夜間で動きのある写真も余裕です

撮りたい絵が撮れるってなんて楽しいんだろう。その気持ちだけで時間を惜しんで日本中のサッカーのマスコットを撮影していました。しかし、撮影旅行をするとなると、当たり前ですが移動しなくてはならないのです。そうなってくると撮影用の機材を持ち歩くのが億劫になってきました。遠征道具に加えて常にカメラのボディ2機にレンズ4本、5kg以上の機材をバッグに詰め込んで移動するのが地味にしんどくなってきたのです。

さて、どうしたものか・・・

軽さは正義

このころ、オリンパスはそれまでの豪華路線から、一眼レフを捨てて電子化、軽量フットワーク重視に切り替わっていきます。これがいわゆるマイクロフォーサーズというヤツです。最初はコンデジの延長くらいにしか考えてなくて、なんとなく信頼もできなかったので静観していたのですが、

ががががが、

軽い。

これは大革命でした。軽さは正義。自転車ならば100g削るのに1万円払うのです。そして豪華なレンズラインナップ。センサーは良くなっているわけですから、E-5と同じかそれ以上のレベルの絵が撮れて、半分以下の重さのマイクロフォーサーズがどうしたって気になってくるのです。

これまでの機材全部売り払って、追い銭払って乗り換える。決断するまで時間はかかりませんでした。OM-D E-M1M.ZUIKO DIGITAL 40-150mmにテレコンつけて、スタジアムで振り回すとこれが軽いこと軽いこと。
さらにちゃんと使い物になるデジタルテレコンなら、ビッグアイだろうが富山だろうが横酷だろうが愛媛だろうがどこだろうが、ピッチにいるものがなんでもでかく撮れるのです。どんなに遠くても撮れてしまうのです。

撮影の機動力は上がりました

撮りたいものが撮れる幸せ

この頃からですかね、写真の中身に対する愛情が伝わる絵が格段に増えていきました。カメラの技術の革新もさながら、本格的に技術を磨くようになったのです。撮りたいものが撮れるってなんてステキなんでしょう。
そしてついには子供の運動会やサッカーの試合を撮るのにどうしても必要だからと言ってE-M1 MarkⅡLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mmをローン組んで買ってしまうという暴挙に及んでしまうのです。E-5の半分の重量にライカ判換算で800mm、デジタルテレコン使えば1600mmの世界ですよ。もうピッチの中で撮れないイヌはない。

100m先で踊っているイヌも撮れます

人としては間違っている

カメラの趣味の恐ろしいところは、金がなくなるのに比例して撮れる絵がどんどん美しくなることです。僕という人間が帝愛のせいで地獄へまっさかさまに落ちていく術を長い間ブログやスタジアムガイドという形で発表していたわけですから、いま考えるとどうかしていたんでしょうねえ。いくらイヌのためだとは言ってもどこかネジ外れてたんでしょうな。本当にエスポワール号に乗らずに済んでよかった。
自分がサッカー指導者になったことでジェフの試合を見に行くことができなくなって、さらにコロナウイルスの蔓延でイヌがスタジアムに来なくなり、旅行にも行けなくなった結果、写真を撮る機会がめっきりと減りました。
ローンの支払いも借金もなくなり暮らしぶりは楽になりましたが、レンズ沼の底から浮かび上がってボンベが外れたことになんとなくさびしさも感じてしまう自分もいるのです。

それはそれとしてイヌはかわいい

何が言いたいかというと

というわけで、イヌと僕の15年以上に及ぶイカれた転落人生を書いてみたわけですが、これ、知らないほうが幸せだったなあ。たぶんふつーにクルマとか買えてますよね。S-WORKSのヴェンジとかにも乗れたよな。そもそも、カメラの趣味なんてなかったら、きっといまごろジェフの胸スポンサーになれるくらい大富豪だったんじゃねーか?
ここに書いた以外にも標準ズームだとか広角レンズだとか単焦点だとかオールドレンズだとかE-410とかE-620とかE-PM2とかE-PL6とかF200EXRとかも買ったりしたりしてるのよ実は・・・

もう、ブログをやるつもりもありませんし、スタジアムガイドはカビが生えたので閉鎖している(書籍化の話を断らなければよかったなあ)ので、この先もうみなさんに写真を見せる機会はないでしょうけど、コロナウイルスが落ち着いてまたスタジアムに行ける日々がやってきたら、いつかまたイヌだけじゃない、僕の写真を皆さんに見ていただきたいと思う日も来るかもしれません。

そのためにもたまには勝ってくだちい

余談ですが、オリンパスイメージングは倒産なくなってOMデジタルソリューションズとかいう会社になりました。カメラが売れなくてかなしい。
これでもう一生機材買わなくていいぞ・・・え?そこが造ってるOM-1がすげーいいカメラなんだって?クレジットカード、どこだ?

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